阿部ブログ

日々思うこと

種子法廃止と固定種だけを取り扱う野口種苗研究所

2017年05月05日 | 雑感
主要農作物種子法、所謂「種子法」が2017年4月14日に参議院を通過し正式に廃止された。種子法廃止法案以外にも、農村地域工業等導入促進法(農工法)改正と、農業競争力強化支援法案(強化法)も提出されている。両法案が通れば、農地の転用がしやすくなり、農業経営への企業参入が促進される。
種子法の廃止により重要な基礎食料である米、麦、大豆の種子を国が守る種子で1952年に制定されたが、これを放棄すると言うことである。農業の最重要資源は「種子」であり、種子の安定供給と固有種の保存&確保が必要である。この種子の保護がなくなれば、商社や外資系企業の参入による種子の企業支配が、食料安全保障のリスク要因となる。ただでさえF1と言われる一代限りの種子による野菜などが生産されているが、見てくれは良いが栄養価が固定種より低く、味もマズイ。昔の野菜は本当に栄養価が高く、美味しかった。大根なんで本当に辛かったのだが、今のは水ぽいだけの代物だ。野菜の種の自給率は実に10%以下で危機的状況。
因みに野口さんのタネは、種苗法に抵触しないように種苗登録を確認して自家採種向けに販売されているので安心である。

種子法は廃止されたが、固定種を自家採種する農家も、少ないながら存在する。これら自家採種農家を保護せねばならない。この固定種の種子だけを取り扱うのが、埼玉・飯能市にある野口種苗研究所だ。主催者は、野口勲氏で、三代目のタネ屋さん。家業を継ぐ前は、手塚治虫の漫画編集者をしていたと言う異色の経歴の持ち主で以下の著書もある。一読の価値は十分にある。

         

南方熊楠ではないが、生物多様性の重要性が再認識されるべきで、種子を含む遺伝子資源を確保し、保存するビジネスが合っても良いだろう。マイクロソフトの創業者の一人であるビル・ゲイツが代表を務める「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」(Bill & Melinda Gates Foundation; B&MGF)は、北極海に近いバレンツ海にあるスバーバル諸島のスピッツベルゲン島(Spitsbergen Island)のLongyearbyen(ロングイエ−ルビエン)に種子バンクと言う地下設備を建設した。NHKで観たのだが、最北の町でノルウェー領ではあるが、空港に税関などは一切なかった。自由に出入りできる特殊区な地域で、良質な石炭が採れる島でロングイエ−ルビエン地域にも規模の大きい炭鉱がある。ここにある種子バンクは、世界中の種子を保存するのが目的である。Longyearbyenから東京までは6830kmとの方向板がある。実に遠い街だ。
さて、EUも今年3月に入って新たに「欧州研究インフラ・コンソーシアム」(European Research Infrastructure Consortium:ERIC)を設立した。このコンソーシアムは、e-Science and Technology European Infrastructure for Biodiversity and Ecosystem Research(LifeWatch)の活動の一環として生物多様性と生態系研究を行う。LifeWatchは、生物多様性研究の為の大規模データ、所謂ビッグデータや様々なツールを提供している。日本にも同じような研究活動支援があっても良いと思量する。

最後に「農林10号」について書いて終わる。小麦は80ヶ国以上で栽培され、世界中で2.3億ヘクタールの耕作面積があると言われているが、現在主流となっているゲインズ(Gaines)の原種は、稲塚権次郎が育種した「小麦農林10号」で収穫量を飛躍的に高めた種子である。1945年終戦時に米軍は、いち早く理研の原爆開発用サイクロトロンの確保と併せて、農林10号の獲得に動いたと言ういわくつきのタネである。農林10号は岩手の固定種である。固定種の重要性を示すエピソードではないか〜
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