つぶやきイチロー

思いついたことを、思いついたまま綴る。ヒマな時に更新。

インターネット時代に新聞は生き残れるか? (1)

2005-10-12 21:06:31 | 政治・経済・社会
先週日曜日の日経新聞に見開き2面を使った特集が組まれていた。主旨は、「インターネットが普及した今の時代であっても今後も新聞は情報源の中心としてあり続けるだろう」といったもので、新聞というメディアの優位性を述べ、識者のコメントも付した大特集であった。

多くの人は毎日、新聞を読む。インターネットには情報料無料のニュース提供サイトが沢山あり情報はリアルタイムで更新されるが、そうであっても新聞をプライマリーな情報源として位置づける人が多い。

新聞の優位性は、
① 紙媒体なので持ち運びしやすく、どこでも読める
② 紙面が大きいため記事を一覧できる
③ 重要と思われる情報だけが掲載されており、世の中で起きている現象を的確に捉えることが出来る

などである。③を除いてPCの小さな画面で閲覧するインターネット媒体では不利な点であり、当面、新聞の優位性は揺るぎそうにない。しかし、10年後もそうかと言われると、そうではないと思う。最近、新聞の将来に危うさを感じることが多い。

上の①、②の優位性については、紙と同じ感覚で扱える、畳んだり曲げたりすることが出来る大型のディスプレイが登場すれば、新聞の優位性は突然失われる。この分野は詳しくないのだが、こうしたディスプレイ(電子ペーパー)が開発されつつあると聞いた事がある。

また、③についても新聞の優位性は無くなりつつある。これは、より本質的な問題であるが、客観的に見て、最近、新聞記事の品質が落ちる傾向にあると感じる。新聞記者は各々、自分の専門分野を担当するが、あくまで外部者であり素人に過ぎない。自分の専門分野の記事を読むと、かなり頻繁に「この記者は内容を理解せずに記事を書いている」と感じる。時間の制約による取材不足なのか良く分からないが、最近、特にその傾向が強い。

一方で、インターネットにある沢山のブログを参照すると、本質に切り込んだ記事が結構ある。インターネットの掲示板等は、かつては一部の限られた人間しか参加していなかったが、最近は様々な分野のプロが参加し直接情報をアップしている。資産運用の専門家が最近の日本株の上昇の理由について分析し、農家が農業政策の問題点を語る。記者という素人を通していない記事は、粒揃いではないけれど、本質に切り込んでいるものが多い。しかも情報料は無料で、情報提供者とインタラクティブなやり取りが出来たりもする。

この現象は新聞社にとって脅威だ。かつて流通で起きた大変革、卸売や小売りといった中間業者の排除は、情報産業にも起きつつあるということだ。新聞や雑誌を通さず、情報提供者から直接、情報を受け取る。中間マージンは取らないし、情報にマスキングやバイアスが掛かっていないので本質を理解しやすい。こうした点から、新聞に対するニーズが潜在的に低下しているのは否定できない。

実は大新聞であっても、掲載されている一部の記事は記者が書いた記事ではない。共同通信社やロイターからの提供を受けていたり、状況分析の記事であってもフィナンシャル・タイムズなどから記事の提供を受けたりしている。加えて、記者が書いた記事もイマイチということであれば、新聞社が「消えゆく運命の卸売業」と見られても仕方がないだろう。
(次回に続く)