底無しの夢(麻亜子の勝手に選歌)

短歌人の皆さんの歌や、読んだ歌集を紹介しています。
「古今伝授の里フィールドミュージアム」のことなども…

『花片』細溝洋子第二歌集

2016年10月19日 | 歌集
「心の花」に所属する名古屋市在住、細溝洋子さんの第2歌集(2016年10月12日・六花書林)です。
細溝さんには、2015年5月に行った私の「『水庭』を読む会」に、
ゲスト評者として参加いただきました。 2006年、「コントラバス」で
第18回歌壇賞を受賞、2008年第一歌集『コントラバス』(本阿弥書店)
を出版されています。
細溝さんが六花書林でお出しになった経緯など、
六花書林さんのこちらのブログに書かれています。
ドラマのようなこういう偶然もあるのですね。


そう言えば、とのちに言わるる痕跡をあるいは残しひと日暮れたり

遠い記憶に思い違いのあるような引き込み線の夏のかがやき

澤穂希(さわ)選手と同じと言えば説明の少なくて済むわがめまい症

絆創膏剥がせばとうに癒えている擦り傷なれどもう一度貼る

小さき星こぼるるごとし俯ける娘のベールを静かにおろす

賜わりし毬栗二つ載せおけば黄瀬戸は秋の沃野のごとし

川風は湿りを運び揺れながら遅い日暮れを待つ鵜飼舟

わが車見えなくなるまで手を振れり「次」を理解しもう泣かぬ子よ

「ひたむき」は報わるる日の謂(いい)にして消えてゆきたるあまた「ひたむき」

ロシアンブルーの一枚のみが残されてなかなか来ない猫年を待つ


第一歌集『コントラバス』の中でも

鳥の群れいっせいに向きを変えるとき裏返さるる一枚の空

のような感服する歌がいくつもありました。
『花片』においても、目立つ語を避けての巧みな比喩は一貫しています。
身めぐりのことを、優しくときに可笑しく詠みながら、豊かな発想、精緻な描写、
滋味も加わり、当然ながら一朝一夕のことではない才気を感じます。
表現が過剰に走ることなく、ひとつひとつ筋を通した詠い方をされているところ等、
たいへん勉強になりました。

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2 コメント

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ありがとうございました。 (細溝洋子)
2016-10-19 19:03:20
三島さん、私の歌集を丁寧に読んでくださり、ありがとうございました。
三島さんとのご縁が無かったら、こういう形の出版にはなっていなかったと思います。
三島さんの『水庭』に刺激を受けた一冊でもあると思っています。
心から感謝しています。
また、「表現が過剰に走ることなく、ひとつひとつ筋を通した詠い方をされている」と言っていただけて、本当に嬉しいです。
ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願い申しあげます。
Unknown (麻亜子)
2016-10-19 20:04:32
細溝さん、
こちらこそ、その節はお世話になりありがとうございました。
刊行後のお忙しい中、早速コメントをいただきありがとうございました。
拙い感想で申し訳ありません。

「賜わりし毬栗二つ載せおけば黄瀬戸は秋の沃野のごとし」

中日歌人会(たしか郡上での特別歌会でしたよね?)で高得点が入ったと記憶していますが、平明な言葉でなんて姿の美しいお歌かと感動しました。
第2歌集『花片』でこのお歌を発見した時、そして六花書林での出版ということと合わせて、とても嬉しく思いました。
また中日歌人会でお会いできますこと楽しみにしております。

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