つぶやきイチロー

思いついたことを、思いついたまま綴る。ヒマな時に更新。

カネボウの粉飾決算 (1)

2005-10-05 00:14:56 | 政治・経済・社会
中央青山監査法人はカネボウの粉飾決算事件の責任を取って10人の理事全員が辞任した。10人は中央青山に残るが報酬の30%が半年間カットされる。会社の不祥事で経営者が責任を取るのは至極当然なので、このニュースは世間一般には「当たり前のこと」と受け取られるだろう。

しかしながら、恐らくその10人にしてみると本音では「運が悪かった」とか「嫌な時代になった」とか感じていると思う。

私は監査法人に属している人間ではないけれども、時々、会計士と一緒に仕事をする立場として感じるのは、監査法人という組織は一般企業のようにピラミッド型の組織になっていないということ。つまり、監査法人というのは公認会計士という個人プレーヤーの集団で、例えれば商店街のようなもの。経営がうまく行くかは各商店の店主に頼る部分が大きく、組織力は余り関係ない。

そんな中で、監査法人の理事という人たちは商店街の幹事に例えられる。形式的には監査法人の経営に責任を負っている筈だが、実態的には権限が小さい。なので、「俺は何もしていないのに、今回は運が悪かった」と嘆いていても不思議は無い。だからといって、私は彼らが可哀想と言っている訳ではないけど。

今回の事件を契機に監査法人は抜本的な改革を迫られるだろう。そして、それは茨(いばら)の道となる筈だ。

まず監査法人としてのリスク管理体制の構築をする必要が出てくるだろう。今までのように監査業務の品質管理を関与社員に任せたままにせず、法人全体でコントロールする仕組みを構築しなければいけない。一部の一般企業ではこうしたリスク管理を暫く前から行ってきた。一般企業にこの種のコンサルティングしている監査法人は、今度は一般企業に見習わなければいけなくなった。

「法人全体での取り組み」に慣れていない会計士にとって、これは大変なパラダイム・シフトであるが、それ以上に問題なのは「お金」の確保だろう。
(次回に続く)