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オオサンショウウオに交雑の恐れというが・・・(5)

2011-09-03 11:07:39 | 生物・生態系・自然・環境
 昔の記事にponさんという方からこんなコメントを頂いた。

初めまして。ブログ拝見させて頂きました。

私は京都の加茂川上流に住んでいて、近所の川でオオサンショウウオをよく見かけます。
交雑種は本来日本に「いるはずがない」ものです。中国と日本のオオサンショウウオは、気性や文化も全く違います。食べ物にどん欲な交雑種がいることによって、現に加茂川の鮎は急激に減っています。これは悪い影響ではないのでしょうか?


 レスを書こうとして少し調べていると、いろいろ思うことところがあったので新記事にする。

 ponさん、はじめまして。
 鮎が交雑種の食害にあっているとは初めて聞きました。
 交雑種についてのこれまでの新聞報道には、そんな話はなかったように思います。
 この問題の専門家であるらしい松井正文・京大教授の『外来生物クライシス』(小学館新書、2009)にもそんな話は出ていません。

 しかし、コメントいただいた記事に「現実論」さんもコメントで紹介しておられましたが、少し前にNHKで放送された「ちょっと変だぞ日本の自然 新型生物誕生SP」という番組では、この問題が取り上げられ、松井教授も出演されていたそうですね。 

 「老兵は黙って去りゆくのみ」というブログで、詳しい内容が紹介されていました。

 この方によると、こんなシーンがあったそうですね。

交雑種オオサンショウウオには日本のオオサンショウウオに見られない特徴がある。それはエサを与えたときの反応です。

交雑種オオサンショウウオの池に切り身のエサを放りこむ映像が出てきた。

ぞくぞくとエサに集まってきます。1分足らずで大混乱。エサに群がり、さらに噛みつき合いも始まりました。エサに興奮しているのです。

日本固有のオオサンショウウオの池に切り身のエサを放りこむ映像が出てきた。

何と、15分待ってもエサに変化はありません。それもそのはず日本のオオサンショウウオは獲物を待ち伏せして捕まえます。獲物を追いかけて捕まえることはほとんどありません。

人が外来種を持ち込んだゆえに生まれた新型オオサンショウウオ。日本固有のオオサンショウウオを始め、鴨川上流の生き物たちに大きな影響を与えているのです。


 なるほど確かに交雑種と日本固有種とでは餌のとり方や気性が違うようですね。

 ただ、これまでの新聞報道にはそんな話もなかったように思いますし、上記の松井教授の『外来生物クライシス』にもやはりありません。オオサンショウウオについて解説しているホームページをいくつか確認しましたが、見当たりません。
 本当に、そこまであからさまな差があるのでしょうか。

 例えば、交雑種にはしばらく餌をやらないで空腹にさせておき、固有種には餌をやったばかりの満腹の状態で、餌をやったとすれば、上記のような映像を撮ることは可能でしょう。
 また、交雑種は切り身の餌に慣らしておいて、固有種には生き餌ばかり与えていても、同様のことが可能です。
 あるいは、餌である魚の種類を、オオサンショウウオが好むものとそうでないものを使い分けることによっても。

 映像を全く見ないで言うのも何ですが、私はテレビというのはそういう仕掛け(彼らは「演出」と言う)を平気でやるメディアだと見ています。あるいはテレビは関知せずとも、撮影に協力した研究施設の方でそのような作為を加えることは可能でしょう。
 本当にそのような歴然とした差異があるのか、私はやや疑っています。

 「大山椒魚ウオッチング」というサイトによると、待ち伏せだけでなく餌を求めて歩き回ることもあるそうです。

羽束川での調査では、仕掛けておいたカニ籠に入っていました。このときの餌は、アジやイワシでしたから目の前に来たものだけでなく、餌を求めて歩き回っていることが分かります。ウナギの流し針仕掛けに食いついて発見されることも多いです。


 さて、交雑種により鮎が急速に減っているとのことですが、鮎が減少して餌を得ることができなくなれば、オオサンショウウオもまた減るのではないでしょうか。
 そのようにして様々な生物が増えたり減ったりして、生態系のバランスが保たれるのではないでしょうか。

