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「100年に1度の危機」とは何だったのか(8)  文科系

2016年12月04日 10時12分10秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
第3章 金融グロ-バリゼーションの改革
 
 第3節 平和に生きて行ける世界を目指して

 岩波新書、西川潤早稲田大学大学院教授の著「世界経済入門」(07年第5刷版)は、1988年に初版が出て、『大学や高校の国際経済学、国際関係論や政治経済の副読本としても広く使われ』たというベストセラーだった。この第5版はグローバリズム経済への抵抗運動を見る点を終始問題意識の一つとして書き直された『新しい入門書』という重要かつ珍しい側面を持っている。
『経済のグローバル化』は、『人権や環境など、意識のグローバル化』を進展させずにはおかなかったと語る。そして、この書は、この両者の『相関、緊張関係を通じて、新しい世界秩序が生成しているとの視点に立っている』と解説される。これに呼応した回答として述べられているのは、最終章最終節のこんな記述であろう。
『この経済のグローバル化が世界的にもたらす不均衡に際して、ナショナリズム、地域主義、市民社会、テロリズムといくつかのチェック要因が現れている』
『これらの不均衡やそれに根ざす抵抗要因に対して、アメリカはますます軍備を拡大し、他国への軍事介入によって、グローバリゼーションを貫徹しようと試みている』
『(アメリカの)帝国化とそれへの協力、あるいはナショナリズムが、グローバル化への適切な対応でないとしたら、残りの選択肢は何だろうか。それは、テロリズムではありえない』
『これまでの分析を念頭に置けば、市民社会と地域主義が私たちにとってグローバリゼーションから起こる不均衡を是正するための手がかりとなる事情が見えてくる』
 とこう述べて、結論とするところはこうなる。
『1999年にオランダのハーグで、国際連盟成立のきっかけとなったハーグ平和会議1世紀を記念して平和市民会議が100国1万人余の代表を集めて開催された。この宣言では「公正な世界秩序のための10の基本原則」として、その第一に日本の平和憲法第9条にならって、各国政府が戦争の放棄を決議することを勧告している』
『2001年には、多国籍企業や政府の代表がスイスで開くダボス会議に対抗して、ブラジルのポルトアレグレで世界のNGO、NPOの代表6万人が集まり、世界社会フォーラムを開催した。このフォーラムは「巨大多国籍企業とその利益に奉仕する諸国家、国際機関が推進しているグローバリゼーションに反対し、その代案を提起する」ことを目的として開かれたものである。(中略)その後、「もうひとつの世界は可能だ」を合言葉とするこの市民集会は年々拡大し、2004年1月、インドのムンバイで開かれた第4回の世界社会フォーラムでは、参加者が10万人を超えた』

 上記文中の世界社会フォーラムに未来を見るアメリカ人大哲学者の言葉も上げておこう。ノーム・チョムスキーの著作「覇権か生存か アメリカの世界戦略と人類の未来」(集英社新書2004年刊)からの抜粋である。。
『非常に力強い展開として、一般の人々の間に人権という文化がゆっくりと育っていることが挙げられる。そうした傾向は1960年代に加速し、大衆運動が多くの分野に目覚ましい啓発の効果をもたらし、その後も長期にわたって拡大していった』
『1980年代にアメリカの本流の中で生まれた連帯運動は、特に中米について考える運動であり、帝国主義の歴史に新生面を切り開いた。帝国主義社会の多くの人々が悪質な攻撃の犠牲者のもとで一緒に暮らし、援助や保護の手段を提供することなど、それまでは一度もなかったのである。(中略) そこから正義を求めるグローバルな運動が生まれて、世界社会フォーラムを毎年開催しているが、これは運動の性質、また規模においてもかってない全く新しい現象だ』
『今日の歴史の中に、人は二本の軌道を見出すはずだ。一本は覇権に向かい、狂気の理論の枠内で合理的に行動し、生存を脅かす。もう一本は「世界は変えられる」──世界社会フォーラムを駆り立てる言葉── という信念に捧げられ、イデオロギー的な支配システムに異議を唱え、思考と行動と制度という建設的な代案を追求する』

 西川、チョムスキー両氏が注目する世界社会フォーラムは現在も続いており、当然国連の役割を重視する。ここには、チョムスキーや、リーマンショックの総括書「国連スティグリッツ報告」を出したジョセフ・スティグリッツ(ノーベル経済学賞受賞者)も一報告者として参加している。彼らは、国連のイニシアティブによる金融(暴力)規制を切望している。


(終わり)

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2016-12-05 18:13:26
結局、誰が、どんな根拠で「100年に1度!」と言っているのか、言わず仕舞い。
昔の話をウダウダ言っているが、
「金融なんて、上がったり下がったり色々あるよね」で、まとめてもOK。
Unknown (Unknown)
2016-12-05 18:18:28
相場がちょっと下がると、「バブル崩壊だ!」「おしまいだぁ!」と騒ぐのに、回復した時は、黙っているのが文ちゃん。
・・中国や韓国の相場が下がっても、黙っているか。
そんな文ちゃんらしい長文でした。

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