2012年8月25日 07時10分 更新
戦争のコストは420億ドル イスラエルの対イラン戦
BDI-Cofaceの計算によると、初期の直接的な損害でおよそ117億ドルが費やされる見込み。さらに今後3年から5年間、経済的な影響が60億ドルほどかかるという。最高額の試算では、今後5年間で420億ドル近くのコストが費やされる。
なお、イスラエルの2011年の国民総生産(GDP)は、国際通貨基金(IMF)の発表で焼く2352億ドルだった。つまり、初期の直接的な戦争損害だけで、イスラエルはその経済規模のおよそ5%のコストを費やすことになる。
戦況を予測することは難しく、それと同時に戦争のコストに関する正確な予測も難しい。ただ、戦争が長引くほど、コストは高くなるだろう。水やガス、電気など主なインフラが破壊されれば、より損失が大きくなる。また、戦争によってイスラエルと他の中東諸国との関係性が変わり、貿易など商業的な損失をもたらすかもしれない。また、戦争を経た後の人口減少や、人の健康にもたらす問題なども、同国の経済に深刻な問題をもたらす可能性がある。
2006年のレバノン侵攻の際には、イスラエルのインフラに損傷があり、同国経済のおよそ1.3%に損失を被った。その後、イスラエルの経済成長率は0.5%縮んだ。
2006年の戦争ではイスラエル北部が主な損傷地域だったが、今回の戦争ではイスラエル全土が戦闘地域となる可能性もある。ロイター通信によると、BDI-Cofaceは「戦争により、イスラエルの経済活動の7割を支える国の中心部が巻き込まれると仮定することは妥当だ」と述べた。
イスラエル銀行(中央銀行)のフィッシャー総裁は、中銀が戦争による金融危機に対処するべく準備をしていると明らかにした。フィッシャー総裁は8月10日、現地メディアに対し「国の第一の責任は、その安全保障を維持することだ。我々は大規模な危機や悪化していく治安への準備を整えている」と語った。
イスラエルのネタニヤフ首相やバラク国防相は、イランの核施設への単独攻撃に踏み切る姿勢を示唆している。その一方でペレス大統領は、米国からのバックアップが必要との姿勢を明確にし、単独攻撃には否定的だ。
米国当局は、イランに対する制裁を強め、外交的な努力を時間をかけて行っていくようイスラエルに促し、単独行動は辞すよう説得する方針である。
この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。