ADONISの手記

主にADONISが書いた二次小説を公開しています。リンクフリーです。

2.パラガス

2016年10月18日 01時02分55秒 | 小説

「はあっ」

 ミズナの蹴りをサイヤ人の男が防ぐ。ミズナと男では、男の方が戦闘力は上。だから効かないのは分かり切っていた。
 
「ぐおっ!」

 ミズナと男は幾重にも拳や蹴りを交わしていく。

「はあっ、はあっ」
「やはり筋は良いな」

 息を荒立てるミズナを見て、男が言葉を発する。

「…そうかな?父さん」
「ああ、エリート戦士の子供とはいえ、お前の年でここまで強くなる者はそうはいない」

 その男、パラガスは自分の娘ミズナをそう誉めた。
 
 サイヤ人が自分の娘を誉めるのは珍しい。親子の情などというものが薄い一族だしね。
 
「地上げの仕事も上手くやっているらしいな」

 サイヤ人は実力(戦闘力)さえあれば年齢は問わない。元々、星の地上げに赤子まで使うから、優秀なら子供でも使うのは当たり前だ。
 
 私もその仕事が回ってきていた。抵抗がないわけでもないが、何回かしたら慣れた。慣れって怖いね。まあ、転生しているから何処か現実感がないのかもしれない。最近では戦闘経験を積む機会だと割り切るようにしている。本当は無益な殺生をするのは好きではないけどね。でも地上げの仕事上不殺はできないので、結局全滅させるしかありません。
 


 私の父はサイヤ人のエリート戦士パラガス。【燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦】で、伝説の超サイヤ人ブロリーの父親として、ブロリー共々ベジータ王に粛正させかける人物で、後にブロリーの力を使って全宇宙の支配を企ててブロリーに殺された男だ。
 
 これって凄い死亡フラグ。ブロリーの姉でパラガスの娘ということは、下手をするとベジータ王やその取り巻きに私まで粛正されるじゃない?
 
 おまけにブロリーの暴れぶりは頭が痛い。いっそのこと私自身がブロリーを赤子の内に始末した方がいいのではないか?と思ったりもしたが、いくらなんでもそれは過激だ。実の弟を危険かもしれないからと手に掛けるのは気が引ける。ブロリーに関しては別の方法を考えておきましょう。
 


エイジ732

 惑星ベジータ崩壊のXデーまで後五年。5歳になった私は戦闘力2000まで成長しました。私ぐらいの年のサイヤ人の戦闘力はエリートの子供でも1000を超える者はいないから私は筋が良いと言われている。
 
 でも悟飯の戦闘力と比べると凹む。フリーザ編の悟飯って5歳で10,000を超えていたよね。ナメック星人の最長老に潜在能力を覚醒させられたからだけどその差には頭が痛い。
 
 私もエリートの中でも特に優秀だと言われていますが、とてもじゃないけど自慢に思えませんよ(泣)。でも私は挫けませんよ。取り敢えず、原作の悟空がしたように100倍の重力訓練室を作ってもらいました。
 
 えっ、そんなお金があるのかって? そんなの借りに決まっています。幸い私は能力が評価されていますので借りも問題なくなるでしょう。働きで返せば良いのです。まあその働きであの世に送られる方々の事を思うと憂鬱になりそうですけど。それに五年後には夜逃げもとい逃亡する予定ですから借りを作っても問題ありません。惑星ベジータと運命を共にするつもりはないです。
 
 それで早速重力室で修行です。最初は15倍から初めて結構苦労した。でも効果はありました。さすがにドラゴンボールの修行で多用される手段です。戦闘力の伸びが凄いですよ。
 


 この頃から模擬戦の相手はパラガスだけでなくバーダックともやるようになった。元々バーダックは原作でも私が好きなキャラだったので、交流を持つのも悪くないしね。バーダックに話しかけたら向こうも私を知っていた。
 
 まあ、サイヤ人は元々少数民族。惑星ベジータにはサイヤ人以外にもフリーザ軍の技術者などがいるがそれを含めても数が少ない。つまり狭い社会なので付き合いがあるなしはともかく顔や名前を知っている事は珍しくない。特に私は数少ないサイヤ人の女戦士で、その優秀さ(戦闘力の高さ)で有名らしいですから。
 
 バーダックからすると私は気取りきったエリートのお嬢ちゃんに見えるらしくてなんか態度が良くない。何かむかついたので、模擬戦をすることにした。とはいえ惑星ベジータでそれをすると拙い。誰かに私の本当の戦闘力をスカウターで計測されてベジータ王に報告でもされたら困るからね。だからバーダック達の地上げを手伝いその後で模擬戦をするということで話を付けた。
 


