ADONISの手記

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きれいなリリーシャ その三

2016年10月09日 17時17分46秒 | 小説

 皇暦2020年。マリアンヌ皇妃暗殺を機に私がブリタニア皇室から出奔して11年が過ぎた。この時はゼロレクイエムから1年が過ぎており、この世界がどうなっているか原作に関わるつもりがなかった私でも多少も興味があった。

 そして、原作通り、ナナリーが合衆国ブリタニアの代表に、扇が合衆国日本の首相になっていた。正直原作でも思ったけど一番まずい人選でしょうね。というか、こいつらはどの面さげて国家元首なんぞになったのか理解不能です。

 案の定、あの二人は無能ぶりを晒してしまい、当初は歓迎ムードだった日本やブリタニアの民衆から叩きに叩かれていたが、それは当然でしょう。民主主義国家においては民衆には無能な統治者を叩いて引きずり下ろす権利がある。帝政時代のブリタニアとは違うのだということをあいつらは分かっていなかったのだ。

 最もあの二人にはそれで自らの非を認めて辞任するような潔さなど欠片もない。扇は英雄面してしぶとく首相の地位に居座り続けており、ナナリーは保身の為にゼロやシュナイゼルに頼っていた。

 それだけならば特に問題ないが、私の存在を知ったナナリーが私に面会を申し込んできたのだ。私はナナリー、コーネリア、シュナイゼルといった旧皇族たちとは一切関りがなかったが、私がジェレミア卿やロイドなどのルルーシュと関係があった者たちとは接触していたからその辺りから漏れたのだろう。

 当然ながらナナリーと関わりたくない私はそれを断ったが、あまりにしつこく申し込みが来るのでしぶしぶ了承したのだった。

 そんなナナリーは車椅子をゼロに引かれながらやって来た。ゼロは度々ナナリーと便宜を図っており、今回の私的な行動さえも関わっている。これはゼロの価値観からすると政治的にかなり拙い行動なのだろうが、それをいうならナナリーがブリタニアの代表になってしまったことが拙いので今更でしょう。

 初っ端から間違ってしまい今やゼロレクイエムはガタが来ている。最も無知なゼロ(スザク)にはその程度の事もわからないでしょうが。

 

「お姉さま、お久しぶりです」
「確かに11年ぶりだから久しぶりですが、私の事をお姉さまと呼ぶ必要はありませんよ。ナナリー代表」
「お姉さま!?」

 私の他人行事にして拒絶の言葉にナナリーは驚愕していた。というか、あれだけのことをしてどうして私に受け入れられると思っているのだろう。どう考えても拒絶されて当然でしょう。

「な、何でそんなことを仰るのですか!」
 と、ナナリーが私を責める。

「そもそも私は11年前にヴィ家の弟妹を見捨てて皇室から出奔しています。その時点で弟妹との縁を切っていると私は認識しているのですが、ナナリー代表はお分かりではないようですね」

 ようは11年前からルルーシュやナナリーとは家族ではなくなっていると言っているわけである。

「そんな! 私たちは家族ではありませんか。そのようなことを仰らないでください!」
「家族ね。そういえば8年間も身を削って妹を守ってきた兄を、悪魔と罵倒してフレイヤを打ち込んで殺そうとした妹がいると聞いたことがあります。まったくひどい妹もいたものです。そうはお思いませんかナナリー代表」
「………!?」

 言外にナナリーに家族の絆などという言葉を言う資格はないと指摘しておいた。というか、あれだけのことをしておいてよくも家族などと言えたものです。

「リリーシャ、君はナナリーになんてことを言うんだ。それでもナナリーの姉なのか!」
 と、ゼロが余計な口を挟んできた。

「そういえば、親友の事情を全く考慮することなく、親友を一方的に責め続けた挙句、最後には殺した方もいましたね。本当に大した友情ですね」
「………!?」

 それはゼロの仮面を被ったスザクに対する皮肉だった。案の定、ルルーシュに瓜二つの私からそんな言葉を言われたゼロは硬直した。まったく、ゼロを騙る裏切りの騎士に偉そうに説教されるいわれはありません。

