すみません、お願いです
『バリケードボーイズに歌って欲しい歌』のリクエスト募集中です。
全員で壮大に歌って欲しいとか、ボーイズバンド風にやって欲しいとか、個人メンバーの
たとえば、コンブフェールにこれを歌って欲しいとか、あるいは、映画のメンバーじゃなくて
舞台の、あの役の人に(アントンでもいいよ、AZさん)歌って欲しいとかでも良いです。
よろしくお願いします。
では、リラの恋・yuriが描くリラの恋の最終章です。
もしかしたらLilasさんが、他のバージョンを書いてくれるかも。期待してます。
では、リラの恋、こちらからの続きです。
■サンサーンス『動物の謝肉祭・水族館』
リラはさまよっていました。
水の中を漂っているような、霧の中でとまどっているような・・・
あそこにアンジョルラスがいるのは、わかっています。
わかっているのに、たどりつけない。
必死で近づき、手を伸ばしても、そこには誰もいません。
「・・・ラ・・・リラ・・・リラ」
アンジョルラスの声が・・・
いいえ、違う、誰が呼んでるの?
優しい手がリラの額を撫でています。でも、それはアンジョルラスの硬い手ではありません。
柔らかな・・・優しい・・・
リラは目を醒ましました。
そこには、マリウスと、妻のコゼットがいました。
ふたりは心配そうにリラの顔をみつめています。コゼットの柔らかな手がリラの額を触っていました。
「ここは? 私はどうしてここに?」
「リラ、君は倒れていたんだよ、部屋で。 かわいそうに無理をしていたんだね。」
二晩の間、リラは高熱にうなされていたのです。
コゼットは冷たい布で、優しくリラの額の汗をぬぐってくれました。
ふたりの手厚い看病のお陰で、リラはみるみる回復しました。
ろくな食事を取らないでいたことと寒さが原因だと医者は言いました。
女中のトゥーサンが作ってくれたスープ
マリウスは外出した時には、必ずふたりに花を買ってきてくれました。
甘い花の香りと、暖かい食事、幸せを絵に描いたような美しいふたり。
ふたりには、感謝しても足りません。でも、リラは考えてしまいます。
ここにいるのが、アンジョルラスだったら・・・と。
アンジョルラスが、花を買ってきてくれて、私はそれを部屋に飾る・・・
想像もつかないことですが、そうだったらどんなに素晴らしいことでしょう。
マリウスとコゼットは、なんて幸せなんでしょう。
アンジョルラスの帰りをこんな風に待ってみたかったよね、リラも。
もうすぐクリスマスです。冷たい雪が街を白く染めています。
リラは、ふと故郷の家のクリスマスを思い出しました。
暖かい暖炉のそばで、アンジョルラスがぶつぶつと何かを唱えながら勉強しています。
「熱いと頭に入らない」というと、彼は、すぐに寒い部屋に行ってしまいます。
アンジョルラスを、そっと横目で見ていたリラは、追いかけたい気持ちを抑えていました。
いつからアンジョルラスを目で追うようになったのでしょう。
ほんの小さい時分には、彼は、彼の両親やリラの養父母と同じ大好きな家族であり兄だったのに。
まだ、こんな飾りは無い時代かな。ツリーも無いかも。
ある年のクリスマス、リラはヤドリギの飾りを眺めていました。するとそこにアンジョルラスが通りかかり
リラをはっとしたように眺めていました。そして、一歩近づいてきました。
そこへ、女中がひとり入って来ると、彼は、あわててリラの横を通り抜けて行きました。
「あらあら、ヤドリギの下にいる女の子にキスしないなんて。まあお坊ちゃまじゃあ、仕方ないね。」
リラは後に知りました。クリスマスにヤドリギの下にいる若い娘は、通りかかった男性のキスを拒めないのです。
■The First Noel(牧人ひつじを・賛美歌103番)
※実は、フランスでは元旦の習慣だそうです。でも、無視w クリスマスのほうがロマンティックだし。
ところで、あと一ヶ月半もすると、街はクリスマスムードになりますよね。
なんか季節が一気に変わるというか。
アンジョルラスは南フランスのどこに住んでいたんでしょうね。
雪はあまり降らないのかな。
その時から、リラはアンジョルラスを目で追うようになりました。
そして、不思議なことに、しばしば彼と目が合いました。でも、すぐに目をそらされてしまうのですが。
あの時、彼が一歩リラに近づいたように思えたのは、気のせいだったとリラは思いました。
でも、リラは、彼を目で追うのを止めることができませんでした。
何を望むでもなく、ただただ、目が彼を追ってしまうのです。
そんな幼い12月は、もう二度と戻りません。
そんなことを考えていると、コゼットがお茶を運んで来てくれました。
