《流血表現、カニバリズム、グロあり》
2011年9月26日 イタリア ネーロ所有 キアロスクーロの森、奥
「やめろッ!!やめてくれェ!!組織ならくれてやるッ!くるなぁぁああアア!!!」
「気分がいいなァ、ボスがこんなにも泣き叫んでるの見るのはよぉッ!」
「いや、違ぇよ!『元』ボスだろ?!」
「あんたがいなくなれば、この組織は俺らのモンだァ!!!」
「あ、ああぁぁあああああああアアアア!!!!!」
満月が暗い闇にぼんやりと光っている下、一人の脅えきった男の絶叫と数人の男たちの下品な笑い声が響いていた。
脅えて座り込んでいる男の腕は切り取られ血が溢れている。そのひじから先がない腕を振り回しながら、男は必死に逃げようともがくが腕がなければ走ることも、立つことすらできない。
その無様な様を見て、男たちはまた笑い声を響かせた。
「あんたは所詮、俺たちを小物としか思ってなかったからなァ…。そのまま、輪切りにでもしてやるよ」
「嗚呼!それならチェーンソーでぶった切ってやろぜ!」
その残酷な言葉を聞いて男は、叫ぶのもやめ、這いながらも逃げた。ただ、ひたすら。
その男の頭の上に、チェーンソーの刃が振り下ろされ__。
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2057年6月13日 イタリア ネーロ所有 キアロスクーロの森、奥
46年前の事件以来、誰も訪れなかった場所に一人の男が胡坐をかいて真っ青な空を見上げていた。
男は服を一枚も着ておらず、あまり健康的ではない肌を晒していた。
黒い髪で整った顔立ちの20代後半だと思われる。
しかし、異様な点があった。男の体のあちこちには深く刻み込まれた傷跡、つぎはぎがいくつも規則正しく並んでいた。
まるで、輪切りにされたかのような__。
他にも、うっすらと銃弾のあとと思われる傷が肩や足、腕にあったが、その傷跡は顔にも胸にも指にもあり、目立つ。
彼はふと、空から視線をはずし、自分のつぎはぎだらけの手のひらを見つめた。
だが、顔はただ無表情だった。