ADONISの手記

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アルトリア(ゼロの使い魔)

2015年11月15日 22時55分10秒 | 小説

※今回は三千世界監察軍創設前どころか、ブリタニア帝国記のシドゥリが転生する以前から始まります。

 

 私は今川良子(いまがわ よしこ)。30代でOLをやっている女です。ちなみに未婚です。結婚というのに縁がなかったですね。まぁ元々子供を産みたいと思っていなかったので別に構いませんが。

 さて、そんな私ですが。何か気が付いたら、真っ白で何もないだだっ広い空間にいました。ここは、どこでしょう?

「すみませんでした!」
 と、そんな私の前に黒いローブのような物を着た髑髏が土下座をしていた。

 そういう風に書けばネット小説の転生物をよく読む読者であればわかると思いますが、私の目の前にいるのは死神らしいです。まさかリアルで死神に会う事になるとは思いませんでしたね。

 何でも間違って私の魂を刈り取ってしまったらしく、後で間違いに気が付いたらしい。本当にテンプレです。そんなワケで土下座なんかされていますが、正直どうしようか困っています。

「あの~、私を生き返らせて元通りというのは無理ですか?」
「それは不可能です。すでに貴女の体は火葬されています。それに死者を生き返らせるなんて無茶はできません」

 もう火葬されているんですか。これは不味いですね。どうしよう。

「ですから現在の記憶を保持したままで下位世界に転生してもらいたいのです」
「下位世界ですか?」
「ええ、ライトノベル、漫画、アニメ、ゲームといった創作物を元に具現化した世界です。今なら転生特典としてチート能力を一つお付けします」 

「テンプレですね」
「そうですね。最近のネット小説では似たような話がありますね。私も今回の件ではそれを参考にしています」

 つまり、ついうっかり私を殺してしまってどうにもならないから、ネット小説を参考にして解決しようとしているワケですね。まぁいいですけどね。

「ちなみに転生する世界はどこですか?」
「そうですね。貴女がよく知っていて私が干渉できる世界となると『ゼロの使い魔』ですね」
「ああ、あのライトノベルの世界ですか」

 確か『ゼロの使い魔』はライトノベルを原作にアニメ、マンガ、ゲームと幅広く展開されている作品だった。とはいえ、最近の創作物は人気がある物は原作だけでなく他のメディアを用いて幅広く展開される物だから別に珍しくないが。

「じゃあ転生時期は原作開始の100年ぐらい前で、場所はゲルマニアにしてください」

 本当は主人公と同年代にして活動するという案もあるが、それでネックとなるのは原作が未完のままで終わってしまったことだ。原作者がお亡くなりになっているからね。これじゃ原作の終わり方が分からない。

 多分、ルイズとサイトが風石の問題を解決するんだろうけど、その展開が分からない以上下手な事は出来ない。ならば、原作開始から思いっきり前であれば、それに悩まされることもあるまい。私は余計な事を考えずに好きにやり、原作の問題はルイズたちに解決してもらえばいいのだ。

 転生場所をゲルマニアにしたのは、私の知る限りあの国は原作にさして関わりがないからだ。所謂脇役みたいな国なだけに私が主にそこで介入しても原作に対する影響は少ないだろう。

 下手にトリステイン王国なんかに転生して、その後の展開を変えすぎて原作崩壊してしまっては目も当てられない。ここは慎重に行くべきでしょうね。

「うん、いいよ。それで特典はどうするの?」
「そうですね」

 ここで私は少し考え込む。ゼロの使い魔の世界は、魔法が存在している中世という感じの世界だけに力が物を言うだろう。

 実際、街の外ではオークとかの亜人とか盗賊とかが普通に存在していることからもその危険性は言うまでもないだろうし、ガンダールヴのルーンを手に入れたサイトがそれなりに活躍している事からも疑いようがない。

 そうなると、私も自分の身は自分で守れるように戦闘能力に長けた能力が欲しいところだ。

「では、『Fate/Stay Night』のセイバーの能力と宝具というのは可能ですか? 勿論、宝具はアヴァロンも含めます」
「ええ、いいですよ。それなら許容範囲です」
 と、死神は了承してくれた。

 問題なく受理されたようだ。これなら一安心というところかな。

「では、早速転生しますよ」

 死神のその言葉に私は意識を失った。

 

 こうして気が付けば私はゲルマニアで平民の娘“アルトリア”として生まれた。ここで貴族じゃないのか?と、思った人もいるでしょうが、そこまでテンプレではないようですね。まぁ私も貴族にしてくれとは頼んでいないので別におかしくないでしょう。

 さて、アルトリアという名前で分かった人もいるでしょうが、現世での私の容姿はセイバーそのものです。これは転生特典の影響ではないかと思いますね。

 すごい美少女になったワケですから別に不満はないのですが、胸が小さいのが少々残念ですね。まぁ胸が大きいと動きが阻害されるので、ない方がいいという意見もありますが、女性としては複雑なんですよ。

 平民生まれの私は14歳になると故郷を出て傭兵になった。元から戦闘に特化している以上、それを活かすには傭兵になるのが手っ取り早いんですよね。

 そこで私は見えない武器を使うメイジ殺しの傭兵として”不可視のアルトリア”なんて中二病みたいな二つ名が広まっています。何気にセイバーの対魔力はすごい。メイジの魔法は大概が通用しません。スペックが違うんですよね。

 最もエクスカリバーの真名解放は人目のある場所ではやっていませんよ。いくらなんでもあれはゼロの使い魔の世界では強力すぎます。使えばあっという間に王侯貴族や教会に目を付けられます。