「12月に、マキも無い、食べ物もない部屋にいるのは辛かったでしょうね。」
コゼットは、何かを考えていましたが、思い切ったように口を開きました。
「昔は、私、階段の下のボロ置き場でワラに包まれて寝ていたの。
家から追い出されたときは、馬小屋に忍び込んで寝ていたし。
だから、あなたの辛さは誰よりわかるつもりよ。」
リラは驚いて、コゼットを見つめました。
ジャンバルジャンに貰った大きな人形を抱いて眠るコゼット
コゼットは言葉を選びながら、身の上を語りました。
それは、とても不思議な物語でした。
■20世紀FOXのアニメ『アナスタシア』Once upon a December
記憶を失ったロマノフ王家の最後の王女アナスタシアの物語。
この歌詞が好きで、コゼットが小さいころの、かすかに残る母との暖かい思い出を思い出したりしたかなと
思って選んだけど・・・3歳のころの記憶って、ほとんど無いような気もする。まあ、イメージということで。
Dancing bears, painted wings
Things I almost remember
And a song someone sings
Once upon a December
踊っている熊、彩られた翼
それが覚えてるものの全て
そして、誰かが歌っている歌
遠い思い出の中の12月
Someone holds me safe and warm
Horses prance through a silver storm
Figures dancing gracefully
Across my memory
誰かがしっかりと暖かく
抱きしめてくれた
馬たちは銀の吹雪の中を走り抜ける
その優雅な踊るような姿が、
思い出の中を横切っていく
Someone holds me safe and warm
Horses prance through a silver storm
Figures dancing gracefully
Across my memory
誰かがしっかりと暖かく
抱きしめてくれた
馬たちは銀の吹雪の中を走り抜ける
その優雅な踊るような姿が、
思い出の中を横切っていく
Far away, long ago
Glowing dim as an ember
Things my heart used to know
Things it yearns to remember
昔、遠い所で
残り火のようにほの暗く輝いている
私が昔、よく知っていた
願っているのに思い出せないもの
And a song someone sings
Once upon a December
そして、誰かが歌っている歌
あの忘れられない遠い12月
クリスマスの夜、飾り窓の中の美しい人形を見るコゼット。彼女には到底叶わぬ夢の存在の・・・
遠い記憶にあるかすかな母、そして、引き取られていた宿屋での辛い虐待の日々、
そんな辛い日々から救ってくれた父と呼ぶ不思議な老人のこと
父と父の兄(フォーシュルバン)との3人での静かな修道院生活
その生活が、生まれて初めて知る平穏な生活だったこと。
フォーシュルバン老人が亡くなってから、修道院を出て父とふたりで暮らした日々
その時、はじめてパリの街を見たこと。
コゼットの話を聞いて、リラは本当に驚きました。
私は他の人にも不幸なことがあるなんて考えたこともなかった。
コゼットのことは、恵まれて甘やかされた幸せな令嬢だと決め付けていました。
でも、実は苦労を知らないのは私のほう。こんなに優しい人を一時でも恨んだりして・・・
「8歳のときの私は、おびえることと、耐えることしかない日々だったの。
長い間うなされて、夜、夢に見たわ。
子供だったけれど、いいえ、子供だったからこそ、そこから抜け出すことができるなんて
考えることもできなかった。」
抜け出せない不幸に思えても、いつか抜け出せる・・・本当にそんな日が来るのでしょうか。
身も知らぬ自分に優しくしてくれるコゼットの気持ちは、とても嬉しかったのですが。
ほどなくして、マリウスが帰ってきました。
マリウスは、とても興奮しています。
「これを見て、リラ」
取り出されたのは一枚の絵、アンジョルラスの絵でした。
マリウスが招待されたサロンに架けられていた絵『ペルセウスとアンドロメダ』のペルセウスが、
アンジョルラスによく似ていたのだそうです。偶然、そこにその画家も同席しており、マリウスは
彼に話をききました。
■セレナータ『救われたアンドゥロメダ』からペルセオ(ペルセウス)の"Sovente il sole"「太陽はしばしば」ヴィヴァルディ
