Hippo日記

オーディオの事や感動した音楽の話し、お勧めの癒しの音楽など、徒然なるままに書いてみたいと思います。

防振、制振材の使いこなし(その二)

2014年01月20日 | ボックスチューニング

スピーカーは楽器と同じか!?

私の場合は「違う」と答えます。でも、音作りの難しさ、苦労、慎重さという意味ではたしかに楽器と同じだと思います。

前回の「防振、制振材の使いこなし(その一)」で、思ったよりも反響があったので、もう少し掘り下げて三回シリーズにしようと思います。

さて、スピーカーと楽器は「音の出る装置」というところまでは間違いなく同じですね。でも求められる内容が異なるので、私は違うと言います。この様な抽象的な議論は苦手なのですが、目的をはっきりしておかないとチューニングの方向性が迷走してしまうので、避けて通れないお話しだと思います。

アコースティック楽器の基本構造は、駆動部+音響変換部からなっていますね。ヴァイオリンでは弦~コマの部分が駆動部で、魂柱~ボディ(響板)が音響変換部ですし、管楽器ならば歌口が駆動部で、スロート~ホーンが音響変換部ですね。スピーカーならば、駆動部は磁気回路~ボイスコイルで、音響変換部は振動板ですね。

やっぱり楽器とスピーカーは一緒なのかぁ~。いえいえそういうことではないのです!(^^;

ヴァイオリンにはヴァイオリンの音色があるように、楽器というものは必ずそれぞれに特徴のある音色(ねいろ)があって、これこそが命ですよね。ではHi-Fiスピーカーについては如何でしょうか?ここで言っているのはあくまでもHi-Fi(高忠実度)ですからね。つまりHi-Fiスピーカーでは、あらゆる種類の楽器なり人の声なりを、もとの通りに再生する事が使命ですね。そうすると、楽器のように固有の音色を持ったスピーカーでは成り立たないことは自明ですよね。まぁ、そうではないと思う方は、このブログはスルーして下さいませ。

という訳で、私の言うBoxチューニングというのは、(固有の音色を付け足す)箱鳴り音が聴感上判らないレベルになる様にするという単純明快な話なのです。どうやっても箱鳴きは必ず出るのだから上手に鳴らそう、などと言う超高度な事は考えておりません。(^^

ちょっと話がそれますが、唯一楽器とスピーカーが同じと思う点は、軽量振動板の方が生のアコースティック楽器の音の再現が良いという事です。楽器の響板も軽く薄く作られていて、きゃしゃな作りからは想像できない様な大きな音がでますね。分厚くて重い丈夫な振動板ですと、低歪で大音量でも破綻しない傾向にあると思いますが、アコースティック楽器の軽くて活きの良い音(=魅力感のある美しい音)は出にくい様です。

<それでも必要な箱鳴り>

さて、箱は鳴らすなと言いましたが、現実にはそう簡単に割り切れない問題があります。それは、大雑把に再生系(プレーヤーやアンプ)の問題と、スピーカー自身の問題があります。

・スピーカーの問題
それはバッフルステップの影響です。この事は以前に何度も書いていますので省略しますが、小型スピーカー特有の音波の回折現象による中低域の痩せ問題です。この問題の解決はバッフルステップ補正回路を強く推奨しますが、一般には箱鳴りの活用をする事になります。

この場合は、Boxの板厚は薄め(剛性をおとして、共振周波数を下げる)にすることになります。固有の音色が生じにくい様に、寸法比を工夫したり補強桟を入れて、共振を分散(Qを下げる)させるのがコツだと思います。これは楽器の響板と似ているので、確かにスピーカーと楽器は同じ感じもしますね。但し、原音に忠実な楽器の音色感のためには、低域が薄くなっても鳴きどめを優先したい、という考えも勿論ありだと思います。

・再生系の問題
これが一番困る問題です。どんなに良いスピーカーを作っても、再生系がプアーだとどうにもなりません。それにも関わらず、上手く鳴らない時は必ずスピーカーの責任にされてしまうのです!電子系ではそれ程音は変わらないという常識的(?)潜在意識があると思いますが、大間違いなのです!!この話題は別枠をもうけないと不可能なので割愛しますが、日常的に起こる問題の代表格が中低域(厚み感)が薄いということです。(しかも、アンプよりもCDプレーヤーの問題)