「それにしてもルルーシュは甘いわね。妹や親友なんて下らないものに拘って切り捨てるべきものを切り捨てられずに身を滅ぼすなんて愚かな事ね。私なんて9歳の時には弟妹すら切り捨てたというのに」

 そう、ナナリーとスザクは明らかにルルーシュの障害になっていた。私がルルーシュの立場ならば早々に二人を切り捨てていただろうが、それができなかったのがルルーシュの限界だった。

 かといってルルーシュに王の器がないというわけでもない。他人を思いやるその優しさは仁政を行う上で必要なものです。機械のように情がない人間には仁政なんてできません。

 私の場合は某ウンコマンほどではありませんが自己愛に傾いていて、この世界の人間に対する愛が欠けています。といっても、それは多くのトリッパーにも言える事ですが。その為、平気で同母の弟妹すら見捨てることができたわけですが、逆にいえばそんな私には仁政というのは無理でしょうね。少なくとも賢帝にはなれない。

 そういった意味ではルルーシュを追い詰めて悪逆皇帝にしてしまったこの二人の罪は重いと言わざるを得ないでしょう。まあ、それを言うならそれを知りながら阻止しようとしなかった私もある意味同罪かもしれませんけど。

「ナナリー代表、貴女はルルーシュから与えられる愛が当たり前の事だと思っているのでしょうが、それがどれだけ貴重なものであるか貴女はお分かりではなかったようですね。まあ、そうでなかったらあれ程あっさりとルルーシュを裏切るわけがないでしょうね」

 結局、ルルーシュのナナリーに対する愛はどこまでも一方通行にすぎなかったわけです。最終回でナナリーがルルーシュを愛していると言っていたが、今更そんな言葉を信じれるわけがないでしょう。

「それでルルーシュが死んで、あなたを愛してくれる人間がいないからと言って、私を代替品として求めるのはやめてください。私は貴方を愛してなどいないのですよ」

 ルルーシュの代わりなど冗談ではありません。ナナリーのような恩知らずの薄情者を愛してやるわけないでしょう。

「もういいでしょう。ナナリー代表どうぞお帰りください。もう、私は貴女とは関係ないのですから」

 私はナナリーを拒絶して彼女たちを帰らせた。傍から見れば実の妹相手に酷いことをしているようですが、それは彼女がこれまでしてきたことを思えば同然の事です。

 

あとがき

 ゼロレクイエム後のナナリーがリリーシャを見つけたら、ルルーシュの代わりに愛してもらおうとすると思います。異母姉兄のコーネリアとシュナイゼルはダモクレスではナナリーに優しくしていましたが、それはナナリーを利用する為にすぎません。その為、ルルーシュが死んだ後はシュナイゼルどころかコーネリアすらも、なまじルルーシュを倒すために利用していた自覚があるだけに、ナナリーには家族面はしなくなると思います。そうなるとナナリーはますますリリーシャを求めるでしょうが、リリーシャがそれに応じるわけがありません。

 

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2 コメント

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Unknown (ヤマト)
2016-08-07 14:12:03
妹の教育を失敗した兄が可哀想な結末を迎えた話は堪らないですね、今回はトリッパーの意見に賛成します。質問ですが特典に神座の太極を手に入れたトリッパーはいますか?
返信 (ADONIS)
2016-08-07 14:20:53
>ヤマトさんへ
原作のナナリーを見ているとどうみても兄想いの優しい妹にはみえず、ただの聖女顔をした偽善者にしかみえません。これではリリーシャがナナリーを嫌うのは当然でしょう。

後、神座の太極に関してはあまり考えていなかったので、そういう転生特典を得ているトリッパーはいますが、現時点では登場することはありません。

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