ADONISの手記

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もしも美月がSAOをプレイしたら(ソードアート・オンライン)

2016年10月09日 17時14分45秒 | 小説

※このSSはADONISが思いついたものの設定に無理がある為にトリッパーシリーズの正史から外しています。その為、本来の話とは関係なく、あくまで嘘ネタです。

 

 世界初のVRMMORPGとして世間の脚光を浴びたSAO(ソートアート・オンライン)が正式稼働した日にその世界はデスゲームと化して大混乱になっていたが、あらかじめそれを知っていたボクはチュートリアル開始前に可能な限りレベルアップに励み、チュートリアル終了後は速やかに始まりの街から出て次の街に移動した。

 ボクの名前は東条美月(とうじょう みつき)。誰だがよくわからないという人は『剣と少女と世界の旅人』を先に読んでほしい。それはともかく、今のボクはハヅキというプレイヤー名を使ってSAOに参加している。これはボクの元ネタである東葉月(あずま はづき)にあやかったものだ。当然ながら髪や瞳の色も黒でアバターは可能な限り現実に似せていた。別に外見をいじっても良かったが、SAOではそんな事をしても無駄になるから最初からやらなかったのだ。

 さて、ボクがこのSAOに参加した理由はずばり腕試しである。実をいうと監察軍にもVRMMORPGはあるが、それは安全重視で間違ってもデスゲームではない。というかデスゲームみたいなものを楽しみたいのであれば、それこそRPGの下位世界にいってモンスターと戦えばいいだけなので監察軍でデスゲームをやる理由はない。

 しかし、監察軍でVRMMORPGを試しにやった時にあまりに思い通りに動かない体の所為でモンスターとの戦いに苦戦してしまった。というのもゲーム内ではチート能力は勿論、超人的な身体能力も使えないし、装備も貧弱だったのだ。

 この結果に「もしかしたらボクはソーマで底上げされた身体能力と武器の性能に頼り切っていて、ボク自身の技量を磨き切れていないのではないか?」と、そんな不安を抱いてしまった。

 それを払拭するためにボクはSAOのデスゲームに参加することにした。SAOであれば他のプレイヤーと同じ身体能力に装備という劣悪な環境で、戦闘経験と技量のみを頼りに死線を潜り抜けることが可能だ。それは今までやった事がないだけに、これを生き残れればボクは更なる高みに登れるだろう。

 でも、よく考えたらボクの肉体は不死身だからナーヴギアでボクの脳を焼くのはできないと思うからボクだけはデスゲームにならないよね。まあ、不死身でも痛覚はあるのでナーヴギアで脳を焼かれたら痛いからペナルティ付きのゲームと考えたら抜群のスリルをあじあうことができるだろう。

 そんなわけでボクはSAOの世界に行って、ナーヴギアを購入して使用することにした。とはいえSAOの場合、最短で二年、下手をすれば三年以上プレイしなければならず、その間ボクの身体は無防備になるだけでなく筋力などが衰えてしまうので、それを避けるべく仲間に頼んでボクの身体を医療ポッドに入れてもらう事にした。これでプレイ中の食事排泄が不要になるし、肉体の衰えなども無くなるからプレイ後の後始末も楽だ。

 SAOでは二年間もゲームに閉じ込められていたプレイヤーたちが筋力の衰えなどから立つこともできずにその後のリハビリにおおいに苦労したので、ボクがその轍を踏むわけにはいかない。何しろ剣士であるボクは体が資本だからね。無意味に肉体を衰えさせるわけにはいかない。

 ちなみにこのSAOの場合だと、多くのトリッパーは一般人と同じになってしまう。何しろゲームだとチート能力だけでなく、その他の能力も使用できない。それはゲームで作られるアバターを使うしかないからだが、そうなるとトリッパーの中でも身体能力やチート能力などに依存する割合が小さいボクはまだマシな方だったりする。

 そんなこんなで、そこいらのモブと同じところから始めることにしたボクだが、やはり磨き上げた剣の技量と戦闘経験はボクを裏切らなかった。イメージ通りに動かないうすのろな体に苛立ちながらもレベルアップを繰り返して身体能力をリアルに近づけていった。

 そんなボクはSAOではトップレベルのソロプレイヤーとして名が上がっており、ボクの剣の速さから神速の異名を持つ剣士としてプレイヤー内では有名になっている。まあ、これはボクの類まれな美貌とスタイルの持ち主であることも大いに影響していた。

 ここで、VRMMORPGだから美形キャラや美少女キャラなんていくらでもいるだろう、と思う人もいるかもしれませんが、SAOに参加しているプレイヤーはチュートリアルでアバターがプレイヤーの現実の肉体、特に顔の造作をほぼ完璧に再現した姿に改変された為に、すべてのプレイヤーがリアル顔バレになってしまい、盛りに盛ったアバターは台無しになっていた。