超ハイエンドシステムのあの太く豊かな中低音は、スピーカーよりもむしろ再生系のおかげであると言って間違えではないと思います。サブウーファーとかバスブーストとか、その様な問題ではないのです。高くてもダメなものもありますし、安いからダメとも限りません。世間の評判ほどあてにならない物はなくて、自分の耳と足で良いものを探すしかないと思います。

その様な訳で、現実問題として音の厚み感のための箱鳴りの活用は否定出来ないと言う事を認めます。

<以上を踏まえての制振処理>

さて、以上の背景を踏まえた上で、生音の感動感を再現するために、スピーカーはスピーカーとしてのより高度なHi-Fiを追及したいとお考えですか?OK、それでは続けましょう。まずはじめに、制振処理の目的を明確にしておきます。つまり、実際にどの様な音質上の問題があるから対策が必要だと言っているのか、これが肝心かなめですね。

<箱鳴りの問題点>

特にクラシック系の生コンサートを良く聴く方や楽器を弾く方は、不自然な音色に敏感かと思います。私自身はと言えば、決していい耳を持っているとは思っていません。しかしながら、生演奏のリアリティ、空間再現を追い求める過程で、付帯音の除去は結果として重要な要素となっています。オーディオ的な表現では、音離れと音場感の向上、SN感の向上、濁り音の除去といった感じです。更に積極的な事として、剛性の高いBoxの方が芯のあるしっかりした中低音が出せます。例えば歌手の胸板がビリビリと振動する様な音力感が良く出ます。ところが、固いBoxは固い付帯音が出易い(煩くなる)ですから、制振処理もしっかりやらなければなりません。

<制振処理の方法論>

さて、方法論に入ります。箱鳴りには大きく二種類あると思います。「板鳴り」と「Box内部の残響音」です。私の経験では、この二者の聴感上の区別はしにくいです。しかし、吸音材を増やしても付帯音が気になる場合は、板鳴りとみて間違いない様です。そこで、以降は板鳴りの制振に話を絞ります。

さて、やっとここで主役その一であるX-Damperの登場です。板鳴りの周波数は意外に低いので、ゴム系のシート材では効果が少ないし、大量に使用すると音がこもる、という話題は「その一」でしましたね。その様な訳で、X-Damperは必要に迫られて作った製品です。

主役その二は高剛性Boxです。音力感→高剛性Box→板鳴きが煩い→制振が必要、と言う訳で、今回の制振処理のお話では、高剛性Boxが前提になっています。薄板Boxを制振しても効果はあるのですが、意図的に鳴らすBoxと、意図的に鳴らさない高剛性Boxでは、後者の方が制振処理の必要性が高いと言う事です。

大雑把な手順としては、
・補強必要箇所を見つけて、補強する。
・共振鋭度の高い個所を見つけて、制振処理する。

簡単でしょ?問題は場所と度合いが具体的にどの様な塩梅なのか、ということですね。これには経験的なコツがあります。ハンマー(ゲンコツ)とセンサー(耳)の二つがあればOKです。(^^

え?そんな簡単に出来るのか?測定器を使わないのか?はい、この手の物は体で感じるのが一番だと思います。前回の加速度センサーでの測定は、X-Damperが中低音域にもちゃんと効果がある事を実証するのが目的でした。ところがBox全体の振動解析となると、とたんに難しくなります。Box表面に数百個のセンサーを付けて、時系列処理をして・・・・昔、日本の大手スピーカーメーカーが華やかかりし頃には、有限要素法(ジャングルジムみたいのがフニャフニャ変形する画像のヤツです)で設計して、測定結果がこうなって、とやっていましたが、最近は見ませんね。

Box共振の様な複雑系の大局的な判断問題では、人の感覚に勝るものはないと思います。昨年NHKで「至高のバイオリン ストラディヴァリウスの謎」という番組がありましたね。ここでは音響解析をしても結論が出ないという結論でしたが、少なくとも動的な複雑系というものは人の判断が一番良いと思います。(^^

さて、「その三」では実地編ということで、段付きバッフル2wayの自作例特集の中でご紹介したいと思います。今写真を撮りながらBoxの製作中(↓仮組したところ)です。お楽しみに。

それでは今日はこの辺で・・・

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