捨てていかないと重くなる。重くなると歳をとった体には厳しいのである。

つまらぬ嘘をつく、つまらぬ男だった。
ある日やめてみた。
27才のとき煙草をやめたみたいに。
とてもラクになった。
まるで煙草をやめたときみたいに。

こだわりというつまらぬ蘊蓄をいう男だった。
ある日捨ててみた。
太って合わなくなったズボンのように。
とてもラクになった。
サイズの合ったズボンが快適なように。

情報は重要だ。
だけど知りすぎるということは、世界をつまらなくすることもある。
そんな気がしている。
知らないことは怖いことだ。
それ以上に、知りすぎることは怖い、そう思えるようになった。

やみくもにたくさんインプットしてきた。
この10年であらかた吐き出した。
からっぽになったから、インプットしなきゃって焦っていたんだけれど、
もしかして、そうじゃないのかもしれない。
からっぽになったのではなく、平たくなったのかも。

とにかく、若いときよりはずっとラクになりました。