 この世界では平民の権利なんて無きに等しいですし、人権それ何?を地で行く世界なだけでエクスカリバーを強奪されるのは目に見えています。拒否権はありませんし、それを拒んで逃げても指名手配されて追っ手を差し向けられるのは分かりきっています。

 こうして何十年も傭兵をやっているワケですが、私の容姿は14歳の頃から変化していません。というのもアヴァロンの恩恵です。

 あれって持ち主に不死身染みた回復能力を与えるし不老にしてくれるんですよ。おかげに何気に助かっています。アヴァロンがなかったら重傷になっていた状況が何回かあったんですよね。何気にゼロの使い魔の世界も侮れないね。

「でも定住はできなんですよね」

 私は面倒な事にため息を吐いた。不老の私は定住してしまうとその異質さがバレてしまう。そうなると教会から異端審問を受けるだろう。この世界はリアルに異端審問があるから怖い。

 そういった意味では貴族ではなく傭兵というある意味身軽な立場は好都合だ。各地を旅しながら生活することでこれまで問題なくやってきたのだ。

 しかし、原作が近くなって来たので、これまで通りとはいかなくなるだろう。

「さて、これからどうなるかな。死神たちが余計な事をしてくれたから全く予想できないわ」

 私は死神たちが仕出かした余計な事がこのハルケギニアに齎す影響を考えると憂鬱になった。

 


10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
駄文 (ADONIS)
2013-08-18 13:53:05
トリッパー列伝を更新しました。この話はシドゥリが転生する前なのでかなり時代が古いです。
ちなみに死神が仕出かした余計な事は次回に書きます。
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Unknown (yamamon)
2013-08-18 18:54:51
乙です。

不老不死になったのはいいけど、であるが故に安住の地は無いか…
こうして見るとシドゥリの偉大さがよくわかりますね。
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Unknown (大和)
2013-08-18 19:16:11
不老不死は羨ましいけど面倒が多いですね、それから鞘を使えばカトレアさんも治して恩を売ると良いですか?転生者は何故か自分勝手な人が多いのでしょうか。
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Unknown (yuki)
2013-08-19 02:28:29
このゼロ魔世界はエリザさんの居た世界とは別の世界になるのかな?
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返信 (ADONIS)
2013-08-19 21:24:59
>yamamonさんへ
アルトリアは不完全ながらも不老不死を手に入れていますが、それは大概の世界では異質ですから、身の振り方も大変なんです。それを考えるとシドゥリのように自分自身が最高権力者になるという選択肢が最善なんでしょうね。

>大和さんへ
カトレアさんの治療は二次小説ではテンプレですが、彼女は原作キャラなので下手をすると原作崩壊のリスクがあります。アルトリアはそれを恐れている為余計な干渉はしないと思います。
それと転生者に問題が多いのは異世界転生という異常事態と転生特典によってチート能力を得た事で、野心が異様に高まったり中二病を患ったりして、結果的に自分勝手な転生者になるのではないでしょうか?

>yukiさんへ
ゼロの使い魔を元にした下位世界には無限の並行世界が存在しており、エリザベートがいる世界とアルトリアがいる世界は別の並行世界です。
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感想 (目玉)
2013-08-19 21:59:56
不老不死は大変ですねーゼロ魔世界みたいな中世なら定住しなかったらバレないですね、現代みたいな戸籍がしっかりしていると、まともな仕事にも着けなかったでしょうが。
ブリタニア帝国記のシドゥリは上手くやりましたね。宗教で国民を洗脳してますから、不老不死の秘密を知ろうとしたら、異端審問コースですし。

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Unknown (渡りガラス)
2013-08-19 22:37:05
原作遥か昔に転生して、原作と無縁な人生を送るつもりの主人公なのに何故か不老不死に近くなるアヴァロンありとかうっかり属性持ちか。

”透明のアルトリア”は二つ名としては微妙というか語呂が悪いので”不可視のアルトリア”にしてはどうだろうか。
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返信 (ADONIS)
2013-08-19 23:59:44
>目玉さんへ
確かにゼロ魔じゃないと通用しませんね。
ブリタニア帝国のシドゥリは国を作り権力を持っているから不老長寿でも問題は起きていません。アトランティス帝国のカリンは女神様だからで臣民は納得します。問題なのが、大日本帝国の佐天令子ですが、彼女は表に出ずに影の支配者として存在しているので、一般には知られていません。

>渡りガラスさんへ
確かにアルトリアはうっかりかもしれませんね(笑)。
それと、語呂が悪いので二つ名は修正しておきます。
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Unknown (Unknown)
2013-08-28 10:40:37
 駄考ですが、導入部分、もっと短くテンプレにした方がよくないですか?

 ここのSSは殆ど既読ですが死神とのやりとりとか完全にマンネリなので。

 導入は淡々と簡潔に要点のみに。例として、元の情報(自分は○○の×○)→「例の(死)神様テンプレ転生が発動したようです」的なの→転生先の情報(もらった能力は○○、飛ばされた先は○△という作品の原作開始前)→行動指針とかを明かして物語開始みたいな感じで。

 ※最初の緩い神様とのやり取りみてまたかよと、おもわず衝動的に書き込んでしまいました
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返信 (ADONIS)
2013-08-29 20:20:02
>Unknownさんへ
ご指摘は最もです(汗)。その辺りはADONISが書きやすいようにしているので申し訳ありませんが大目に見てください。
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