Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

三次の妖怪 平太郎化物日記

2016-03-15 08:43:19 | エトセト等


NHK の昼番組で広島県三次市を「妖怪の聖地」と紹介していた.妖怪小屋や妖怪グルメの紹介で,司会の秋元才加嬢が騒いでいた.
この地で暮らしていた武士・稲生平太郎の身に起きた30日間にわたる妖怪との対決が,絵巻物「稲生物怪録」として残されていることが根拠らしい.

思い出したらこの本が出てきた.
 巌谷小波「平太郎化物日記」大和書房 (大和文庫 1976/8).
その頃は忙しく働いていたはずなのに,実はこんな本を買っていたらしい.その後の度重なる引越しにもかかわらず,本棚に存在していたのも化け物的だ.

ここでは平太郎は「ぼく」で,子供である.30日間にわたって化け物に脅されるがひたすら我慢して,山ン本五郎左衛門という化け物の棟梁に褒められるというストーリー.巌谷小波は児童文学の開祖とされている.しかしこの話は教訓もなく,文学的韜晦もなく,安心して楽しく読める.他に『蜜柑地獄」「不思議長屋」の2作を収録.
種村季弘の解説「逆立ち宇宙の喜怒哀楽」がなかなかの力作.巌谷が稲生物怪録というタネ本を児童文学に作り変えたあたりが,いかにも種村好み.

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