オガサワラモンハナノミのように

オガサワラモンハナノミのようにです。

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故郷とはじわじわとくる~

2017-06-22 18:43:11 | 日記
屋根に登っている伯父さんが私に言いました。

「どうだ、田舎はいいだろ、文?」
「そうね…」

投げ餅が終わると、建てまえに参加してくれた人達全員で、お祝いの樽酒を飲みました。近所の奥さんたちが白いエプロンをかけて、せっせと家事を手伝ってくれます。

私は親戚の人達にも囲まれ、とても心がなごみました。でも、やっぱり田舎でずっと暮らす気にはまだなれませんでした。伯父さんがビールを注いでくれます。

「だいぶ酒が強くなったな、文」
「そうでもないわよ」

「どうだ、今度の家は?」
「まだ骨組みだけじゃわからないよ」

「ハハ、そりゃそうだ。あのな文、兄貴も義姉さんも、お前のことをずいぶん気にかけてるんだぞ」
「うん」

またはじまった…。

「口にはださねえけどな」
「うん」

「おい、ちょっと上見ろよ」
「なあに?」
「あそこがお前の部屋だ。10畳の洋室だ。兄貴も気遣ってるんだよ、お前に」

都会の生活では感じる事の少ない、人の心の豊かさ、優しさ……田舎へ帰ってくる度に身にしみます。東京へ戻る日、伯父さんは駅まで車で送ってくれました。

「後から箱でミカン送ってやるからな」
「そんないいのに」

「くだらねえ男に引っかかるんじゃねえぞー!両親が嘆くからな!」
「ハイハイ」

その日は晴れていて、列車の窓から富士山が見えました。私は心が洗われる思いで、いつまでも故郷の山を見ていました。




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