あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

風神雷神図

2006-09-25 13:37:51 | 日本美術
まぁ、どこからともなく沢山の方々で、
宗達の風神雷神図のところは真っ黒になっていた。

図録はTakさんのところで、お買い得と聞いていたから、
説明文はなるべく読まないで、ともかく絵の前にいることを心がけてきた。

宗達の風神雷神図。
あんまりにも迫力ありすぎて、二つの神様はこの屏風の画面からはみ出している。
本当に最初っから、このサイズでできあがっていたのだろうか??

ふすま絵だったら、モクモクの怪しい雲や、
たなびく布の尾ひれがもっともっと悠々と描かれていたのではないだろうか??
空間を使うのもなんと言っても上手かったじゃない??

二つの屏風の距離があまりにも近い。そんな気がした。

その宗達の絵を、ばっちり模写に心砕いた、光琳の絵。
こちらは、雷神の太鼓の絵もきっちりと欠けないではまっている。
風神の風を集めた袋もきっちりはまっている。

光琳の風神雷神図は、二つが視線を向けあっているかのようだ。
光琳は、対極が上手い。
見たわね~~見たわよ~~

光琳が、江戸で暮らしていた先の酒井家に生まれた抱一が、また、
光琳の雷神風神を見て、ガツンとやられてしまった。

一所懸命光琳の後を追って、すがっているような気がした。

宗達は、ものっすごい魂力があった。
男力とも言うべき緊張感もあった。

(なんとか力というのは、山下祐二先生の言い方のパクリですが・・)
その後の光琳も宗達の力に驚いたことだけあって、
まだまだ感性は研ぎ澄まされていた。
時代も後押ししてくれた。
雁金屋も安泰していたろうけれど、諸行無情の響きあり。
たぶん、東福門院の贅沢三昧の時が終わったときから、
雁金屋も衰退していったのではないだろうかと、踏んでいるけれど、
確証はまだつかんでいない。

お家が傾いたのだから、仕方がない。
時代の変わってしまったのだから、仕方がない。

仕方がない先の江戸で、ちゃんと見てくれる人がいたのだから、
拾う神あり。

抱一は、まだどんな人なのか、私自身わかっちゃいないけれど、
なんとなく、光琳の後をただひたすら追いかけた、私淑という言葉がぴったりな気がするのだけれど。ずっとずっと真面目な人な感じがする。

時代が下がるに付け、琳派は、魂力、男力から、
繊細力、女力にシフトしていったように思う。

宗達のガツ~~ンというインパクトに私はただただビリビリきてしまった。

そして、出光美術館の、この3者の比較に研究を重ねた図録が泣かせる。

さて、今世紀の琳派の後継者は、どんなおぼっちゃまで、
どんな異才振りを発してくれるのか、
楽しみだ。
もうすでにいらっしゃるのかしらん。

後の感動ものは、
光琳の「紅白梅図屏風」やっぱり、対極の美。

「茶碗絵手本」あの乾山に作らせた、お茶碗の絵見本。

「菅公松梅図草稿」なんとも雅。松梅の位置もかっこいい。

仙の「堪忍柳画賛」柳の風をしのぐ堪忍の力、頑張れよ~って気持ちになる。

少しずつ出光美術館がリフレッシュされて、気持ちよくなってきた。

朝夕庵のしつらえは、すっかり秋模様、秋草尽くしだった。
絵唐津の水指、よかった!!

そんなこんなで、あわただしい午前中の出光美術館行きが終わり、
家でほっとお茶をした。
昨日行った、浅草の人形焼がおやつ。

なぁ~~んだ、ここにも雷神がいるじゃない。

小さな人形焼になった、雷神さんを二口で、ぱくりとやったのだった。






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2 コメント

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Unknown (一村雨)
2006-09-25 17:17:20
そうですね。

琳派とは違いますが、最後に展示されていた

仙の「堪忍柳画賛」。

生きる力が沸いてきました。



普段、絵にはまったく興味のないような人

(うちの母親)まで、出光に出かけているので

風神雷神は社会現象を巻き起こしているのかも

しれませんね。

一村雨さま (あべまつ)
2006-09-25 21:56:51
仙の絵にはいつも、肩の力を抜いて、笑いましょうって、教えてもらいます。



お家に一枚何気なくぶら下げておきたいものです。



いやぁ、それにしても、たくさんのお客様、でした。

稲刈りの田んぼに風神雷神が描かれたというニュースがありましたし、

京都の四条通だったか、パチンコ屋さんの看板が電飾の風神雷神でした。

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