
白馬で泊めていただいた別荘にこの本があった.我が家にもあると言ったらとても喜んで下さった.帰宅してから探したがなかなか見つからなかったけれど.
ウェブで調べたら,この本は何度も出ては消えている.下のリストでは最近の 6 も絶版らしい.
1 初出は『霧の山稜』特製本(951部) 昭和16年9月10日 朋文堂発行 定価5円 A5判変型 五号活字 29字x15行 310頁 角背紙装上製本 貼函 自装 扉絵:石井鶴三 とのこと.
同じ日の上製本(1945部)は定価3円80銭,函なし.再版 昭和18年3月10日発行 定価4円80銭.
2 復刻版 昭和31年3月5日 朋文堂発行(朋文堂山岳文庫 第四巻) 定価600円.これが別荘蔵書らしい.
3 再復刻版 昭和34年2月25日 朋文堂発行 定価380円
4 二見書房版復刻昭和46年3月15日発行 定価1600円
5 新書版 昭和39年2月1日 朋文堂発行(ケルン新書12) 定価350円
6 文庫版 平成10年8月15日 平凡社発行(平凡社ライブラリー257) 定価1100円
家のは 4 だが,著者のお姉さんの希望で,口絵が著者自身の版画に変わった以外は,1 の特製本に極力近い形にされたと言う.函はヤッケ (裏側はだるまストーブ),我が家のは函の背だけがだいぶ色が変わってしまっている.
表紙はアザラシのシール.このシールには思わず,触ってみたくなる.
中身は画文集で,山登りというより,山遊びというおおらかさ.身辺雑記も多い.
絵の中には,太い筆で無造作に (あるいは,無造作を装って) 描いた,昨今のヘタウマ画の元祖と思われるものも紛れ込んでいる.
著者は東京美校を卒業し中学教師となって彫刻家を志していたが,戦死してしまった.戦争は残酷だ.刊行時に「このようなもので道草を食っていないで,彫刻をおやりなさい」と苦言を呈した大家もいたそうだが (石井鶴三の復刻版巻頭言),本が残って良かったではありませんか.
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