おっさんひとり犬いっぴき

アベさんと黒犬トトのノンキな日々

記憶

2017-04-25 11:45:34 | 福島

 もうすぐ16歳を迎えるトトを見ていると、ずいぶん歳をとったなあと感じるとともに、子犬の頃に戻ったかのような印象を受ける時がある。

 血気盛んな頃は、寝ていても少しの物音で目を開け、僕が立ち上がったりすると、間髪入れずにさっと起き上がったものだが、近頃はぐっすり熟睡し、近くで物音を立てても眠り続けている。その姿は、無邪気な赤ん坊そのものだ。起きている時にしたって、やたらと僕の後をついてきたがる。若い頃のトトはいつもクールで、自分の行きたいところに行こうとしていただけに、なんだか心細いのかなとも思う。人間の場合も、歳をとると子供に返ると言われているが、犬も同様なのだろう。

 ただ、無邪気に子供に戻るだけならいいのだが、ことはそう簡単ではないようだ。

 最近問題になっているアルツハイマー病では、昔のことはよく覚えているが、最近のことは忘れてしまうという症状がある。NHKの科学番組で記憶について取り上げていたが、記憶できないというのは、生活が不便とかコミュニケーションがうまく取れないといったようなレベルではなく、自分自身を確立できないという大問題なのである。

 番組で紹介した話はこうだ。てんかんの患者の脳から海馬を摘出する手術をすると、てんかんの発作はなくなったが、同時に記憶ができなくなってしまったという。27歳で手術を受けた男は、27歳までの記憶はしっかりしているが、それ以降は記憶することができなくなってしまった。毎朝起きると、前日の記憶は抜け落ちている。彼はそのことを毎朝起きると何やら夢を見ている感じと言うが、朝起きるたびに彼は27歳に戻ってしまうのだ。そのうち鏡には年老いた自分が映るが、27歳までの記憶しか持つことができない彼は、鏡の中の自分が自分だと分からなくなってくる。そして、ついには人格が崩壊してしまうのだ。

 記憶というのは、覚えたり思い出したりということだけの機能だけではなく、自分が一体何者なのかというパーソナリティーに深く結びついている。逆に言えば、記憶できなければ、人間は自己を確立することはできないということになる。自分がどんなことに興味があり、どんなことが得意で、どんな理想を持っているか、過去の記憶がなければ、僕らは自分を白紙の存在としてしか感じられなくなってしまうだろう。

 時々子犬っぽく振る舞うトトを眺めながら、「脳みそだけはしっかりしといてくれよ」と祈るような気持ちになってしまう今日この頃のアベさんであった。

 

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1 コメント

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元気で (稲城のイッちゃん)
2017-04-26 21:54:15
トトとドリが最後まで幸せで暮らせる事を祈ります、今度イチに会ったら吠えないでくれるかな。

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