acc-j 茨城 山岳会日記

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大幽西ノ沢~丸山岳

2016年09月14日 09時39分40秒 | 山行速報(沢)

2016/9/6-8 南会津・黒谷川、大幽西ノ沢~丸山岳


尋常でない連勤に業を煮やして、「休みます」と宣言した8月。
9月の初めに3連休。実に2年ぶりの快挙だ。
環境は違えども、割切る覚悟は必要だ。

あれから2年。

あのときも覚悟はあった。
それでも西ノ沢は遠かった。
野太さに打ちのめされた、と思った。

そしてまた、大幽西ノ沢へ。

9/6

2011年豪雨災害により、黒谷林道は修復作業中ではあるものの、現在では小幽沢辺り(高幽橋)まで車が入れる。
大幽沢出合まで約30分の歩き。

見慣れた水色の橋を見上げて、大幽沢に入る。
取水堰までは沢伝いに行った方が早い。
さらに歩を進め、西ノ沢出合。

冷たさは感じない。今年の寡雪でおそらく雪渓は消えているだろう。
ならば、日暮れの遅い9月初めが適時となろうという作戦だ。

水量は多め。前日の夕立の所業だ。
ここ最近、天気は不安定。今日にしても天気予報では各所で大雨警報が発令されている。
大いに悩んだものの、自分の天候見立てを信じて入渓した。
その重圧もありザックに忍ばせた竿は封印し、遡行に専念する。

西ノ沢出合からしばらくは、穏やかな流れ。
最初の滝場は左岸、次のゴルジュは中央突破。3つ目のゴルジュは右岸を巻いて、懸垂下降。

黒河原沢出合で一休み。
この先の滝場は高さこそないものの、深い釜と狭谷の奔流に怖気づいて左岸を巻く。
尺物と思しき岩魚が数匹悠々と泳いでいた。

ここからゴルジュと滝場が断続的に現れる。
滝は登れたり、登れなかったり。
その手前の深い釜と奔流に取付くのを躊躇われたり。

その都度、右岸左岸を巻きに入るのだけれども、急傾斜を草とバイルを駆使して登る。
灌木に届けば、手がかりに不安は無くなるものの、ヤブコギをこなさねばならない。
下降は灌木をつないで沢床に降りたり、ダメなら懸垂下降。
ここで次の手を躊躇うと時間ばかりが過ぎてしまう、というのは前回の教訓だ。

いくつの滝を越えたのか、記憶も曖昧になるころ、1074の幕場に着く。
今回、ココで幕は張らない。
天候を考慮し、初日に出来るだけ源流に近づいておきたかった。

その先の滝場も高巻。
その先に程よく穏やかで屈曲した流れが続く。
西ノ沢の数少ないホッとする場面だ。
しかし、ここで油断はしない。
竿さえ出せば、という場面もこらえて西ノ沢の難所、2段8m滝まで進む。

難所の左岸高巻途中に2帖ほどの平坦地を見出し、ここで天幕を張る。
さすがに雨が降ろうとも、沢床から30m高いここまで水は上るまい。
増水のときは、会津朝日へ薮山エスケ-プを覚悟する。

夜は、肴なし、お茶づけのみ。加えて焚火なし。
ストイックな、という前に眠気が勝っているのだから仕方がない。
飯を食べたら、ラジオの気象情報を子守唄に寝袋の人となる。


9/7

4:00起床。
幸い雨は降らなかった。

暗いうちに朝飯を取り、明るくなってから撤収。6:00発
朝一、深い釜に泳ぎが入るのは躊躇われる場面だが、本日はイキナリの高巻。
山に来ていることを体に思い出させる。

ここの高巻は岩壁基部をトラバ-ス(約30分)の記憶。
しかしながら、尾根に詰め上げられ約1時間の高巻となった。
最後は急なルンゼを下り、懸垂下降で沢床に降り立つ。

この先で、昨年の到達点を越え、未知の領域。
水量の多い支沢を見送り、次も小さく巻く。

沢は急角度で突き上げる。
グイグイ高度を稼ぐと、丸山朝日沢を分ける二俣。
小休止してから、左に入る。

丸山朝日沢に入ってから水量は減るものの、滝場の数は減ることはない。
むしろ、高巻は容易ならざる場面が多く、細かくヌメる滝に取りつくこととなる。
程よい緊張感。
普段の雑事を忘れて目前のクライミング、手がかり足がかりに集中する。
この瞬間がとても好きだ。