 特に拙かったのが男性でありながら女性プレイヤーを選んでいたネカマたちで、彼らはネカマバレしたために非常に肩身の狭い思いをすることになった。

 ボクはネカマを差別するつもりはないが、それでも見た目的にアレはちょっと痛いからネカマを直視しないようにしていた。想像してみれば分かるが厳つい男がスカートなどの女性用の衣服を着ていたら気持悪いだろう。

 それでは、衣服を男物にすればいいと思うだろうが、ここでも問題がある。というのもプレイヤーはパーティを組む時に相手のキャラクター名が分かるのだが、その際元女性キャラだとばれてしまうのだ。その為、ネカマはパーティを組めずに始まりの街で引きこもるか、単独でソロプレイヤーとして活動する羽目になった。当然ネカマの死亡率は高く、最初の一ヶ月で死亡した二千人のプレイヤーのうち半数はネカマだった。 

 正直言うと前世では男でTS転生しているボクとしては彼らに深く同情していた。やはり色々と思う所はあるのだ。

 さて、そんなSAO攻略も75階まで進んでおり原作通りならSAOはもうすぐ終了するだろう。色々と面倒であったが、一から自力で力を付けていくというのも得難い経験でしたね。

 

とある男性プレイヤーside

 デスゲーム時代のSAOのトップアイドルは誰かと聞かれれば俺を含めたプレイヤーの多くはハヅキの名を上げるだろう。十人いれば十人とも見惚れるほどの類まれな美貌に抜群のスタイル。そして一振りで三体のモンスターを斬るという出鱈目な強さ。その妖術じみた凄まじい剣技を誇るトッププレイヤーの彼女を知らぬ者はSAOにはいなかっただろう。

 チュートリアルの段階でリアル顔バレ+ネカマバレが発生した事によってSAOの華は激減してしまったが、逆に考えればバッタものがなくなって本当の美女、美少女が分かるようになったのはある意味幸いだ。その為、MMORPGにつきものであるリアルの性別や容姿がわからないという不安もないのだ。

 考えても見て欲しい。例えばいくらゲームで美少女と仲良くなったとしても、その中身がオッサンやブスだったら目も当てられないだろう。

 それだけにハヅキに思いを寄せて告白するプレイヤーも多い。まあ、それらは尽く玉砕していて当時の彼女は難攻不落の要塞と思われていた。そんな彼女に付きまとう男は多く、面倒事が良く起きていたらしい。 

 何でそんなことを言うのかというと俺もハヅキに告白して玉砕したプレイヤーの一人だからだ。さて、そんなハヅキだがSAO終了後に唯一の行方不明者としてニュースで放送されていた。

 あのSAO事件は一万人のプレイヤーのうち6028人が生還して、死者3971人に行方不明者1人が出たという大事件となった。

 ここで何で行方が分からないプレイヤーがいるのだ、と思う人もいるだろう。そうSAO事件は前代未聞の大事件として警察だけでなく日本政府さえも大々的に動いており、プレイヤーの肉体の保護や死者の確認などはちゃんと行っていたのに、まったくもって発見されず事無く生存し続けてゲームクリアを迎えたプレイヤーが1人いた。そのプレイヤーこそがハヅキだった。

 警察もハヅキ(本名不明)を確認しようとしたが、結局としてわからず徒労に終わってしまったらしい。このことはマスコミにもれてSAO事件のミステリーとして騒がれることになった。

 今ではハヅキなんてプレイヤーは最初からいなかったとか、GMが用意した特殊なNPCではないかとまで囁かれていたが、今となってはどうでもいい事で、真相はどうあれ俺が彼女と関わる事はもうないだろう。

 そんな事よりも、俺がするべきことは衰えた肉体のリハビリとこの二年間の後れを取り戻す事だ。俺が勤めていた会社は当然俺をクビにしていたからリハビリが終わったら再就職しなければならないのだから。

 

解説

■東葉月(あずま はずき)
 PCゲーム『ヤミと帽子と本の旅人』のキャラクターで、アニメ版では主人公となっている。東条美月の元ネタで外見と能力はアニメ版の彼女が原型となっている。

■医療ポッド
 中に入って身体を横たえるだけで主に外科的治療を行ってくれる医療設備。中の人は眠りについた状態で食事排泄の手間だけでなく、老化や筋力の低下などもないため、難病を時間をかけて直すという使い方もできる。

 

あとがき

 この話はこれで終わりですが、やはり美月が単独でSAOに参加する理由が強引過ぎるからこの話はお蔵入りにしました。それと原作ではSAO生還者は6147人ですが美月が介入した結果人数が変化しています。後、美月が警察に発見されなかったのはステルス機能を強化した宇宙船に備えられていた医療ポッドの中でゲームに参加したからです。その為、地球上のどこを探しても美月を発見できませんでした。

 

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