ADONISの手記

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18.ホモ・サピエンス・サピエンス

2017年10月05日 21時29分44秒 | 小説

 この世界に転移して50年が過ぎた。この50年でミサカシスターズのプレイヤーたちはNPCとの間に多くの子供を作り、その子供たちがまた子供を作ることで島の人口が増えていき島は順調に発展した。

 一方、大陸では八欲王が派手に暴れて大陸を支配したが、彼らは仲間割れを起こして殺し合いを行い、生き残った最後の一人も竜王たちによって倒されていた。正直言って愚かというか馬鹿というか、コメントに困りますね。

 ミサカシスターズは100人のプレイヤーが団結して協力しているのに対してこの醜態は呆れてものが言えません。それはミサカたちにとってもそうらしく、彼女たちの八欲王に対する評価は非常に辛辣でした。

 実のところこの世界の人間と地球の人間はまったくの別の種族である。地球の人間が『ホモ・サピエンス・サピエンス』であるのに対して、この世界の原住民たちは『ホモ・サピエンス・マギテウス』とでも呼ぶべき種族で、人間とは思えないほどの身体能力を持っているのだ。

 元々は、この世界にもホモ・サピエンス・サピエンスはいたが、様々な種族が混在するこの世界の激しい生存競争に負けて絶滅してしまっていたのだ。またそれよりも強いホモ・サピエンス・マギテウスであってもこの世界では弱者にすぎず、600年前には絶滅寸前まで追い詰められていたのを六大神に助けられて、ある程度の生存圏を確立させていたわけである。

 つまりこの世界の人間は厳密には人間ではなく人間の近縁種で、リアルの人間よりも強い別の種族なのだが、六大神を含めたプレイヤーたちはなまじプレイヤーとして圧倒的に強さを有していたばかりに彼らが人間にしては強すぎる事に気づかず、寧ろ弱い存在だと誤認してしまう有様だった。

 ぶっちゃけると、この世界でホモ・サピエンス・サピエンスなのは人間のプレイヤーとNPCならびのその子孫だけなのだ。故にミサカシスターズはホモ・サピエンス・サピエンスの純血を重んじてエルフのみならずこの世界に人間であるホモ・サピエンス・マギテウスとの混血も禁じてホモ・サピエンス・サピエンスとしての血統を守ることにしたのである。

 そうした意味でも大陸から遠く離れた島という地理的条件は都合がいいものであった。なまじ大陸でこの世界の人間と交流を持つと彼らとの混血が進んでしまうからだ。ただでさえ六大神や八欲王が現地のホモ・サピエンス・マギテウスの間に作った神人という混血までいるのだからこれ以上の遺伝子汚染は避けたいのだ。

 幸いなことにNPCはすべて人間であり、プレイヤーもすべて同一人物のクローンだったが、見分けの為にアバターの外見をそれぞれ変えていた影響からか、転移後の遺伝子はバラバラであった為に、ホモ・サピエンス・サピエンスとしての遺伝子の多様性は保たれていた。

 実のところ私たちはホモ・サピエンス・サピエンスの存続や遺伝子汚染などといった問題には興味はない。この世界のホモ・サピエンス・サピエンスは滅びているが、他の下位世界ならホモ・サピエンス・サピエンスなどいくらでもいるからだ。クローンたちがなぜかそういった思想になったから、それに手を貸しているにすぎないのだ。

 

 そんな私たちであるが、この50年でユグドラシルにはないオリジナル位階魔法や位階魔法を元にした生活魔法を開発して自力で習得していた。また世界級アイテム『無銘なる呪文書(ネームレス・スペルブック)』もあるので、たまにそれを見ることもあった。

 この無銘なる呪文書は原作では八欲王が所有していたすべての魔法が記された書物で、新たに開発された魔法も自動的に書き加えられていく機能がある為、私たち以外の者が新しい魔法を開発したら即座に確認できるのだ。まあ、大概はあまり役に立たない魔法ばかりだったけどね。 

 もう、この世界でやることはないので引き上げることにした。ミサカたちとはここでお別れです。確かに彼女たちは私たちが作ったクローンですが、もう役割は果たしています。

 勿論、彼女たちには色々と頑張ってもらっていますが、私もこの島の発展にはそれなりに手を貸しているので、貸し借りは無しというところですね。

 彼女たちがこの世界でどう生きるかは分かりません。もしかしたら450年後に現れるモモンガと関わることになるかもしれませんが、それは私たちには関係ない事です。

 

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