 また、上記の「老兵は……」さんの記事によると、NHKの番組では、京都府賀茂川漁業協同組合が毎年鮎の放流を行なっているが、最近鮎を放流しても上流ではいつのまにかほとんどが消えてしまうと紹介されていたようです。

 わざわざ餌となる鮎を放流すれば、それを捕食する動物が増加するのは当然のことでしょう。
 それでは生業が成り立たない、放流はしたいが捕食されるのは困るというのであれば、交雑種のオオサンショウウオに限っては保護動物ではなく害獣であると公的に指定してもらって、駆除するしかないでしょう。

 しかし、チュウゴクオオサンショウウオもまた国際的な保護動物ですから、それと固有種との交雑種を害獣指定するのは容易なことではないでしょう。
 仮に指定し得たとしても、固有種は保護動物のままなら、一体一体DNA鑑定する必要があるということになり、たいへんなコストがかかります。
 そんな作業に予算を付けることに、国民は納得するでしょうか。

 おまけに、この放流されている鮎は、賀茂川産ではないようです。
 ウィキペディアの「鴨川(淀川水系)」の項目には、現在次のような記述があります。

天然アユは戦前まで遡上していたが、1935年に発生した2度の水害対策で川底の掘り下げと多数の堰の設置で、鮎の遡上が妨げられた。そのため現在は賀茂川漁協が琵琶湖産の鮎を放流している。


 つまり、あなたの言う交雑種同様、放流されている鮎も本来賀茂川に「いるはずがない」ものなのです。

 もちろん、鮎で生計を立てている人がいる以上、その食害は問題です。
 しかし、鮎は水産資源であるから他の地域産のものであっても放流してもかまわないが、オオサンショウウオは外来種も交雑種もその存在を許さないというのは、何だかおかしな話だと思います。

 それに、この交雑種による食害は、それほど重大な問題なのでしょうか。
 もしそうなら、交雑問題自体よりももっと伝えられていてもいいはずですが、私は聞いたことがありません。
 地元紙である京都新聞のサイトで検索しましたが、見当たりません。
 賀茂川漁協のサイトも見てみましたが、やはり見当たりません。
 「漁協の取り組み」という項目で、川鵜対策は挙げられています。

賀茂川には色々な鳥が行き来しています。中でも川鵜という鳥から鮎の稚魚を守るために4月頃から鮎の稚魚を放流しますが、成長するまでは川鵜に食べられないように川にロープを張り、対策しています。


 トップページの「川日記」で、NHKの番組については触れられていますが、

11/8/12(金) 先日TVで賀茂川出てましたね!日本の生態系が変?みたいな番組でした(^_^;)熊田曜子が出てたやつです。
賀茂川のオオサンショウウオのほとんどが中国産と混ざっていると言う話でした!!
純国産と違って獰猛で、放流した鮎や他の魚を食べ尽くす(-.-;)その上人まで噛まれる事もあります!!
川遊び中にオオサンショウウオを発見しても絶対に顔付近には手を近づけ無い様に気をつけてください(^_^;)


番組の内容をなぞっただけで、どうも深刻さに欠けるような。

 交雑種を問題視したい研究者とセンセーショナルな番組を作りたいNHKがタッグを組んで、問題を大げさに吹聴しているのではないかという気が私にはします。

ジャンル:
社会
キーワード
オオサンショウウオ 1935年 漁業協同組合 チュウゴクオオサンショウウオ
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16 コメント

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Unknown (現実論)
2011-09-06 22:26:23
現実論です
私はサンショウウオの交雑がサンショウウオを絶滅から救う手段になり得ると思っています。

日本のサンショウウオに比べると交雑種は視力が良さそうに思える時があります。
もし、そうだとすればパワーアップに成功した事になります。

http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/wild/1288018587/
私が2chに建てたスレッドです。

少数の個体が各水系に分散しますと(サンショウウオが典型です)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%91%E4%BA%A4%E4%BF%82%E6%95%B0
近交係数が破滅的に悪化すると考えられます
http://www.tajima-portal.com/kounotori/yaseifukki/index.html
コウノトリの破滅などが解り易い例です
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2592887/4035719
血筋が高貴と主張するような名家でも当然に発生します。

