いささか古いニュースですが、神戸で小1の女児が殺害された事件で、被害者の家族がこんなコメントをマスコミに対して出した。
さぞかし押しかけ取材がひどいのだろうと思う。
川名壮志『謝るなら、いつでもおいで』で、2004年に起きた佐世保小6同級生殺人事件の被害者の父親である御手洗恭二さんはこのように語っている。
御手洗恭二さんは毎日新聞に勤めているマスコミの人だから、マスコミへの対処の仕方がある程度わかっているし、同僚たちが守ってくれもしたが、それでもマスコミへの対応に苦慮しているのである。
被災地ではマスコミの車両は駐車禁止にならないらしく、どこにでも車を停め、我が物顔に歩き、無遠慮に質問するなどと、被災者の方から聞いた。
まして加害者の家族は何も言えない立場だから大変である。
佐世保小6同級生殺人事件の加害者の父親はこう語っている。
そういえば東日本大震災の被災者も、「取材を受ければ支援金がもらえる」と言って取材してる記者がいたと話してた。
川名壮志氏も毎日新聞の記者だが、マスコミ批判というか自省の言葉を書いている。
佐世保高1同級生殺害事件の加害者の父親が自ら命を絶った。
これまた旧聞に属するかもしれないが、「週刊新潮」10月16日号は「娘の更生よりも自死を選んだ佐世保「女子高生バラバラ犯」の父親」、「週刊文春」は「佐世保高1女子惨殺『父自殺』本誌が掴んだ全情報」という記事を載せ、死者に鞭打つ。
「週刊新潮」は「精神を蝕まれた娘とは最後まで対峙せぬまま、「戦い」から降りてしまったのだ」と書き、娘から金属バットで殴られて重傷を負ったことでも、「このときも臭いものにはフタとばかり公にはせず、あろうことかAに一人暮らしを許してしまうのです」という全国紙社会部デスクの言葉を載せている。
そして「今回もまた娘を〝置き去り〟にしてしまったのだ」と締めくくる。
「週刊新潮」や「週刊文春」が加害者の更生を本当に願っているのなら、煽情的な報道はしないはずだと思う。
自分たちがこれでもかとアラ探しをして追い詰めたために自殺したのではと、罪の意識は持たないのか。
ネットでも責任逃れだとか自分勝手だと書いている人がいる。
しかし、自死した加害者の家族は少なくない。
宮崎勤死刑囚の父親、半田保険金殺人事件の長谷川敏彦死刑囚の姉と息子、秋葉原通り魔事件の加藤智大死刑囚の弟も自殺している。
川名壮志『謝るなら、いつでもおいで』に、佐世保小6殺害事件で担任教師は入院し、夏休みが明けても復帰できなかったとあります。
事件現場の3階の学習ルームは約1000万円をかけて取り壊された。
教室を残したままにすると陰惨な記憶がよみがえるという保護者の声があったため。
「週刊新潮」に、精神科医の片田珠美氏が「この父親は、世間体を気にするとともに非常にプライドが高かったのだと思います。ところが、ひとたび事件が起きると打たれ弱い。やはり自殺した理研の笹井氏も同じで、ボロボロに傷ついた状態で生き続けることに耐えられない、となる。そうした傾向が強いタイプなのです」と語っている。
おそらく電話で30分ぐらいしたやりとりをまとめたんだろうが、「打たれ弱い」はないんじゃないかと思った。
殺人事件でなくても、逮捕されただけで家族の衝撃は大きい。
ましてや世間を騒がせる事件を家族が起こし、マスコミが殺到して、あることないこと書かれて、それでも打たれ強い人がいるのかと思う。