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武谷三男「物理学入門」

2015-02-26 17:05:56 | 科学
高校時代,武藤徹先生***のご指導のもと,放課後にこの本の輪講みたいなことをやった.岩波新書の存在を知ったのもこのころだった.書店で,ちくま学芸文庫 (2014/5 第1刷) に入ったのを見て買ってしまった.しかし 200 ページ足らずで 950 円は高い!

岩波新書では上下2巻となる筈だったが,ついに下巻 (現代物理学) は刊行されなかった.解説によれば,岩波本は 1952 初版,絶版となった後 1977 に季節社から再度刊行されたとのこと.

この文庫本には「力と運動」というサブタイトルがついているが,帯にある「力学の歴史に学ぶ科学的思考法」の惹句がよく内容を表している.いわゆる物理学入門を期待すると外れる.
第1章にはエンゲルス,カント,マッハなどが登場し,高校時代にはさっぱりわからなかった.今読んでも,上條隆志さんの解説を読んで,ふーんと思う程度.
動力学のうちで,天動説から地動説に至る歴史を執拗に記述した部分はなんとなく覚えていた.読み返して圧巻だった.

大学卒業後,物理の周辺をうろうろし,物理の教師として定年を迎えたのだが,その間この本を思い出したことはなかった.それで済んだというべきか,だから駄目だったというべきか.
半世紀を経て,武谷弁証法は古典になってしまったのだろうか.

物理は歴史に学んで発展したと言えるが,人間は歴史に学ぶことがない.いまだに戦争が絶えない. 
科学だけが突出して進歩してしまい,そこから生まれた原子力が人間に害をなしている (武谷の原子力に対する発言も今となっては頷けない部分もある).地球温暖化も然り.科学の歴史なんて人間の歴史のほんの一部に過ぎない.結局視野を広げれば,人間は歴史を未来に活かすことはできない,ということだろうか.


***
ネットを漁ったら半世紀以上?前の高校新聞の記事を発見した.
http://toyamaob.org/retuden/retuden007.html
武藤先生はご健在で,先日『きらめく知性・精神の自由』というご著書の出版記念シンポジウムが開かれたとのことである.
http://wind.ap.teacup.com/people/9364.html
ジャンル:
学習
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