「リラ、そのモデルは、アンジョルラスだったよ。」
去年の春、リュクサンブール公園を通りがかったとき、その画家は、ベンチで眠っている美しい金髪の青年に
思わず目を奪われました。光りを浴びて輝く金色の巻き毛、顔はうつむいていて、はっきり見えませんが、
少し疲れているのか、力なくベンチにもたれかかっていました。
普通ならだらしなくも見えそうな格好なのに、何ともいえない優美な姿です。
おもわず、紙を取り出して、その姿を描き始めました。
どのくらいたったでしょう。夢中で描いていると、ふと青年と目が合いました。
目覚めたのです。
優しげな美貌を想像していた画家は、想像と違う顔に驚きました。
美しいけれど、猛禽を思わせるような鋭い目、引き結ばれた笑わない唇。
華やかな美貌にも関わらず、印象はひどく謹厳で近寄りがたいものでした。
あごをあげ、気位が高そうな顔で画家を見てきたので、あわてて非礼を詫び、そして改めて
絵を描かせて欲しいと頼みました。
驚くほど簡単に断られました。興味も時間もないと。
それでも、なおも頼むと、仲間が来るまでの時間だけなら好きに描けと言われたので、
画家は必死でその姿を描き止めました。
思いのほか親切なのか、微動だにせずモデルを務めてくれます。
そして、画家の手の中の絵を見ると、白い歯を見せて微笑みました。
「うまく描けるもんだな。」
驚くほど印象が変わる笑顔を、描き留めたいと木炭を取った瞬間、遠くから声がしました。
「アンジョルラス、遅れてすまん。」
5~6人の学生風の若者が彼に声をかけています。
ごめん、遅れた言い訳を考えてたら、遅くなっちゃった
「それじゃ、もう行くから」と立ち上がった彼に「お礼がしたい」というと
「いらない」と微笑み、行ってしまいました。
「その人は、もう一度、アンジョルラスに会いたいと、何度もリュクサンブール公園に行ったそうだ。」
リラは、絵をみつめながら、体の震えをどうすることもできずにいました。
逢いたい、それが無理なら、せめて形見が欲しい、何度それを願ったことでしょう。
暴動の後、彼の下宿を訪ねたら、そこには官憲の手がすでに入っており、部屋には、アンジョルラスの
ものは、何ひとつ残っていませんでした。
暴動のリーダーとして、死後も厳しい捜査が入ったのです。
マリウスからリラの話を聞いた画家は、そのときのスケッチを一枚譲ってくれました。
彼をモデルに、この六月の革命の絵をかきたいと言ったそうです。
アンジョルラスの死に、ひどく心を揺さぶられたようでした。
「リラ、来月、またそのサロンで、その人と逢えるから、君も連れて行ってあげるよ。」
「彼女を、あのまま引き止めておけば良かったわ・・・」コゼットは深くため息をつきました。
「だけど、あの時、もうすでに手遅れだったんだ。医者の見立て違いで、直ったと思っただけで。」
引き止めるマリウスの家を後にして、リラは自分の部屋に戻りました。
でも、リラはもう死を考えませんでした。
アンジョルラスが、ほんの少しだけ、姿をみせてくれたのですから。
来月は、その絵を見に行こう。
アンジョルラスは、あれだけ自分に生きていて欲しいと願ったではないの。
マリウスやコゼット、そして、その画家、皆がリラを思ってくれている。
故郷の義両親や、アンジョルラスの両親だって、リラの帰りを待っている。
そうだ、暖かくなったら、故郷に帰ろう。そしてアンジョルラスの母にも、この絵を見せよう。
きっと、アンジョルラスはそれを喜んでくれるだろうから。
■ドヴォルザーク・新世界より 第2楽章家路
そして、その2週間後、リラはこの世を去りました。
一度、直ったかに見えた病でしたが、実は深くリラの肺を蝕んでいたのです。
「リラは、今頃、アンジョルラスの腕に抱かれてるよ。」
マリウスはそう言うと、コゼットを優しく抱き寄せました。
リラは、やっと安らかな眠りの世界に旅立ちました。
そこにはアンジョルラスが待っています。
もう、彼のいない朝を迎えて、泣くことはありません。
彼の広い胸に抱かれて、リラは美しい夢の中でまどろみ続けます、永遠に・・・・・・
■フォスター 夢路より
Beautiful dreamer, wake unto me,
Starlight and dewdrops are waiting for thee;
Sounds of the rude world heard in the day,
Lull'd by the moonlight have all pass'd away!
