三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

死刑について考える1 死刑廃止の動きと日本

2008年01月03日 | 死刑

米ニュージャージー州、死刑廃止法案可決 76年以降初
 米東部のニュージャージー州議会で13日、死刑を廃止する法案が可決された。米連邦最高裁が死刑を合憲と認めた76年以降で初めて死刑廃止を決定する州となる。今後米国内で死刑存廃の議論が高まりそうだ。
 死刑の代わりに仮釈放なしの終身刑を適用する。州知事の署名により年内に施行される見通し。民主党議員らが廃止論議をリードし、州の特別委員会は「死刑は終身刑より経費がかかり、殺人の抑止効果もない」との報告書を出していた。
 同州には現在、8人の死刑囚がいるが、同法によって終身刑に減刑される。その中には、性犯罪歴の公表を定めた「メーガン法」制定のきっかけとなった女児殺害犯も含まれている。
朝日新聞12月14日

国連総会、死刑執行停止求め決議 大差で採択
 国連総会は18日、死刑執行の停止を求める決議案を賛成多数で採択した。日本を含む死刑制度の存続国に対し国際世論の多数派が「深刻な懸念」を示した形だ。決議に法的拘束力はないが、存続国には死刑制度の状況を国連に報告するよう求めており、制度の見直しへ向けた国際圧力が高まるのは確実だ。
 国連加盟国192カ国のうち、欧州連合(EU)のほか、南米、アフリカ、アジア各地域の87カ国が決議の共同提案国になった。採決は、賛成104、反対54、棄権29。死刑制度を続けている日本、米国、中国、シンガポール、イランなどは反対した。
 決議は、人権尊重の意義や、死刑が犯罪を抑止する確証がないこと、誤審の場合は取り返しがつかないことなどを指摘。存続国に対し、執行の現状や死刑囚の権利保護を国連事務総長に報告▽死刑を適用する罪名の段階的な削減▽死刑制度の廃止を視野にした執行停止――などを求めている。
朝日新聞12月19日

日本では、今年の死刑判決は47人、死刑が確定したのは23人。
「死刑判決を受けた被告数は80年以降、年間5~23人だったが、01年に30人に達してからは▽02年24人▽03年30人▽04年42人▽05年38人▽06年44人――と増え続けている」毎日新聞12月29日
死刑の執行も増加していて、今年は9人が処刑された。

先進国で死刑制度があるのはアメリカと日本だけである。
だが、アメリカでは1972年に連邦最高裁が「死刑は憲法違反」との判断を示し、各州が死刑を廃止したことがある。
1976年に最高裁が先の判断を覆したため、死刑を復活させる州が相次いだ。
現在、州法で死刑を規定しているのは全米50州のうち37州、うち21州では行政が死刑を凍結し、執行していない。
つまり、死刑大国のアメリカでも、死刑が執行されている州は少数派だということになる。
ところが、日本ではなぜか死刑判決も死刑の確定も増え続けている。
死刑問題については世界の最末端を独走しているわけである。

そんな日本でも明治33年、明治34年、明治35年と死刑廃止法案が数次にわたって提出された。
昭和31年の死刑廃止法案の提出理由はこうである。
「現在のわが国においては、過去の戦争の影響により人命尊重の観念が甚しく低下し、これが殺人などの犯罪の増加の原因となっていると考えられる。ここにおいて国は進んで人命尊重の観念を昂揚すべきである」(団藤重光『死刑廃止論』)
今、こんな主張をしたら、人の命を奪うような奴の人命なんか尊重する必要はない、という声が聞こえてきそうである。

現在の状況では日本政府が死刑制度を廃止することはないだろう。
だが、アメリカの動き次第では、右にならえということになるかもしれない。
「致死注射の合法性に関する連邦最高裁の判決が出るまでの間」、テキサス州などでは死刑執行を停止しているが、連邦最高裁がひょっとして違憲判決を出したら、一挙に死刑廃止するかもしれない。
外圧に期待したいと思う。

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