しゅっとしてる山本さん

しゅっとしてる山本さんの日記です。

新人編集者の失踪事件

2016-09-19 12:34:16 | 日記
かつて、出会ったばかりの編集者が突然、失踪したことがありました。それが、中途入社した30代男性の小島さん(仮)。経営哲学に関しての著作の案件を上司の吉田さん(仮)から引き受けました。

吉田さんは案件を抱えていたので、部下の小島さんに引き継がせたのです。私はある事情でその案件に関わっていたので、小島さんを紹介されていっしょに仕事をはじめました。

印象は「編集者に似合わない、スキのない男性」という感覚。髪型も服装もきちんとしていて、どちらかと言えば営業マンのイメージでした。

ところがまもなくして、吉田さんから失踪を聞かされました。

「それが妙なんですよね。午前中の仕事が終わって、うちの社長に昼飯を一緒にとろうって誘われたらしいです。実際に、何人かの社員が社長と二人で近所のパスタの店で、飯を食ってるところを見てるんですけどね。でも、そのままいなくなっちゃったんです」

パソコンはつけっぱなし、私物もすべて机の中に残されたまま。ほかの社員はてっきり、泊まり込みで残業していると勘違いしていました。

どうやら失踪したらしいとわかり、真相も判明したのは2、3日後。その日、社長が小島さんに同社の新事業(保険部門)に関するブレーンになってほしいと、依頼したらしいのです。

ところが、小島さんは「自分がこの会社に入ったのは、編集の仕事をやりたいからで勘弁してほしい」と訴えました。でも社長は引きません。やがて、二人は口論に。そして、小島さんは自分から席を立り、レストランを出ていきました。もともと外資の証券会社にいた人らしいです。

それにしても、私物も全部置いてそのまま帰っちゃうとは……。