夢をみている美しい君よ 私のために目を覚ましておくれ
星の光りと夜露がお前を待っている
荒々しい日ごとの俗世の喧騒は
月の光りに照らされて、過ぎ去って行く
Beautiful dreamer, queen of my song,
List while I woo thee with soft melody;
夢を見ている美しい人、私の歌の女王
あなたへの、愛の調べをきいておくれ
Gone are the cares of life's busy throng,
Beautiful dreamer, awake unto me!
Beautiful dreamer, awake unto me!
群集の喧騒に煩わされる日々はもう去っていった
夢を見ている美しい人、私のためにだけ、目を覚ましておくれ
さあ、おいで、美しい人
Beautiful dreamer, out on the sea
Mermaids are chanting the wild lorelie
Over the streamlet vapors are borne,
Waiting to fade at the bright coming morn.
夢を見ている美しい君、海に漕ぎ出そう
人魚たちは、ローレライの歌を歌っている
小川の上には朝霧が立ち込めているが
日が昇り、消え行くのを待とう
Beautiful dreamer, beam on my heart
E'en as the morn on the streamlet and sea
Then will all clouds of sorrow depart
Beautiful dreamer, awake unto me
Beautiful dreamer, awake unto me
夢を見ている美しい君、私に笑いかけておくれ
まさに小川の朝や、海原のように(?)
暗い雲は消えて行くだろう
夢を見ている美しい人
どうか私のために目をさましておくれ
リラの恋、とうとうリラを死なせてしまいました。
Lilasさん、ごめんね。
でも、サイドストーリーで何度でも復活させて、色々書いて下さいね。
他の皆さんも、妄想ストーリー、作っていただけませんか?
引き続きよろしくお願いします。
『バリケードボーイズに歌って欲しい歌』のリクエスト募集中です。
全員で壮大に歌って欲しいとか、ボーイズバンド風にやって欲しいとか、個人メンバーの
たとえば、コンブフェールにこれを歌って欲しいとか、あるいは、映画のメンバーじゃなくて
舞台の、あの役の人に(アントンでもいいよ、AZさん)歌って欲しいとかでも良いです。
よろしくお願いします。
では、リラの恋・yuriが描くリラの恋の最終章です。
もしかしたらLilasさんが、他のバージョンを書いてくれるかも。期待してます。
では、リラの恋、こちらからの続きです。
■サンサーンス『動物の謝肉祭・水族館』
リラはさまよっていました。
水の中を漂っているような、霧の中でとまどっているような・・・
あそこにアンジョルラスがいるのは、わかっています。
わかっているのに、たどりつけない。
必死で近づき、手を伸ばしても、そこには誰もいません。
「・・・ラ・・・リラ・・・リラ」
アンジョルラスの声が・・・
いいえ、違う、誰が呼んでるの?
優しい手がリラの額を撫でています。でも、それはアンジョルラスの硬い手ではありません。
柔らかな・・・優しい・・・
リラは目を醒ましました。
そこには、マリウスと、妻のコゼットがいました。
ふたりは心配そうにリラの顔をみつめています。コゼットの柔らかな手がリラの額を触っていました。
「ここは? 私はどうしてここに?」
「リラ、君は倒れていたんだよ、部屋で。 かわいそうに無理をしていたんだね。」
二晩の間、リラは高熱にうなされていたのです。
コゼットは冷たい布で、優しくリラの額の汗をぬぐってくれました。
ふたりの手厚い看病のお陰で、リラはみるみる回復しました。
ろくな食事を取らないでいたことと寒さが原因だと医者は言いました。
女中のトゥーサンが作ってくれたスープ
マリウスは外出した時には、必ずふたりに花を買ってきてくれました。
甘い花の香りと、暖かい食事、幸せを絵に描いたような美しいふたり。
ふたりには、感謝しても足りません。でも、リラは考えてしまいます。
ここにいるのが、アンジョルラスだったら・・・と。
アンジョルラスが、花を買ってきてくれて、私はそれを部屋に飾る・・・
想像もつかないことですが、そうだったらどんなに素晴らしいことでしょう。
