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断層を原因とする地震

2016-04-17 01:23:15 | 日記
 九州地方で14日夜から相次ぐ地震は、熊本から阿蘇、大分へと震源域が広がった。内陸の地震では異例だ。100キロメートル規模で地震活動が活発になったのは断層が集中する地域特有の地盤が影響している。今後どこまで広がるのかについては専門家でも意見が分かれている。
 京都大学の飯尾能久教授は「今回の地震はよくわからない、見たことのない現象が続いている」と話す。内陸で断層を原因とする地震はこれまで何度も起きているが、広域でマグニチュード(M)6級の地震が続くのは珍しいからだ。気象庁も「熊本地方、阿蘇地方、大分県中部の離れた3カ所で大きな地震が起こるのは前例がない」と言う。

 地震活動が活発になっている地域の地盤には、南北方向に引っ張る力が働いている。このため、断層が水平方向にずれる「横ずれ型」の地震などが起こりやすい。大分県から熊本県にかけては、九州地方を東西に横断する「別府―島原地溝帯」と呼ばれる多数の断層を伴う地形がある。

 断層が集中すると、地震の群発につながりやすい。1つの断層が動いて地震が起こると、ほかの断層周辺にひずみがたまり、新たな地震を引き起こすという流れが考えられるためだ。

 政府の地震調査研究推進本部は14日夜に熊本県益城町で震度7の揺れを観測した地震について「日奈久(ひなぐ)断層帯」と呼ぶ活断層の北側がずれることで起きたとする。

 国土地理院は16日未明に発生したM7.3の本震に関し、日奈久断層帯の北側にある「布田川(ふたがわ)断層帯」で起きたと発表した。断層のうち約27キロメートルが約3.5メートル滑ったという。

 また本震の地震エネルギーは1995年の阪神大震災の約1.4倍だったと明らかにした。国際的な地震規模の指標「モーメントマグニチュード(Mw)」による分析結果で、今回の本震(Mw7.0)は阪神大震災(Mw6.9)を上回った。

 本震の後は熊本地方、阿蘇地方、大分県の3地域を中心に地震が相次いだ。気象庁によると熊本地方の地震発生回数は2004年の新潟県中越地震に次ぎ、過去2番目のペースで推移している。

 国土地理院地理地殻活動研究センターの矢来博司地殻変動研究室長は「(本震が)周辺の断層に影響を与えた可能性がある」と指摘する。布田川断層帯の延長方向にある別府―万年山(はねやま)断層帯に飛び火したようにみえるからだ。

 別府―万年山断層帯を東に延ばすと、四国や紀伊半島など西日本を横断する巨大な断層構造「中央構造線」につながる。豊後水道を越えて四国地方にまで影響が及ぶ可能性もあるが、気象庁は「中央構造線が活発化しているというようにはみえない」との見解だ。

 名古屋大学の鈴木康弘教授も「四国地方は北西から南東の向きに圧縮する力が働いており、九州地方と根本的に地震のメカニズムが違う」と説明する。九州大学の松島健准教授は「今後、四国に延びるのか、反対側の長崎に延びるのかは分からない」と話す。

 地震が多い地域では今後も警戒が必要だ。熊本大学の松田博貴教授は「布田川断層帯の中の空白域や日奈久断層帯の南側のエリアで地震が起こる可能性が高い」と注意を呼びかける。日奈久断層帯の中央部や南西部では今後1カ月程度は注意が必要との指摘もある。日本経済新聞web版より

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