もし、ハプスブルグの人々が高貴な血筋に拘らず現地の娘さんを嫁に迎えれば今もスペインに君臨していたかも知れませんね。

http://animalch.sblo.jp/article/47596014.html
交雑種を嫌う気持ちの裏には差別意識があるような?
なし (delta)
2011-09-23 19:27:46
はじめまして。
ブログ拝見させていただきました。
> 映像を全く見ないで言うのも何ですが、私はテレビというのはそういう仕掛け(彼らは「演出」と言う)を平気でやるメディアだと見ています。あるいはテレビは関知せずとも、撮影に協力した研究施設の方でそのような作為を加えることは可能でしょう。
 本当にそのような歴然とした差異があるのか、私はやや疑っています。

ごもっともな意見だと思いますが、これが演出だとしても、実際交雑種が増えているので、問題であることに変わりはないように思います。
また、交雑が問題であることに関しては(4)のコメント内の若菜さんの意見に概ね賛成です。
国産の遺伝子は駆逐されてしまうと思います。
外来種の問題でアライグマのことは当然知っておられると思います。アライグマ問題も、日本固有のたぬきが生存競争に負けて絶滅してしまうことが問題であると理解しています。
今回の問題をアライグマとたぬきに置き換えると、生存競争だけでなく、タヌキとアライグマが交雑してアライグマが産まれてくるというかなり悲惨な状況です。

> さて、交雑種により鮎が急速に減っているとのことですが、鮎が減少して餌を得ることができなくなれば、オオサンショウウオもまた減るのではないでしょうか。
おそらく、交雑種は鮎以外にも幅広い食性を持っているのだと思います。

>しかし、鮎は水産資源であるから他の地域産のものであっても放流してもかまわないが、オオサンショウウオは外来種も交雑種もその存在を許さないというのは、何だかおかしな話だと思います。
 それに、この交雑種による食害は、それほど重大な問題なのでしょうか。

私は鮎の放流も良くないと思います。
放流してもその河川の生態系や環境に一切悪影響を及ぼさないという証拠があるのであれば話は別ですが。
鮎の食害で困っているのは鮎を放流した人たちだけなのでそれほど問題ではないと思います。

問題なのは国産の遺伝子の駆逐と新型サンショウウオによる生態系の変動であり、鮎はおまけ程度と考えていいと思います。
deltaさんへ (深沢明人)
2011-09-25 23:47:06
はじめまして。

>交雑が問題であることに関しては(4)のコメント内の若菜さんの意見に概ね賛成です。

以前の記事にも書いていますので多くは述べませんが、私は、希少種や絶滅危惧種は保護した方がよいとは思いますが、交雑については何が問題なのかよくわかりません。
自然の全てをコントロールしたいという、人間のとてつもない欲望の産物ではないかと思います。
深沢明人さん (delta)
2011-09-26 01:50:08
返信ありがとうございます。

>自然の全てをコントロールしたいという、人間のとてつもない欲望の産物ではないかと思います。

自然をコントロールするというか、生態系をコントロールすることが人間の義務ではないでしょうか。
今や絶滅してしまった種や絶滅の危機に瀕している種のほとんどは人間が生態系に介入し、かき乱したことが原因であると思います。今後の人類の発展と環境、生態系の保全を両立するために、コントロールすることは必須だと思います。

Unknown (若葉)
2011-10-10 23:29:34
>つまり、あなたの言う交雑種同様、放流されている鮎も本来賀茂川に「いるはずがない」ものなのです。
琵琶湖疎水は別にしても加茂川と琵琶湖は下流で繋がってはいますね。
とはいえ鮎の放流には素直に賛成はできませんが。

>交雑については何が問題なのかよくわかりません。
>自然の全てをコントロールしたいという、人間のとてつもない欲望の産物ではないかと思います。

海外から輸入し、それを川に放ち、交雑を放置するとすればそれこそ人間のとてつもない欲望の産物ではないでしょうか。

>日本のサンショウウオに比べると交雑種は視力が良さそうに思える時があります。
>もし、そうだとすればパワーアップに成功した事になります。
それは本当にパワーアップでしょうか、長年かけて日本のオオサンショウウオが獲得した目の形質を奪った物とも考えられます。
パワーアップする事でその水系で極端に優位に立てばいずれ餌を食べつくし絶滅します。
長い年月絶えずに生きてきたという事は、極端に強すぎる個体が排除された結果でもあるのです。
進化というのは適応です、どれだけ能力が向上しようと環境に適応できなければ意味が無いのです。
交雑は長年かけて適応してきた彼らの歴史と現在も進んでいるであろう更なる適応の可能性を奪う物です。
Unknown (現実論)
2011-10-12 22:39:54
若葉さん