マリウスとコゼットは、なんて幸せなんでしょう。
アンジョルラスの帰りをこんな風に待ってみたかったよね、リラも。
もうすぐクリスマスです。冷たい雪が街を白く染めています。
リラは、ふと故郷の家のクリスマスを思い出しました。
暖かい暖炉のそばで、アンジョルラスがぶつぶつと何かを唱えながら勉強しています。
「熱いと頭に入らない」というと、彼は、すぐに寒い部屋に行ってしまいます。
アンジョルラスを、そっと横目で見ていたリラは、追いかけたい気持ちを抑えていました。
いつからアンジョルラスを目で追うようになったのでしょう。
ほんの小さい時分には、彼は、彼の両親やリラの養父母と同じ大好きな家族であり兄だったのに。
まだ、こんな飾りは無い時代かな。ツリーも無いかも。
ある年のクリスマス、リラはヤドリギの飾りを眺めていました。するとそこにアンジョルラスが通りかかり
リラをはっとしたように眺めていました。そして、一歩近づいてきました。
そこへ、女中がひとり入って来ると、彼は、あわててリラの横を通り抜けて行きました。
「あらあら、ヤドリギの下にいる女の子にキスしないなんて。まあお坊ちゃまじゃあ、仕方ないね。」
リラは後に知りました。クリスマスにヤドリギの下にいる若い娘は、通りかかった男性のキスを拒めないのです。
■The First Noel(牧人ひつじを・賛美歌103番)
※実は、フランスでは元旦の習慣だそうです。でも、無視w クリスマスのほうがロマンティックだし。
ところで、あと一ヶ月半もすると、街はクリスマスムードになりますよね。
なんか季節が一気に変わるというか。
アンジョルラスは南フランスのどこに住んでいたんでしょうね。
雪はあまり降らないのかな。
その時から、リラはアンジョルラスを目で追うようになりました。
そして、不思議なことに、しばしば彼と目が合いました。でも、すぐに目をそらされてしまうのですが。
あの時、彼が一歩リラに近づいたように思えたのは、気のせいだったとリラは思いました。
でも、リラは、彼を目で追うのを止めることができませんでした。
何を望むでもなく、ただただ、目が彼を追ってしまうのです。
そんな幼い12月は、もう二度と戻りません。
そんなことを考えていると、コゼットがお茶を運んで来てくれました。
「12月に、マキも無い、食べ物もない部屋にいるのは辛かったでしょうね。」
コゼットは、何かを考えていましたが、思い切ったように口を開きました。
「昔は、私、階段の下のボロ置き場でワラに包まれて寝ていたの。
家から追い出されたときは、馬小屋に忍び込んで寝ていたし。
だから、あなたの辛さは誰よりわかるつもりよ。」
リラは驚いて、コゼットを見つめました。
ジャンバルジャンに貰った大きな人形を抱いて眠るコゼット
コゼットは言葉を選びながら、身の上を語りました。
それは、とても不思議な物語でした。
■20世紀FOXのアニメ『アナスタシア』Once upon a December
記憶を失ったロマノフ王家の最後の王女アナスタシアの物語。
この歌詞が好きで、コゼットが小さいころの、かすかに残る母との暖かい思い出を思い出したりしたかなと
思って選んだけど・・・3歳のころの記憶って、ほとんど無いような気もする。まあ、イメージということで。
Dancing bears, painted wings
Things I almost remember
And a song someone sings
Once upon a December
踊っている熊、彩られた翼
それが覚えてるものの全て
そして、誰かが歌っている歌
遠い思い出の中の12月
Someone holds me safe and warm
Horses prance through a silver storm
Figures dancing gracefully
Across my memory
誰かがしっかりと暖かく
抱きしめてくれた
馬たちは銀の吹雪の中を走り抜ける
その優雅な踊るような姿が、
思い出の中を横切っていく
Someone holds me safe and warm
Horses prance through a silver storm
Figures dancing gracefully
Across my memory
誰かがしっかりと暖かく
抱きしめてくれた
馬たちは銀の吹雪の中を走り抜ける
その優雅な踊るような姿が、
思い出の中を横切っていく
Far away, long ago