次第に両岸の薮山然とした雰囲気から草付が一面を覆い出す。
水量はさらに減り、流れはS字を描いて蛇行する。
しかしまだまだ、露岩のナメ滝が出てくるなど、最後の最後まで気は緩められない。

そうして目前に現れる草原の頂に挟まれた草付デルタ。
あれだ。そこには確かな見覚えがあった。

クライマックス。
観客や共演者のいない舞台に、感動とか悲願はない。
「ようやく届いた」その小さな喜びだけである。

山頂の草原に、並んだ池塘。
変わらない風景に感謝。

山頂を後に草原をそぞろ歩いて、葦ノ沢下降路へ。
昔の記憶はあったものの、時に出てくる薮の道形は薄くなっている。
充分に吟味して草原の一旦から薮中の沢形へと進む。
GPSさまさま。

しばらく涸沢を下降する。水流が出てくるとヌメが非常に強く難儀させられる。
一カ所、懸垂下降をしたものの、あとはクライムダウンでどうにかなる。

なんてことない沢下りなんだけど、ヌメにやられて腰が引ける。
ココが踏ん張りどころ。
ようやくたどり着いた東ノ沢出合。
河原近くも適地はあったけど、増水を恐れて左岸の草薮台地を整地して幕。

ラジオの情報だと近くの利根沼田では洪水警報が発令されている。
翌日の予報は東北も全域で午後から崩れるらしい。
明日は午前中が勝負だな。

切り詰めた食料で行動食はいつもの半分。
晩のメニュ-も昨晩同様。
山菜でもつけ添えようかな、と思ってはみたもののやはり睡魔には勝てなかった。


9/8

4:00起床。
雨は降らなかった。雲は幾分高くなっていてしばらくは保ちそう。
意を決して、濡れた衣服に着替える儀式の挙行。

東ノ沢に入ると沢の規模も大きくなり、乾いた河原をトントン歩く。
一カ所、覚えのないゴルジュがあって、左岸を巻き下る。
渓相は変わるものだなぁ、と思いつつトントン歩く。

窪ノ沢出合の幕場はあまり使われていないようで整地作業が必要。
サブウリの廊下は、泳ぐのも最後だろうからと積極的に流れに身を任せてみる。
ドンブラコ、ドンブラコと流されるのも心地いい。

黒谷の森は幽玄だ。
一端である大幽沢も然り。
時にブナの老木に想い、流れるトチの実に想い。
そして、山紫水明。流れは止まることはない。

西ノ沢出合までの途中、一時雨が落ちた。
しかし、増水を心配するほどのものではなく、雨は上がった。
取水堰に来るころには青空さえ垣間見えた。

黒谷川までは沢通し。
水色の橋を見上げて、黒谷本流を渡ればこの旅もエピロ-グ。

林道崩壊地をこなして最後の登りを行くと林道の修復作業中だった。
行きにあった土砂崩れ後もすっかり平坦な道となっていた。
仕事中にもかかわらず、笑顔で通してくださった作業員の方に一礼。
ありがとう。

自然の力には敵うものではないが、文明もスゴイ。
普段、アスファルト道で工事をしていても感じ得ないが、この時ばかりは文明の凄味を感じた。

変わるもの、変わらないもの。
どちらがイイというものではないけど、変わらなくていいものもたくさんある。

馴染みの店の餃子の味。
あの娘の笑顔。
黄金色に首を垂れる稲穂。
そして、あの頂。

また、黒谷に来ることがあるのだろうか。
覚悟の後に残ったのは、一抹の寂しさだった。


sak


9/6
高幽橋(小幽沢出合)6:45-大幽沢出合7:25-取水堰7:50-西ノ沢出合8:13-黒河原沢出合10:34-大幽朝日沢出合11:45-1074m14:18-2段8m滝下16:42-幕17:05
9/7
幕6:05-丸山朝日沢二俣8:16-遡行終了12:50-丸山岳13:01-東ノ沢出合(幕)17:21
9/8
幕5:46-窪の沢出合7:30-西ノ沢出合9:19-大幽沢出合10:33-髙幽橋(小幽沢出合)11:10

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