底無しの夢(麻亜子の勝手に選歌)

短歌人の皆さんの歌や、読んだ歌集を紹介しています。
「古今伝授の里フィールドミュージアム」のことなども…

短歌人6月号 会員1欄の惹かれた歌

2017年06月09日 | まあこよみ
みづからの影引き寄せて白壁を辷る羽のそのはねのおほきさ  角山 諭

あのコーチ嫌いと目くばせする娘 富士が時おり視界にはいる  村井かほる

春告げる雪根開きのブナの木の水を湛えてほのと明るし  橋本明美

ほの紅く坂うえに立つ一木が梅とわかるまでのこころおどりよ  後藤祐子

深き深き井戸を覗いているような妻の目と遭う醒めし視界に  高井忠明

いちりんへひとひら降りていちりんにひとひら置きて異郷へ入りぬ  辻 和之

バス停の灯りのもとに辿りつきみじかき列にひとりを加う  大平千賀

屈強なハンター達をよく見ればここにも若者一人もおらず  川村健二

うしろへと退(すさ)るこころは風のせい咲くそぶりなき桜木のせい  宮崎稔子

壜の蓋まろび落ちたり卓上に静止せしとき影たちあがる  北岡 晃


橋本明美さんの歌の、「雪根開き」…
雪国に春がやってくると、木の幹の根元、そのまわりが輪を描くように
雪が解け土が顔を出してくる現象で、辞書には載っていませんが、
俳句では「根開き」「雪根開き」等、春の季語とされています。

要因は、外からと内からのもの。この歌では「内からのもの」を表しています。
諸説含め専門的なことはここでは置いておいて、木の体内での温かい水の移動により、
根元周囲から雪解けが始まる、まさに樹木の生命の息吹、「雪根開き」という言葉。
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