三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、インチキ宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり、そしてそのことを日記にまとめてみたり。

冤罪と重罰化

2007年05月08日 | 死刑

先日、免田栄さんの講演があった。
昭和23年、夫婦が殺され、二人が重傷を負った事件の犯人として免田さんは逮捕された。
明らかなアリバイ(証人が裁判でちゃんと証言している)があるにもかかわらず、死刑の判決を受けた。
何度も再審請求を行い、そうして昭和58年に無罪、即日釈放となった。

免田さんが拘置所にいるころは、他の死刑囚と話をすることができた(今はできない)。
死刑囚同士が話していると何となくわかるもんだそうで、冤罪の人も何人かいたと免田さんは話されてた。
まるっきりの無実ではないにしても、事件現場にいたけど何もしていない人、泥棒に入ってつい殺してしまった人などのように、死刑にするのはかわいそうだと思う人もいたそうだ。
刑務官もこうしたことは知っている。
しかし、執行となり、立ち会えと命令されると断ることはできない。
顔面蒼白で、震えていたそうだ。
やはり死刑は残酷な刑罰だと思った。

免田さんは再審請求を何度もし、そうしてやっと無罪を勝ち取ったわけだが、それができたのは外に支援者がいたからである。
死刑囚の多くは再審請求のやり方を知らないし、また支援者もいないし、お金もない。
だから、冤罪であっても、あるいは罪が重すぎても、再審請求できなかった人がいるそうだ。

罪が重すぎるということだが、たとえば泥棒に入って、たまたま家人を殺してしまったとする。
その場合、窃盗と殺人ということになるが、しかし強盗殺人とされると、刑がぐっと重くなり、場合によると死刑になる。
ウィキペディアによると、窃盗とは、誰にも気付かれることなく、他人の物を故意に断り無く持っていくこと。
強盗とは、脅迫や実力行使などによって他人の物を無理矢理奪う犯罪。
強盗が人を死亡させたら強盗致死罪、死亡の結果につき行為者に故意があった場合、強盗殺人罪。
窃盗と強盗、故意のあるなしで量刑がまるっきり違ってしまうから大変である。

で、厳罰化が進んでいるということ。
犯罪が増えていないし、凶悪化もしていないのに、刑罰だけがだんだん重たくなっている。
新受刑者の平均刑期が1994年は23・4月、1999年は25・6月、2004年は29・0月と増えている。

死刑や無期刑は近年ぐっと増えている。
死刑は以下の通り(表を作るにはどうしたらいいのだろうか)

年次   第1審死刑判決人員 死刑確定人員
1993     4               
7(2)
1994     8            3(1)
1995    11            3(0)
1996     1            3(0)
1997     3            4(0)
1998     7            7(1)
1999     8            4(0)
2000    14            6(3)
2001    10            5(1)
2002    18            3(1)
2003    13            2(2)
2004    14           14(2)
2005    13           11(4)
2006    11           19(4)

無期刑は以下の通り
年次    第1審        確定人員  無期刑仮釈放者
     無期刑人員                   平均在所期間
1993   27       27         18年1月
1994   45       35         18年3月
1995    37       35         20年
1996   34       34         20年5月
1997    33       32         21年6月
1998   47       45         20年10月
1999   72       48         21年4月
2000   69       59         21年2月
2001   88       68         22年9月
2002   98       82         23年5月
2003   99      117       23年4月
2004  125       115     平均出ず
2005            134      27年2月

死刑や無期刑が相当の犯罪が増えているわけではない。
買い物にたとえて言うと、検察が値段を高めに設定し、弁護人が安くするよう交渉する、そして裁判所が適当な値段を決める、ということになると思う。
本来は5千円程度の品に検察が1万円と値を付けていたのが、次第に高くなって、今は2万円の値段を請求するようになった。
それに合わせて、裁判所もだんだんと高い値段にするようになり、今は検察の言いなりで値段を決めている。
そういう感じだろうと思う。
つまりは刑罰のインフレ化が進んでいるということである。

たとえば、2005年、認知症のお年寄りが暮らすグループホームで、利用者の女性(84)にやけどを負わせて殺害した疑いで殺人罪に問われた元男性職員(28)の場合である。
検察は懲役13年を求刑し、地裁は懲役12年、高裁は懲役10年の判決。
そうして最高裁は控訴を棄却して懲役10年が確定した。
裁判での争点は殺意があっての殺人罪か、それとも殺意のない傷害致死か業務上過失致死罪かという点である。
女性は石油ファンヒーターを服の上から押しつけられ、やけどによる熱傷性ショック死。
殺意があったか、かっとして思わずやってしまったか、そのあたり本人だってわからないと思う。
男性は一人で夜勤していたわけだし、直後に遺書を残して自殺を図っている。
情状酌量の余地があると思うのだが。

となると、冤罪はなくなっていないだろうし、実際の事件よりも重い罪名にされるということも多いだろう。
免田さんが逮捕されたころとは検察や裁判所のやり方は違っているだろうが、状況は変わらないというか、まずくなっているように思う。

再審請求をしている免田さんに、浄土真宗の教誨師が「前世の因縁でこうなったんだから、それを受け入れて死刑になりなさい」ということを言ったそうだ。
赤面した。

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