確かに目の形質を奪った事になるかも知れません
生命体には時たま不可思議な形質を備える事があります。
人間の場合で言えばビタミンC合成能力でしょうか?
人間には何故かビタミンC合成能力がありませんが
何故に無くなったのか私には理由が解らないのです。
Unknown (若葉)
2011-10-12 23:00:12
無くなった事に理由はないのでは?しいて言えば遺伝子の突然変異かと。
結果として、それを失っても生きていけるのであれば問題ありませんよね。
人類はエラ、尻尾、体毛の多くも失っていますが生存に問題ありません。
少なくとも我々は6000万年以上もビタミンCを合成せずとも存続できています。
研究者の動機 (stachyose)
2011-10-28 05:44:25
私も当初は交雑の何が問題なのかと思っていましたが、外来種問題を扱った書籍などを読みあさって認識が変わりました。記事を書きましたのでトラックバックさせて頂きます。

松井正文教授を含めて保全生態学の研究者は基本的に外来種を駆逐するべきだと考えて活動していますが、その動機にイデオロギーや利権などが絡んでいるということはまずないと思います。現実論さんが「交雑種に対するヒステリックな反感の深層には国際問題が潜んでいるような気もしますけど。」とコメントされていますが、そのようなことはないでしょう。なぜなら、彼らは生物学的根拠を提示しているからです。

若葉さんが既に書かれていますが、近交係数が高いからといって集団が絶滅の危機に瀕しているとは限らないです。重要なのはその集団中にどれくらい有害遺伝子が固定されているかということです。それによって近交弱勢の程度が左右されます。また、近交弱勢を解消するために外来種を移植するという考えも基本的には誤りです。詳しくは記事に書きました。
Unknown (現実論)
2011-12-02 22:03:07
これは私の推定に過ぎないのですが
日本のサンショウウオは個体数が桁外れに減少した時代があったのではないかと思うんですよ

洞窟では目は無い方が有利です(光がありませんからね)
その反面、洞窟で進化した目の無い個体が外の世界に出てくれば普通は瞬殺されます
しかし、日本のサンショウウオはその巨体で目を失っても生き延びたように思えます。
Re:研究者の動機 (深沢明人)
2011-12-11 00:01:17
 記事を読ませていただきました。
 コメントが遅くなり申し訳ありません。

 示していただいたほど詳細に考えていたわけではありませんが、生物における遺伝子多様性が重要であるということは、生物学者の主張としては理解できます。
 私とて、外来種との交雑を積極的に進めるべきであると考えているのではありません。交雑はないにこしたことはないと思っています。
 現実論さんがおっしゃっていた、交雑が近親交配の問題を軽減するという説の当否も正直わかりません。

 ただ、そうであっても、既に大量発生してしまった交雑種について、税金を投入してでも、一体一体選別し、純粋な国産種のみを残すべきであるなどという奇矯な主張には、一納税者として賛同はできません。

>その動機にイデオロギーや利権などが絡んでいるということはまずないと思います。

 遺伝子多様性こそが重要であり、そのためには交雑種の駆除もやむを得ないというのも或る種のイデオロギーであり、それに依拠した学者としての諸活動は利権と言えるでしょう。
 もちろんこれは逆の立場にも言えることです。
 私は、イデオロギーだの利権だのといった批判は、そもそも意味がないと思っています。

>「交雑種に対するヒステリックな反感の深層には国際問題が潜んでいるような気もしますけど。」とコメントされていますが、そのようなことはないでしょう。なぜなら、彼らは生物学的根拠を提示しているからです。

 元々の動機は学術的なものであるとしても、学者の問題提起の手法や、それに応じたマスコミの取り上げ方は、単純素朴なナショナリズムをそれとなく煽っているように思います。