バーダックside
 
 酒場でトーマたちと飲んでいると一人のガキが話しかけてきた。確かこいつは最近評判のエリート戦士のガキだ。
 
「へえ、貴方がバーダック」
「お前は確かバラガスのガキだったな。こんな所に何のようだ?」

 俺の疑問も当然だった。この酒場はもっぱら下級戦士達が集まる場所で、エリート戦士それも子供が来ることは珍しい。

「貴方の戦いぶりを噂に聞いて興味が出たからね。それに下級戦士ながらエリートにも引けをとらない戦闘力を持っているらしいね」
 
 現在のバーダックの戦闘力は3800。これはエリート戦士にも匹敵していた。
 
「へっ、何なら試してみるか?」

 エリートのガキが調子に乗りやがって気にくわねぇ。

「ここでやるのは無粋ね。だから貴方達の次の地上げに私も手伝って上げるわ。その後で模擬戦をしない?」
「いいだろう、そうしようじゃねぇか」

 ミズナの言葉に俺は応じた。これが出会いだった。
 


 その地上げはあっさりと終わった。当然だ。元々この星の連中は大して強くなかったし、ミズナまでいたからだ。アイツの大猿は凄まじい強さだった。おまけに大猿になっても理性を失わず冷静に戦っていた。元々サイヤ人の下級戦士は大猿になると理性がとんで暴走しがちになるがエリート戦士の場合理性を保つことができる。
 
 その後、トーマたちが見る中で手合わせをすることにした。

「バーダック、戦う前に一つ言っておくわ。貴方私の戦闘力なら経験の差で勝てるとおもっているでしょう?」

 当たり前だ。確かに200ほどミズナが勝っているがその程度どうとでもなる。相手は未熟なガキに過ぎない。
 
「でもね、私は戦闘力のコントロールができるわ」
「せ、戦闘力のコントロールだと!?」
「そうスカウターで私の戦闘力をよく見る事ね。ハアアア!!」

 ミズナにセットしたスカウターの数値がどんどん上がっている。
 
「5000、7000、10,000……」

 信じられん、まだ上がっていく。

「戦闘力15,000だと!ば、馬鹿な!」

 あり得ない。サイヤ人最強のベジータ王ですらその戦闘力は12,000だ。いくらエリート戦士とはいえ、こんなガキのうちから15,000なんて数値はあり得ない。トーマ達も愕然としている。とんでもない相手に戦いを仕掛けてしまった。だが、それでも戦いをやめないのがサイヤ人だ。

「安心しなさい。あくまで手合わせだからちゃんと手加減はするわ」

 ミズナが余裕の笑みを浮かべていた。
 
 結果として手合わせは俺のダウンで終わった。さすがに戦闘力の差が3倍以上もあったら勝ち目がない。
 
 その日を境に俺は頻繁にミズナに手合わせをするようになった。元々、自分よりも戦闘力の上の相手に戦いを仕掛けることをよくしていた俺だ。ベジータ王よりも戦闘力の高いミズナが相手であれば申し分ない。
 
 ミズナは俺やトーマ達に本当の実力を秘密にしておくように言った。俺達が最初は怪訝に思っていたが、「そうしないとサイヤ人同士で殺し合いになる」という理由に納得した。

 ミズナが言うには当代のベジータ王は権力欲が強く、自らの権力を脅かす者を排除するらしい。俺達下級戦士は王の人となりはよく知らないが、より王に近いエリート戦士であるミズナが言うからには本当なのだろう。戦闘力の高さは、戦闘民族サイヤ人を統率する最も重要な権威であるため、王を上回るほどの戦闘力の持ち主は排除するということだ。
 
 特にミズナはエリート出身で更にまだ年若く成長の余地は十分にある。そんなミズナは王の権威を脅かすと思われるのは必定。勿論そうなればミズナも黙って殺されるつもりはないが、それでは同じサイヤ人同士で殺し合いになる。俺達が黙っていればそういう事態も防げるのだ。
 


 その後のミズナとの交流で、いくらエリートとはいえミズナの戦闘力は高すぎる事に疑問に思った。明らかにおかしい。だからその事をミズナに聞いた。それに対してミズナが言うには、俺達サイヤ人は闘争本能が強いために戦う事はしているが、まじめに修行して鍛えるという事は殆どしていない。ミズナは戦う事よりも修行して鍛えることをメインにしているらしい。

 確かに地上げの仕事は下級戦士の方がより頻繁に回されるから戦闘経験だけはエリートよりも下級戦士の方が多い。ミズナはその空いている時間を使って修行しているのだろう。だが、わからないことがある。王に目を付けられることを承知の上で何故それ程までに力を求めるのか? ミズナは『超サイヤ人』になることを目指しているらしい。
 
 超サイヤ人。それは俺達サイヤ人の口伝で1000年に一人現れるという如何なる天才戦士でも超えられない壁を超える宇宙最強の超戦士。俺達サイヤ人自身ですら信じている者は殆どいない、ただの言い伝えにすぎない。
 
 しかし、ミズナは超サイヤ人の実在を強く信じている。何がミズナをそこまで駆り立てるのかそれがわからない。ただ力を求めているだけなのか? バーダックは漠然とした違和感を抱いた。

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