三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、インチキ宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり、そしてそのことを日記にまとめてみたり。

鵜飼秀徳『寺院消滅』(1)

2017年04月29日 | 仏教

寺院の現況について書かれた本を3冊読みました。
鵜飼秀徳『寺院消滅』、水月昭道『お寺さん崩壊』、村井幸三『お坊さんが隠すお寺の話』です。

 寺院の現況
全国に約7万7000ヵ寺の寺院があり、そのうち住職のいない無住寺院は約2万ヵ寺。
宗教活動を停止している不活動寺院は2000ヵ寺以上と推定されている。

臨済宗妙心寺派の寺院は、2015年現在で3362ヵ寺あり、そのうち30.7%に当たる1032ヵ寺が無住状態である。

妙心寺派の無住寺院は1980年代半ばで160ヵ寺ほどだった。

井上研士氏の分析によると、宗教法人の約36%(およそ6万法人)が25年後には消滅の危機にある。


浄土宗の、過疎地寺院への調査によると、檀家数301軒以上の寺では、後継予定者がいない割合は13%、檀家数100軒以下では43%となる。


地方(特に山間部)にある寺院の空き寺化は今に始まったことではないが、深刻化して危機的な状態にある。

長崎県の宇久島は人口2330人、寺院は11ヵ寺あり、そのうち4ヵ寺は住職が不在。
活動寺院の7ヵ寺でも、住職が寝たきりだったり、後継者がいなかったりする。

尼僧も1980年代では全国に2000人以上いたが、現在は数百人程度ではないかと推定される。

年齢はおおむね70代以上で、40歳以下の尼僧は皆無だから、尼寺も消滅の危機にある。

石井研士(國學院大學神道文化学部長)の話から(鵜飼秀徳『寺院消滅』)。

戦前までは神棚と仏壇は家庭に100%あったが、今は、神棚がある家庭は40%、仏壇は50%で、東京だと、神棚のある家の割合は22%ほど。

島田裕巳『0葬』には、2013年、2人以上の世帯で暮らす30代から60代の調査によると、仏壇のある家39.2%、ない家60.8%。

独り暮らしの家だと、仏壇のない家がもっと多いと思われます。

不活動宗教法人は4500ぐらいあると言われているが、実数はもっと多く、今後さらに増えると予測されている。

2040年までに消滅する可能性がある市区町村は896ある。
2040年をピークに、日本の死亡者数は減少する。
地域が消滅していくのに、寺や神社だけが残るということはあり得ない。

 寺の収入
寺院の収入だけで維持していくことができるかどうかの採算分岐点は、村井幸三氏によると檀家400軒、水月昭道氏だと檀家300軒、鵜飼秀徳氏は少なくとも檀家200軒と、地域差はあるでしょうけど、かなり違っています。

1ヵ寺あたりの人口は、全国平均が1677人だそうで、1世帯の平均が3人家族だとすると550軒、4人家族だとすると420軒ですから、一ヵ寺あたりの檀家数は平均400軒ということになりますが、どうなんでしょうか。


村井幸三氏によると、檀家の葬儀は年間に檀家数の10%というのが目安だった。

ところが、高齢者の死亡数が減り、今は檀家数の5~7%だといわれている。
400軒の檀家だと、年間24~5件ということになる。

水月昭道氏によると、寺院の収入はお布施と年会費(護持費)。

100軒の檀家があれば、布施収入は年間300~400万円。
年会費は1軒あたり1~2万円が普通。
檀家数300軒だと1千200万円の年収となる。

もっとも、布施の金額は地域・宗派によって大きく違います。

鵜飼秀徳氏によると、東京が50万円、京阪神や名古屋がその半分、地方都市だと10万円を切るところも多い。
島根県の浄土宗寺院では、葬儀は導師が5万円、脇が3万円だが、広島に住む檀家の葬儀では20万~30万円。
陸前高田市の浄土宗の葬儀の布施相場は20万~30万円だったが、震災後は下がった。
東北では葬儀の布施相場は東京以上に高いが、法事などではあまり布施を包まない。

浄土真宗本願寺派による葬儀の平均布施金額の教区ごとの調査では、全国平均は23万円ぐらいで、東京教区が40万円超と一番高く、10万円以下は沖縄教区と鹿児島教区。(棒グラフなので正確にはわからない)

山口教区では30万円強で、東京教区に次いで多いが、隣の安芸教区では15万円と半額。

島田裕巳『0葬』によると、ある民間墓地で院号のついた戒名を調べた調査では、明治では全体に占める院号の割合は18%、大正では20%、昭和の前半10%。

院号が急増するのは高度経済成長の時代に入ってからで、昭和30年代から40年代は55%、50年代から60年代は64%、平成に入ると66%と、3分の2の人に院号がついている。
しかし、島田裕巳氏が調査した山梨県の村では、院号のついた戒名は昭和50年代から60年代は5%である。
都会では院号のインフレ化が進行し、その分、戒名料が高騰した。
戒名料の平均額は40万2000円で、20万円未満が24.7%、20万円以上40万円未満が32%、100万円以上は8.2%。
2001年の同じ調査では戒名料の平均額は38万1700円。

水月昭道氏の本にもどり、檀家数300軒だと布施収入1200万円というのは、住職の収入ではなく、寺院の収入であり、会社の売上高と同じ。

1千200万円で、教化費、本堂・境内の営繕費、光熱費、賦課金(本山への上納金)、通信費などをまかない、残りが人件費(住職の給料)となる。

水月昭道氏の寺は、門徒戸数は約150軒、布施収入は約450万円、年会費が150万円(実際は若干少ない)。

老住職(水月氏の父)の給料は年200万円で、所得税・市県民税・保険・年金などを支払うと、手取りは100万円台に下がる。

兼業せざるを得ない僧侶は、以前は学校や役場に勤めることが多かったが、今は葬儀があるからといって休めないので、公務員をしている僧侶は減っている。


平成27年度の浄土真宗本願寺派における一般会計歳入予算は56億3千万円で、前年比では4億円のマイナス、つまり収入源なので、末寺も厳しい状況にあることは間違いありません。


臨済宗妙心寺派の調査によると、住職が兼業している寺院では、布施収入ゼロが約2割、100万円以下は76%を占める。


檀家数300軒の規模となると、住職1人では葬儀・法事をこなせないので、お坊さんを雇わないといけないし、事務を支えてくれるアルバイトも必要だと、水月昭道氏は書いていますが、檀家数300軒のお寺がそ事務員を雇うほど忙しいものでしょうか。


それと、水月昭道氏の試算には寄付がないのが疑問です。

地方では数万円で葬儀一式をするところは多いが、普段から彼岸、盆、施餓鬼などの仏事や年中行事で檀家と深く係わり合いをもっている。
布施の額は少なくても、寺の寄付は進んで出す地域もあるそうです。

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