一時は意識が朦朧とし、危篤状態に陥っていたドリが、少しずつだが力を取り戻しつつある。横になったまま、頭を持ち上げることさえできなかったドリを支え、注射器で口の中に水分を入れていたのが、自分の力で体を支え、自分の口で水分を取ることができるようになった。
目ヤニや痰は、なるべく部屋が乾燥しないように注意し、目薬や痰を切る薬を飲ませているうちに、かなり改善してきた。
たくさん糖を取らせるようにしていたら、水で溶いたドッグフードの缶詰も口にできるようになってきた。これで力が少し戻ったのだろう。自分の足で立ち上がろうと努力し始めた。
おかげで、それまで二人掛かりで抱え、オシッコをさせるために外まで運んでいたのが、体を支えてやれば、よちよち歩きだが自分の足で歩くようになった。これが昨日のことだ。
そして今日、元気はないものの、布団からひょっこり起き出すと、部屋の中を少しだけ歩き回った。きっとドリなりにリハビリに励んでいるのだろう。
ドリが倒れて意識を失った時には、どうなることかとひと晩中つきっきりでいた時から、もうずいぶん時間が経ったような気がするが、実際にはまだ一週間にもなっていないのだから、回復ぶりには目を見張るものがあると言っていいだろう。
ただ、寝返りを打たせるために二、三時間置きに体の向きを変えさせたり、オシッコをさせるために運んだりという手がかかる状態は脱したものの、本来の病気の原因がなんなのかわからない以上、病気が治ったと思うわけにはいかない。最悪の事態は逃れることはできたが、心配のタネは全然つきていないのである。