粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

立つ鳥後を濁す?古館伊知郎

2016-03-12 17:30:07 | 反原発反日メディア

昨日3月11日は5年前大震災で犠牲になった人々の霊を慰め、今なお震災の後遺症に苦闘する方々に思いを新たに馳せる日だ。そんな厳粛な日をぶちこわすような悪意ある番組を流す放送局の意図はどこにあるのだろうか、と疑問とともに憤りさえを覚えてしまう。

テレビ朝日報道ステーション特集「原発事故とは関係ないのか…福島の子供たちの甲状腺がん」のことだ。報ステでは2年間のこの日にもこの甲状腺がんの特集をぶつけて物議をかもした。今度もなんと放送時間の4分の3をこの特集に割く熱にの入れよう。といってもそのエネルギーは原発事故での被曝の恐怖をひたすら煽ることに注がれていた。

具体的には福島県による事故当時18歳以下の子供の甲状腺がんの検査でこれまでに166人(1巡目115人、2巡目51人)が甲状腺がんまたはがんの疑いがあると診断されたことだ。番組ではこの数字が「事故と関係はないのか?いや事故が影響しているのではないか」といったスタンスに終始していた。

番組はがんんと診断された当人や親3人の証言から始まる。宣告されたことの衝撃とともに将来再発や転移はないのかという苦悩が語られる。それとともにこのが甲状腺んが事故と関係するのではないかとという当人たちの疑心暗鬼が表現される。

さらに浪江町の小学校校長がの苦悩が語られる。当初浪江町と同様に高い線量がある西北の川俣町に学校が避難させられたために被曝の影響がでるのではないかと心配している。しかし、現在のところ学校では甲状腺がんの疑いのある子供は出ていない。本当はそれを喜ぶべきであろうと思うのだが。

県民検査を実施している福島県は原発事故による影響は考えにくいということを最初の検査以来強調している。その根拠としては、福島での被曝がチェルノブイリ事故と比べて遥かに少ない線量であること、検査でがんと診断された子供はすべて10代であり事故当時0~5歳の子供にがんがみつかったケースは皆無であること、地域別の発見率に大きな差はない(線量が大きく違う浜通り中通り会津の比較で)こと、を一貫して説明している。

報道ステーションではこの根拠にひたすら疑問をなげかけていた。まず、チェルノブイリ事故との比較、番組ではわざわざウクライナの町やベラルーシの研究所に行き甲状腺がんになった子供たちの取材をしている。事故当時0歳だった女性は10代でがんを発症させ手術をうけている。この町はチェルノブイリから80キロと離れ避難指示もないほどに線量は高くない場所のようだが、この地域でも甲状腺がんが多発しているというのだ。

しかし、番組は内部被曝のある事実について詳細に分析していない。チェルノブイリ事故では、事故の対応が鈍くて食品の摂取について問題が多かった。特に、放射性ヨウ素を含んだ牛乳(ミルク)を多量に飲んだために有害ヨウ素を甲状腺に集積させてしまったのだ。それがチェルノブイリ事故で子供たち(特に影響を受けやすい0~5歳)に甲状腺がんを頻発させた原因になったのだ。

しかし、福島の事故では食品や水の規制が厳しくて放射性ヨウ素による内部被曝が防止された。また福島では正常なヨウ素をみそ汁などで摂取しており甲状腺には放射性のものが入る余地は少なかったというのが現実である。これは日本の放射線医学の専門家の間ではすでに定説になっている。

番組ではこの事実を知っているのかどうかわからないが、完全にスルーしている。極めて不公平といわざるを得ない。つまり、地域の被曝爆線量よりも子供たち個人個人が事故当時、内部被曝をどれだけ具体的に受けたかとうことが肝心なのだ。だから、避難地域でないウクライナの町でも多くの子供たちが甲状腺がんに苦しめられているのだ。この点が番組では完全に欠落している。

そして、番組では県の根拠のうちで、もうひとつの点でも問題にしている。すなわち「福島では事故当時0~5歳で甲状腺がんと診断された子供はいない」という点だ。これについて番組ではチェルノブイリ事故の取材で「0~5歳の子供は早くて7、8年、普通では10年以上たって甲状腺がんを発症している」と紹介している。だから、今は見つからなくてもこの先被曝の影響ででがんになる可能性があるとしている。

しかし、番組でも登場する国立がんセンターの津金氏昌一郎氏が福島の検査が「過剰な診断」と指摘しているように、福島では精密すぎるエコー検査が福島県のすべての子供に実施されている。(番組では手術の必要もない甲状腺がんも手術している県の対応のみを問題にしているのは不公平だ)早期発見が可能なその検査をもってしてもいまだ0~5時の甲状腺がんは見つかっていない。だから、これまでのところ「事故の影響とは考えにくい」という県の報告は素直に容認してよいだろう。これは今後の検査の進展とともにより確実性が高まっていくものと期待できる。

だが、県の「考えにくい」という表現を古館キャスターは問題視している。「検討委員会の考えにくいという言葉は都合のよい言葉だと思う。むしろ逆だと思っている。因果関係とははっきりわからない、否定できないといといるのだか、因果関係があるという前提でじっくりさぐっていくというプロセスが必要なんだと思う。未曾有ということはこれまでなかったことですからなかったということは詳しいデータの積み重ねがないということだ。完璧ではない段階では謙虚に気長に粘り強く検査をしていき研究していく姿勢に必要だ」(コメント要約)

古館キャスターの主張していることはいかにも正論に聞こえる。しかし、彼の前提にはどうも原発事故と甲状腺がんは関係がある、なければおかしい」という疑心から発しているとしか思えない。特に問題なのは県の検査による報告で根拠が完璧でないということをことさらで強調して番組を進行させている点だ。

事故以前の甲状腺がんのメカニズムそのものが現在100%解明されているわけではない。だから、県の検査が99%事故の影響はないと確信していても絶対ないとはとてもいえない。そこが「考えにくい」という少し曖昧といえる表現になりうるのだ。これは医学に従事する科学者の謙虚さといえるものであり、また良識さらに良心だといえる。しかし、古館がその言葉尻をとらえて「因果関係があるという前提」などと言い切るのは傲慢にしか思えない。そこには何が何でも事故と結びつけようという特定の意図がありありと見受けられる。

古館はこの3月で番組を降板することになっている。彼が残した置き土産がその後の番組にとり、重い足枷にならないとことを願うばかりだ。立つ鳥後を濁す?

 
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