おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

巣立ちの時

2013-07-07 09:46:14 | 福島

 朝、雨戸をガラガラと開けると、窓の外に設置してある巣箱から、数羽の鳥がパッと飛び立った。毎朝給餌台にエサを漁りにくるスズメたちだろうくらいに思っていたら、なんと巣箱で成長したシジュウカラの巣立ちの時がやってきていた。

 巣穴からは、まだ成長しきっていない頭にふわふわの産毛を乗せた一羽のシジュウカラが頭を出している。近くに親鳥が口にエサをくわえ、しきりに何やら話しかけている。その様子を見ていると、親鳥はエサで釣り、巣立ちをうながしているようだ。ほかの兄弟たちはもう巣立っていったのだろうか。成長の遅い末っ子は、頭を突き出したまま、なかなか最後の決心ができないでいる。

 と、ついに意を決したのか、巣箱から近くの枝に飛び移った。が、生まれて初めて動かす翼は、ちっとも自分の体をささえてくれず、木の根元の植木鉢の中へとバタバタと落下してしまった。

 そのうち、自力で植木鉢から這い出ると、我が家と隣の境にあるフェンスをすり抜け、隣の敷地へと移動して行った。

 そんなところでうろうろしていたら、車に轢かれちゃうぞ。  

 屋根の上から、親鳥がチッチと心配そうな声で応援している。ヒナは体に似合わない大きな声でピーピーとさえずり、親の声援に応えようとする。 

 隣の家の玄関先を横断し、そのまた隣の家の敷地までよちよちと大冒険を敢行したヒナは、その家の壁を器用によじ上り、屋根の上を目指し始めた。飛べないなら、せめて歩いてでも高いところへ移動しようというのだろう。

 ヒナの巣立ちを見届けて家に帰ると、空っぽになった巣箱が木の上で風に揺れていた。我が家の屋根の上では、兄弟のヒナたちが危なっかしい飛び方で、親鳥の近くを飛び回っていた。 

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