Glowing dim as an ember
Things my heart used to know
Things it yearns to remember
昔、遠い所で
残り火のようにほの暗く輝いている
私が昔、よく知っていた
願っているのに思い出せないもの
And a song someone sings
Once upon a December
そして、誰かが歌っている歌
あの忘れられない遠い12月
クリスマスの夜、飾り窓の中の美しい人形を見るコゼット。彼女には到底叶わぬ夢の存在の・・・
遠い記憶にあるかすかな母、そして、引き取られていた宿屋での辛い虐待の日々、
そんな辛い日々から救ってくれた父と呼ぶ不思議な老人のこと
父と父の兄(フォーシュルバン)との3人での静かな修道院生活
その生活が、生まれて初めて知る平穏な生活だったこと。
フォーシュルバン老人が亡くなってから、修道院を出て父とふたりで暮らした日々
その時、はじめてパリの街を見たこと。
コゼットの話を聞いて、リラは本当に驚きました。
私は他の人にも不幸なことがあるなんて考えたこともなかった。
コゼットのことは、恵まれて甘やかされた幸せな令嬢だと決め付けていました。
でも、実は苦労を知らないのは私のほう。こんなに優しい人を一時でも恨んだりして・・・
「8歳のときの私は、おびえることと、耐えることしかない日々だったの。
長い間うなされて、夜、夢に見たわ。
子供だったけれど、いいえ、子供だったからこそ、そこから抜け出すことができるなんて
考えることもできなかった。」
抜け出せない不幸に思えても、いつか抜け出せる・・・本当にそんな日が来るのでしょうか。
身も知らぬ自分に優しくしてくれるコゼットの気持ちは、とても嬉しかったのですが。
ほどなくして、マリウスが帰ってきました。
マリウスは、とても興奮しています。
「これを見て、リラ」
取り出されたのは一枚の絵、アンジョルラスの絵でした。
マリウスが招待されたサロンに架けられていた絵『ペルセウスとアンドロメダ』のペルセウスが、
アンジョルラスによく似ていたのだそうです。偶然、そこにその画家も同席しており、マリウスは
彼に話をききました。
■セレナータ『救われたアンドゥロメダ』からペルセオ(ペルセウス)の"Sovente il sole"「太陽はしばしば」ヴィヴァルディ
「リラ、そのモデルは、アンジョルラスだったよ。」
去年の春、リュクサンブール公園を通りがかったとき、その画家は、ベンチで眠っている美しい金髪の青年に
思わず目を奪われました。光りを浴びて輝く金色の巻き毛、顔はうつむいていて、はっきり見えませんが、
少し疲れているのか、力なくベンチにもたれかかっていました。
普通ならだらしなくも見えそうな格好なのに、何ともいえない優美な姿です。
おもわず、紙を取り出して、その姿を描き始めました。
どのくらいたったでしょう。夢中で描いていると、ふと青年と目が合いました。
目覚めたのです。
優しげな美貌を想像していた画家は、想像と違う顔に驚きました。
美しいけれど、猛禽を思わせるような鋭い目、引き結ばれた笑わない唇。
華やかな美貌にも関わらず、印象はひどく謹厳で近寄りがたいものでした。
あごをあげ、気位が高そうな顔で画家を見てきたので、あわてて非礼を詫び、そして改めて
絵を描かせて欲しいと頼みました。
驚くほど簡単に断られました。興味も時間もないと。
それでも、なおも頼むと、仲間が来るまでの時間だけなら好きに描けと言われたので、
画家は必死でその姿を描き止めました。
思いのほか親切なのか、微動だにせずモデルを務めてくれます。
そして、画家の手の中の絵を見ると、白い歯を見せて微笑みました。
「うまく描けるもんだな。」
驚くほど印象が変わる笑顔を、描き留めたいと木炭を取った瞬間、遠くから声がしました。
「アンジョルラス、遅れてすまん。」
5~6人の学生風の若者が彼に声をかけています。
ごめん、遅れた言い訳を考えてたら、遅くなっちゃった
「それじゃ、もう行くから」と立ち上がった彼に「お礼がしたい」というと
「いらない」と微笑み、行ってしまいました。
「その人は、もう一度、アンジョルラスに会いたいと、何度もリュクサンブール公園に行ったそうだ。」
リラは、絵をみつめながら、体の震えをどうすることもできずにいました。
逢いたい、それが無理なら、せめて形見が欲しい、何度それを願ったことでしょう。
暴動の後、彼の下宿を訪ねたら、そこには官憲の手がすでに入っており、部屋には、アンジョルラスの
ものは、何ひとつ残っていませんでした。
