おっさんひとり犬いっぴき

アベさんと黒犬トトのノンキな日々

誰を犠牲にするか

2017-07-12 11:18:35 | 日記

 久しぶりに写真家・星野道夫さんのDVDを見返してみた。星野さんのアラスカでの足跡を追い、ナレーションは星野さんの書いたものを読むということでは、お手軽に星野さんの世界に身を置くことができる。

 しかしながら、お手軽にというには、内容は見るたびに深みを増して行く。前に見た時には響かなかった言葉の意味が、こちらの年齢のせいか、重く胸に突き刺さる。

 大自然の過酷な環境の中で、壮大な生と死のドラマを目の当たりにしている星野さんはこう書く。「私たちが生きてゆくということは、誰を犠牲にするかという、終わりのない日々の選択である」。

 僕らが生きて行くためには、常に数多くの命の犠牲があってこそという当たり前の事実も、現代社会ではわかりにくくなっている。僕たちが食べるものは、ほとんどのものが加工され、調理され、命の形をとどめてはいない。生まれた時からそれが当たり前となった今の世の中では、自分が多くの命を奪って生きているという自覚は持ちにくい。

 生きて行くとはすなわち誰かを犠牲にすることだ、と書く星野さんはこう続ける。「近代社会では見えにくいその約束。約束とは言い変えれば血の匂いであり、悲しみである」

 テレビを見ていると、数多くのグルメ番組が流れ、レポーターたちがひと口食べるたびに「肉の脂身が甘い」とか「口に入れるとトロけてしまう」というような言葉を口にする。自分がどんなに残酷なことを言っているかの自覚もなしに。

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