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『アクロイド殺人事件』アガサ・クリスティ

2008年01月16日 | 推理小説
アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
アガサ クリスティー
早川書房

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『アクロイド殺人事件』アガサ・クリスティ (新潮文庫)

 フェアかアンフェアか

 この推理小説を読むとき、いつだってこんな感想がつきまとう。
 まぁ、それも仕方がないかもしれない。
 この小説が発表された当時から、これは議論の的なのだ。
 そう言えば、先日「名探偵の掟」というTVドラマで「アンフェアの見本」という話が放映された。

 ぶっちゃけて言おう。
 あんなのは全然アンフェアじゃねぇ~
 ただの卑怯です。

 それぐらいアンフェアなトリックを用いた推理小説、いや叙述トリックは難しいのだ。

 さてここで、「叙述トリックって?」と首を傾げている方は、
 悪いことは言わない。
 上記のアマゾンをクリックしてこの小説を読みなさい。
 そして「オリエント」でも言ったが、他の推理小説やら解説書やら何にも読まずに真っ先にこの本を読むことです。
 知らないことが最大の幸福なのですから。

 ところで先ほどの議論。
 フェアかアンフェアか。
 ですが、私はそもそも推理小説そのものがアンフェアなんじゃないかと思っているのですが。
 もし本当にフェアだと言い張るなら1人称では書かないで欲しい。
 必ず3人称で書いて欲しい。
 すべての証拠には全く私見を入れず、ただ客観的に叙述して欲しい。
 ま、本物の殺人事件でもそこまで客観的に叙述できるかと言えば、決してそうではないので(映画「それでもボクはやっていない」や「十二人の怒れる男」参照)、十中八九、無理でしょうが。

 だからこの『アクロイド殺人事件』は

 推理小説が決してフェアじゃないことを暴いた

 小説なのだと思います。


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