Unknown (現実論)
2012-03-28 00:24:06
http://uni.2ch.net/test/read.cgi/wild/1288018587/
お久しぶりです
私が建てたスレッドへのリンクに不具合があったようですので・・・

http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20120326000091
それに関する京都新聞のニュースです
やはり交雑種は増えているようですね
Re:Unknown (深沢明人)
2012-03-31 10:45:47
お久しぶりです。紹介ありがとうございます。

京都新聞の記事からすると、いよいよ捕殺が開始されるのでしょうか。
市民はそんな税金の使われ方に納得しているのでしょうか。

よその国でもこんな交雑種排除の動きがあるのでしょうか。
京都新聞によると、環境省は、交雑種も世界的には保護する対象となっているとしているそうですが。
海外メディアに変な風に取り上げられなければよいのですが。
Unknown (現実論)
2012-04-08 23:29:27
深沢さん

恐らく補殺は開始されるでしょうね
しかし日本の純血種は殆ど残っていませんので
近交係数が破滅的に悪化して滅びるでしょう。

いっそ、海外メディアに大規模に取り上げられる事でしか救われないかも?

「純血種以外を皆殺しにしようとする変質者が日本にいるぞ」
なんて記事が出れば補殺が回避されるかも?
深沢さんへ (stachyose)
2012-04-17 19:55:28
深沢さん

拙い文章を読んでいただき、有難うございました。

確かに科学的な議論であろうとつきつめればイデオロギーに端を発しているでしょう。しかし、私がここで「イデオロギー」という言葉を持ちだしたのは、純血主義が外来種や交雑種の駆除活動の背景にあるとはいえないと主張するためです。

一連の記事から、私は深沢さんが交雑種の実害を過小評価していると考えました。それゆえ、外来種や交雑種の駆除は人間が自分で勝手に定めた分類に囚われて純血種を保護しようとしているだけの活動にみえているのではないかと。だから、そんな活動に税金を注ぐべきなのだろうかと批判されているわけですよね?

誤読していたら申し訳ないのですが…、このまま話を進めます。
続き(その1) (stachyose)
2012-04-17 19:56:39
まず、生物多様性が損なわれることが実害だと考えられないでしょうか?(もちろん、生物多様性の保全が人類のためになるかどうかは議論の余地があると思いますが)あくまでこの実害を未然に防ぐために外来種や交雑種を駆逐するのであって、純血主義(純粋な国産種のみを残すべきであるなどという奇矯な主張)が大前提にあるわけではないというのが私の認識です。基本は地域個体群の保全であり、それを奇矯といわれると話は終わってしまいますが…。

産経新聞などはタイトルに「純血」という言葉を使用しているので、誤解を招くという意味で不適切だとは思います。また、取材を受けた側の研究者がタイトルや記事内容をチェックしていないのだとしたら、それも問題でしょう。しかし、研究者が資金獲得のためにナショナリズムをそれとなく煽っているということは、私が近い分野にいることもあって、それはないだろうと断言します。

では、大衆に外来種の問題を正しく認識させるためにはどのような記事をつくればよいのかと考えると、なかなかよい案がないというのが現状だと感じています。というのも、トラックバック元の記事にも書きましたが、種の保全というスタンスが一般に認知されやすいのに対して、地域個体群の保全というのはその意義(種分化の担い手云々…)が伝えにくいのですよね。とにかく、地域個体群の保全を「純血種の保護」というのは不適当ですね。研究者でそんな表現を使っている人はほとんどいないと思います(少数派かな)。
続き(その2) (stachyose)
2012-04-17 20:00:44
ところで、このような活動に税金が使われることの是非についてですが、研究費としては少額の部類だと思います。
http://kaken.nii.ac.jp/pdf/2010/seika/jsps/14301/20510215seika.pdf
3年で500万弱のようですね。費用対効果で考えなければ妥当かどうかは議論できないとは思いますが、生態ピラミッドの頂点に位置するオオサンショウウオを保全して地域環境の保全に貢献できるのなら現実的なコストだと私は考えます。

ちなみに、外来種と在来種の識別が可能なDNA上の配列を見つけるのに最も時間と労力が割かれますが、それ以後のDNA判定は極めて簡単です。捕獲もトラップしかけるだけなので、金がかかるということはないでしょう。

参考:http://www.japanriver.or.jp/sjwp/sjwpj_history/jyusyou/jyusyou_pdf/no10_kokutaiji.pdf

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