暴動のリーダーとして、死後も厳しい捜査が入ったのです。
マリウスからリラの話を聞いた画家は、そのときのスケッチを一枚譲ってくれました。
彼をモデルに、この六月の革命の絵をかきたいと言ったそうです。
アンジョルラスの死に、ひどく心を揺さぶられたようでした。
「リラ、来月、またそのサロンで、その人と逢えるから、君も連れて行ってあげるよ。」
「彼女を、あのまま引き止めておけば良かったわ・・・」コゼットは深くため息をつきました。
「だけど、あの時、もうすでに手遅れだったんだ。医者の見立て違いで、直ったと思っただけで。」
引き止めるマリウスの家を後にして、リラは自分の部屋に戻りました。
でも、リラはもう死を考えませんでした。
アンジョルラスが、ほんの少しだけ、姿をみせてくれたのですから。
来月は、その絵を見に行こう。
アンジョルラスは、あれだけ自分に生きていて欲しいと願ったではないの。
マリウスやコゼット、そして、その画家、皆がリラを思ってくれている。
故郷の義両親や、アンジョルラスの両親だって、リラの帰りを待っている。
そうだ、暖かくなったら、故郷に帰ろう。そしてアンジョルラスの母にも、この絵を見せよう。
きっと、アンジョルラスはそれを喜んでくれるだろうから。
■ドヴォルザーク・新世界より 第2楽章家路
そして、その2週間後、リラはこの世を去りました。
一度、直ったかに見えた病でしたが、実は深くリラの肺を蝕んでいたのです。
「リラは、今頃、アンジョルラスの腕に抱かれてるよ。」
マリウスはそう言うと、コゼットを優しく抱き寄せました。
リラは、やっと安らかな眠りの世界に旅立ちました。
そこにはアンジョルラスが待っています。
もう、彼のいない朝を迎えて、泣くことはありません。
彼の広い胸に抱かれて、リラは美しい夢の中でまどろみ続けます、永遠に・・・・・・
■フォスター 夢路より
Beautiful dreamer, wake unto me,
Starlight and dewdrops are waiting for thee;
Sounds of the rude world heard in the day,
Lull'd by the moonlight have all pass'd away!
夢をみている美しい君よ 私のために目を覚ましておくれ
星の光りと夜露がお前を待っている
荒々しい日ごとの俗世の喧騒は
月の光りに照らされて、過ぎ去って行く
Beautiful dreamer, queen of my song,
List while I woo thee with soft melody;
夢を見ている美しい人、私の歌の女王
あなたへの、愛の調べをきいておくれ
Gone are the cares of life's busy throng,
Beautiful dreamer, awake unto me!
Beautiful dreamer, awake unto me!
群集の喧騒に煩わされる日々はもう去っていった
夢を見ている美しい人、私のためにだけ、目を覚ましておくれ
さあ、おいで、美しい人
Beautiful dreamer, out on the sea
Mermaids are chanting the wild lorelie
Over the streamlet vapors are borne,
Waiting to fade at the bright coming morn.
夢を見ている美しい君、海に漕ぎ出そう
人魚たちは、ローレライの歌を歌っている
小川の上には朝霧が立ち込めているが
日が昇り、消え行くのを待とう
Beautiful dreamer, beam on my heart
E'en as the morn on the streamlet and sea
Then will all clouds of sorrow depart
Beautiful dreamer, awake unto me
Beautiful dreamer, awake unto me
夢を見ている美しい君、私に笑いかけておくれ
まさに小川の朝や、海原のように(?)
暗い雲は消えて行くだろう
夢を見ている美しい人
どうか私のために目をさましておくれ
リラの恋、とうとうリラを死なせてしまいました。
Lilasさん、ごめんね。
でも、サイドストーリーで何度でも復活させて、色々書いて下さいね。
他の皆さんも、妄想ストーリー、作っていただけませんか?
