九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

人殺しを減らし、平和を目指してきた人類史(2)   文科系

2017年04月19日 | 国際政治・時事問題(国連・紛争など)
先回、世界的科学雑誌「ネイチャー」に発表された標記のような人類史論文紹介に東京大学薬学部教授・池谷裕二氏が添えた言葉を、こうご紹介してきた。
『もちろん私たち人類は、自身に潜む異常な凶暴性を自覚しています。だからこそ、刑法や懲役という公的制度を設け、警察や裁判官という社会的監視者を置くことで、内なる衝動を自ら封じる努力をしてきました。国際的には国連やPKOがあります』

 さて、こういう人殺し防止の「社会力」を育んできた人類史現段階、『国際的には国連やPKOがあります』について、その発祥を眺めてみると更にいろんなことに気付く。

 20世紀初めに国際連盟が発足したのは、人類史から戦争を無くしていくという世界史方向にとって画期的な出来事であった。国家の力を総動員した史上初めての「総力戦」、第一次世界大戦の悲劇を反省して生まれたものである。この世界史の画期的な歴史的できごとを粘り強く主導したことで有名なのが、アメリカのウィルソン大統領であった。
 さて、そのウィルソンが理論的支えとして己を鼓舞し続けてきたのがドイツの哲学者カントの「永遠平和論」であることも、世界政治史では有名な話になっている。そして、この書においてカントが提唱した大事な提案がカント没後にいくつか実現してきたということを、ここで非常に重要なこととして思い出したい。この大哲学者が世界史にいくつか行ってきた予言が実現したとも言える、重要なことばかりなのだと言い添えた上で。

 一つが共和制国家の実現ということ、今一つが、国家連合の創設である。前者の共和制国家は、その後の現実世界で常識になっていった。世界のほとんどの国が国民主権になって、普通選挙による国会を持ち、君主国でも立憲という前置き、制限が付くのが普通になった。つまり、大国独裁者が気ままに起こす戦争というものが人類史からほぼ消えていったのである。
 国家連合の創設というカントの提案の方は、国際連盟や、第二次大戦後は国際連合として実現した。国家連合がなければそれらしい国際法もない理屈であって、言わば無政府的世界、無法世界というに等しい。これを尊重し、この規則を全ての国が守るなどによってこれを育てあっていくこと、これがどれだけ重要なことであるか。これをカントは予見していた訳である。世界平和の実現もこの事を度外視してはあり得ないのであると。

 これらの成果が、前回紹介したネイチャー掲載論文のこんな表現に繋がっていったのであろう。
『(人殺しが今は)ヒト本来の数値である2%に比べて200分の1、哺乳類の平均0.3%に比べても30分の1のレベルに収まっています。
 公的制度によって自他を抑圧する「社会力」は、ヒトをヒトたらしめる素です』

 ところが、以上述べたように戦争を無くそうとしてきた人類の希望、営為、常識が、1980年代ほどから次第に後退してきたと思われる。今の日本などは、戦争が無くなるという希望に満ちあふれていた1950~70年のころとは大違いであって、だからこそ一部の日本国民によって9条が馬鹿にされ始めたと言えるのではないか。そして、こういう人人こそ、ここまで述べてきた題名のような世界史近年の現実には全く無知でありながら(無知だからこそ)、こんな「社会ダーウィニズム」的言辞を堂々と吐き出しているのだと思われる。「戦争無くすなんて、たとえあったとしても千年、万年先の話」。
 念のために言い添えるが、戦争の軍事力、特に常備軍と、治安維持のための警察力とが全く異なるものであることは自明の話である。ちなみに、カントの「永遠平和論」の提言、予言にはこんなものもあった。
「常備軍は廃止すべきである」。

(続く)
『政治』 ジャンルのランキング
コメント (5)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 戦争の動機 ... | トップ | 人殺しを減らし、平和を目指... »
最近の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (sica)
2017-04-20 00:55:50
過去100年の戦争での犠牲者数

ロシア内戦   900万人 
第一次世界大戦 900万~1500万人
日中戦争    400万~2000万人
第二次世界大戦 6000万人
朝鮮戦争    400万人~600万人

むしろ過去100年は、人類史上において最も犠牲者数の大きい戦争が数多く発生した時代です
科学技術の発展により、軍隊の扱える火力がこれまでの時代より圧倒的に増えた結果、「より簡単に多くの人を殺せる」時代になったからです
そして核拡散が進んだ現在、その火力による「犠牲者を簡単に増やせる」ことができる国は増えています
たかだか2~300kgの核弾頭1発で、10万を超える人々を死傷者にできるのですから
Unknown (sica)
2017-04-20 00:56:39
>しかして、社会科学や人文科学の学者が戦争を無くすという研究をする場合、そのスパンは当然長いものになるだろう。

ええ。そうでしょうね
ですから私は「軍事力を無くすのは現状では政治家の仕事ではない」とさんざん申しているのですけど
私は政治・外交・安全保障の事を言及しているのであって、「学問」の事に言及したことはありませんし、否定したこともありません

政治家の仕事と、学者の仕事は当然ですが違いますし、軍事力と戦争も違う意味の言葉です
地質学者は何億年というスパンで考えますが、政治家が何億年というスパンで公約を語ったら、それは無責任でしかありません

そもそも「社会科学や人文科学の学者が戦争を無くすという研究」も、私から見たらやっぱり夢に属する研究です
その研究が何らかの方法で実証され、日本のみならず米ロ中欧、そして北朝鮮やイスラエル、イスラムテロ組織など世界中の政治家や軍人・テロ組織がその研究を認めて採用する世界

1国だけ採用では意味がありませんからね
まさに夢の世界の話ですので実現することを祈りますが、今の北朝鮮問題などを考えた場合、そのような夢を前提にした政策・外交をしたら平和どころか危機が増すでしょう
「社会科学や人文科学の学者が戦争を無くすという研究」の答えさえまだ全く提示できておらず、また提示できる目途さえないのですから
Unknown (sica)
2017-04-20 01:12:07
>つまり、大国独裁者が気ままに起こす戦争というものが人類史からほぼ消えていったのである。

・金日成による朝鮮戦争
・エジプト、サダト大統領による第4次中東戦争
・中国共産党による中越戦争
・フセインによるイラン・イラク戦争、湾岸戦争
・プーチンによるクリミア武力併合

人類史から見て、つい最近の出来事です
Unknown (sica)
2017-04-20 01:19:40
>カントの「永遠平和論」の提言、予言にはこんなものもあった。「常備軍は廃止すべきである」。

最近10年間における周辺国の国防費の変化を見ると、2003年度を1とした場合、2013年度においてロシアは5.85倍、中国は3.89倍、韓国は1.97倍となっています。(防衛省)

中国の公表国防費は、26年前と比較すると約40倍に増大しています
常備軍は、廃止の流れどころか東アジアで見た場合、むしろこれまでにないくらい増大しています
Unknown (sica)
2017-04-20 01:48:38
>カントが提唱した大事な提案がカント没後にいくつか実現してきたということを、ここで非常に重要なこととして思い出したい。この大哲学者が世界史にいくつか行ってきた予言が実現したとも言える、重要なことばかりなのだと言い添えた上で。一つが共和制国家の実現ということ

共和国制国家の実現と、戦争・軍事力の放棄は全く別の話です
スランスは共和制国家ですが、共和国となってから核武装しています

またフランス共和国は
・インドシナ戦争
・アルジェリア戦争
・リビア内戦
・中央アフリカへの武力介入
など、戦争をしたり武力介入を多数行っています

あと一応中国と北朝鮮も「共和国」です

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む