自分ブランドにこだわってきた。
たまに行く立ち飲み屋で、若いけど昭和ブランドに
満ち溢れたC氏と隣り合わせになった。
「超えられない親父に認めてもらいたいと、仕事頑張ってきたんだよ」
肩で風切るようなC氏の肩が下がっていた。
「でも親父が口聞いてくんないんだ。不肖の息子だから仕方ないけど、
いつか親父に認められて親父の後を継ぎたいんだ」
その声が少し震えていた。
ぼくは笑ってばかりいる。
「これをもらって欲しいんだ」
と名刺をぼくに差し出し、ぼくの手に握らした。
満天の夜空に輝く星のような名刺だった。
そこには肩書きも地位も名誉もない自分ブランドの味が染み込んでいた。
ブランドとは美学だと思う。
見た目や地位や名誉ではなく、あり方や行為の美しさではないかと思う。
その日、ぼくには嬉しいことがあった。
仕事の帰り際、女性のケアマネが、ぼくに普段にはなく笑顔で、
「新しい利用者のおばあちゃんが、あなたは天才だって、あなたが作ってくれた折り紙を
大事に飾っていたのよ。それにあなたは楽しい人だって」
「ありがとうございます」
ぼくはC氏に言った。
「君は天才だよ。親父さんはもう認めてるんだと思うよ」
「オレは天才じゃないよ」
C氏はハニカミむように笑った。
自分は自分でしかないと思う。
箱に花を飾ってみました。
たまに行く立ち飲み屋で、若いけど昭和ブランドに
満ち溢れたC氏と隣り合わせになった。
「超えられない親父に認めてもらいたいと、仕事頑張ってきたんだよ」
肩で風切るようなC氏の肩が下がっていた。
「でも親父が口聞いてくんないんだ。不肖の息子だから仕方ないけど、
いつか親父に認められて親父の後を継ぎたいんだ」
その声が少し震えていた。
ぼくは笑ってばかりいる。
「これをもらって欲しいんだ」
と名刺をぼくに差し出し、ぼくの手に握らした。
満天の夜空に輝く星のような名刺だった。
そこには肩書きも地位も名誉もない自分ブランドの味が染み込んでいた。
ブランドとは美学だと思う。
見た目や地位や名誉ではなく、あり方や行為の美しさではないかと思う。
その日、ぼくには嬉しいことがあった。
仕事の帰り際、女性のケアマネが、ぼくに普段にはなく笑顔で、
「新しい利用者のおばあちゃんが、あなたは天才だって、あなたが作ってくれた折り紙を
大事に飾っていたのよ。それにあなたは楽しい人だって」
「ありがとうございます」
ぼくはC氏に言った。
「君は天才だよ。親父さんはもう認めてるんだと思うよ」
「オレは天才じゃないよ」
C氏はハニカミむように笑った。
自分は自分でしかないと思う。
箱に花を飾ってみました。