引き続きよろしくお願いします。
とりあえず、素晴らしいです
妄想の域を越えたクオリティー。
最終回ということで我慢しきれずコメントしちゃいましたw。
日々の満たされないアーロン、アンジョルラス欲をこちらのblogで満たさせてもらってます。ほんと感謝ですw。
今後の更新も楽しみにしてます♪
アンジョルラスの待つ場所に行けるんですものね。
何かドレスを繕いながらアンジョラスの帰りを待つ(?)女の子の絵
素敵ですね
あー、それにしてもアーロンのアンジョラスはギリシャ神話のように神々しい
誰か一人の女性のものにはなれない人って感じがします。
すみません、余談でした。ヒヨコ君がオロオロしていたのが可愛くてつい…
初めまして
書き込んで下さってありがとうございます。
そんな風に言っていただけると、書いたかいがあります。
アーロン、国内のスターとか超有名スターと違って、今度いつ
見れるか、ちょっとわからないところが不安ですよね。
でも、CDも売れたみたいだし、絶対ドラマも放映されると信じてます。
コメント欄とか、すごい濃いことになってて、入るのがためらわれるかもしれませんが、
誰も噛み付くような人はいないので、好きなことをどんどん書いて下さいね!
もしよかったら、今、バリケードボーイズに歌って欲しい歌を募集中です。
妄想もお待ちしてます。
リラはLilasさんという常連の方が作ってくださったキャラですが、
私がとても気に入ったので、お借りして使ってましたw
多分、まだ続くと思います。
Lilasさんも、まだ書いてくれるみたいだし。
良かったら、いろいろ参加してくださいね。
お待ちしてます。
Charles Beaunier(シャルル・ボーニエ)っていう人の絵です。ネットでたまたま拾ったけど、可愛いよね。
確かにアンジョルラスは一人の女性のものになるって考えにくいかも。
ところで、昨日レンタルに寄れなかったので、youtubeでWSS見てました。
アーロン、無理w
踊りの難度が全然違う。
歌は負けてないと思ったけど。
笑った~~
ごめん。
普通にアンジョルラスでは通じないんだ・・・
アーロンが変な顔して、オンジョルラッスって言ってたのを思い出した。
穏やかな世の中で二人は微笑んでいますよね、きっと。
二人のその後
変なの承知で 思いついたので、聞いてくださいませ。
「時空を超え、現代の日本に来た二人」
~あちらの世界から、なにかのはずみで、ニッポンへ~
アーロンが、来日して欲しい気持ちもあって、
思いついたのかな?
いつも、突然なわたしですが、浮かんだ曲、
Happy Ever After
Julia Fordham
http://www.youtube.com/watch?v=f9qGur8eTUg
ドラマの挿入歌にもなったそうです(フロム ウィキ)
メロディが好き。アーロンの肩にもたれて聞きたいよ~
ひさしぶりにコメントして、書きたい放題でごめんね
今月は、アーロン、誕生日ですね。
日本は神無月。
出雲以外は神様はお留守ですが(なんのこっちゃ)
みんなで誕生日をお祝いしたいですね。
今日と一瞬、勘違いして、あれれ?ってなった。
ああーーアーロン、30になってしまう・・・
若くてかっこいいうちに、もう一度アンジョルラスのような役をやって欲しい。坊主にしてる暇なんか無いよね。
Happy ever afterって、題名はいつまでも幸せに暮らしましたって感じだけど、歌詞みたら・・・・
南アフリカの人種隔離政策の歌なんですね。びっくり。
歌の感じや、歌手の感じから、ロマンティックな歌かと思いましたが・・・
これは、むしろアンジョルラスが歌う?
海外って、政治的な歌多いのかな。
時空を越え、日本へ・・・
もう少し続き書いてよw
というか、桃色吐息を放り投げてた~ごめん~
なかなかアーロンがらみで、セクシーなネタが無くて。
iremisuさんの提案、いつも、一番難題だよ~w
死んでしまったけど、希望のある終わりで素敵~。
もし、番外編を書くとしたら画家の視点で書けば面白そう。
バリケードボーイズに歌って欲しい歌。
今朝、ニュースに出てて懐かしかったので・・・バックストリートボーイズのi want it that wayをメインメンバー辺りでお願いしたいな~。ダンスしてもいいよ☆
みんなイケメンだからCD凄く売れちゃいそう。
こちらはアーロンジョルラスより素のアーロンが似合いそうです。
もう一曲は邦楽で申し訳ないのですが、AIさんのハピネスを。
ありがちなんですけど、でもみんなで歌って欲しい!
アーロンジョルラスが凹んでいる時に皆で歌えばとてもいい感じだと思います~。
最初は歌に入らないアンジョルラスも徐々に乗って最後は笑顔で歌ったり~。
八ツ!妄想が止まらない(笑)
リクエスト宜しくおねがいします。