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戦時の女性俳句            まもる

2008年08月18日 | 小説・随筆・詩歌など
 少し俳句に興味を持っていて、とりわけ戦争中の俳句に関心があるのですが、男性の句は白泉の「戦争が廊下の奥に立っていた」などかなり多く詠まれています。
 しかし女性の詠んだ戦時句はとても少ないのです。そんな数少ない句を宇多喜代子さんが、「女性俳句の光と影」NHK出版に紹介していました。

 戦死せり三十二枚の歯をそろへ     藤木清子
  (健康な若者の死を感情を交えず鋭く詠んでいます。)

 ゆくりなくしはぶきし兵わかかりき   竹下しづの女
 夏野原征くべき吾子を日に放ち     三橋鷹女
  (二人とも男の子の母親で、若き出征兵の姿に自分の子を重ねています。)

 炎天の一片の紙人間(ひと)の上に   文挟夫佐恵
  (一片の召集令状で人間は兵となってしまいます。)

 堪ふべしと母は堪へにき京鹿の子    及川 貞
  (戦死の報至りしとき、この花咲いて居き・・の詞書があります。)

 心灼け指灼け千人針を把る       竹下しづの女
 亡き兵の妻の名負ふも雁の頃      馬場移公子
  (銃後の婦人から戦争未亡人への戦時の婦人共通の運命が痛切に詠まれていま   す。)

★こうした質の高い女性の戦時句が、もっと日本のどこかに埋もれているのではないか? 戦争体験者が急速に少なくなる今こそこうした句の発掘が待たれると思う。
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宇多喜代子
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