ここまでの連載が非常に人気があるみたいなので、しばらく続行します。ちょうど良いネタも手に入ったことだし。
今週のサッカーダイジェスト誌の特集は「上昇クラブの謎を解く」とあり、筆頭に来るのが、グランパス。表紙もピクシー。表紙をめくって最初のグラビアに、世界22位のコートジボアールを1発で沈めた時の玉田圭司。
また、この特集の水準が酷く高くって、面白かったこと! もちろん、僕がここにこの間(1)~(6)と書いてきたことは、この雑誌としてもほぼ前提となっていて、さらに内容が深い。
今回は「ボール奪取力の凄さ」を観ることにする。雑誌の見出としては「リーグ随1を誇るコンパクトネス」となっているのだけれど。
DATA1は「タックルライン比較」。その結論がこうだ。
FWとDFの各タックルラインが9.2mしか離れていなくって、リーグ平均の23.9mに比べていちじるしく短いことをまず検証する。これは、他チームに比べてDFのタックルラインが高く、FWのタックルラインが極端に低いことによると実証してみせる。ちなみにグランパスの9.2mに次ぐ2位はガンバの10.2m、3位が鹿島の16.7mで、いずれも強豪である。
そして、これによって「ボール奪取数」がダントツのリーグ1位。特に、FWやDFラインではなく、MFがこの1位を支えている。それもコート中央だけでなくサイドでも1位。ここでこそ僕が再三述べてきたように、中村直志と吉村のハードワーク、タックルが光るのだ。このラインの間に入ってきた敵は、彼ら2人を中心に必殺というわけである。特に中村のタックル数がリーグ1位だと再三述べてきたが、このことによるわけであったかと分かった。
「敵をこの9.2m内に呼び込み、そこでみんなで網をかける回数を増やしつつ、最後に仕留めるのが中村と吉村」
ここで、サッカー観戦に慣れない読者には、僕が以前こう語ったことを思い出していただきたい。
「サッカーの守備とは、ボールを出来るだけ前で奪うこと。身方DFまで敵が来る前に奪ってしまえば、結局点を入れられず、攻めっぱなしにできるのだから」
MFがタックルを掛けるなら、DF1人の帰陣も遅れなくて済むというわけである。
さて、DATA4が、奪ったボールをどうするかを検証している。
何をおいてもまず、左サイドバック阿部に渡すのだ。その証拠として、「パス交換数」が上げられているから、この雑誌の編集部は凄い。「チームで、誰から誰へのパスが多いか」のベスト5が書かれていた。ちなみに、こうだ。
①阿部からマギヌン114 ②吉田から阿部113 ③阿部から小川98 ④中村から竹内83 ⑤吉村から阿部82
僕はこの数字を観て初めて次の疑問が解けた思いだった。
「地味な阿部が、右サイドバックでクロス数リーグ4位の竹内よりも重用されているように見えるのは何故か」
こういう光景が目に浮かぶようだ。センターバックの吉田や、左MFの吉村がボールを奪った瞬間、マギヌンや小川はパスをもらおうと、ヨンセンはクサビを受けようと、玉田は前線のスペースへと、一斉に走り出す。その際みんながもう阿部からボールを受けるものと予期して、彼を注視している。すると案の定、吉田や吉村から、左サイドの阿部にボールがわたり、その阿部が余裕を持って前線にパスを出す。シンプルでも、定式、約束事がしっかりしたチームは強いというわけである。
ストイコビッチがいつもこんなことを語っていたが、その意味は以上全てを表現したことだったのかと、改めて思うのである。
「DF、MD、FWの3本のラインの距離感、バランスが重要」
「DF、MD、FWの間でバランスが悪く、相手にスペースを与えすぎた」
(続く)
今週のサッカーダイジェスト誌の特集は「上昇クラブの謎を解く」とあり、筆頭に来るのが、グランパス。表紙もピクシー。表紙をめくって最初のグラビアに、世界22位のコートジボアールを1発で沈めた時の玉田圭司。
また、この特集の水準が酷く高くって、面白かったこと! もちろん、僕がここにこの間(1)~(6)と書いてきたことは、この雑誌としてもほぼ前提となっていて、さらに内容が深い。
今回は「ボール奪取力の凄さ」を観ることにする。雑誌の見出としては「リーグ随1を誇るコンパクトネス」となっているのだけれど。
DATA1は「タックルライン比較」。その結論がこうだ。
FWとDFの各タックルラインが9.2mしか離れていなくって、リーグ平均の23.9mに比べていちじるしく短いことをまず検証する。これは、他チームに比べてDFのタックルラインが高く、FWのタックルラインが極端に低いことによると実証してみせる。ちなみにグランパスの9.2mに次ぐ2位はガンバの10.2m、3位が鹿島の16.7mで、いずれも強豪である。
そして、これによって「ボール奪取数」がダントツのリーグ1位。特に、FWやDFラインではなく、MFがこの1位を支えている。それもコート中央だけでなくサイドでも1位。ここでこそ僕が再三述べてきたように、中村直志と吉村のハードワーク、タックルが光るのだ。このラインの間に入ってきた敵は、彼ら2人を中心に必殺というわけである。特に中村のタックル数がリーグ1位だと再三述べてきたが、このことによるわけであったかと分かった。
「敵をこの9.2m内に呼び込み、そこでみんなで網をかける回数を増やしつつ、最後に仕留めるのが中村と吉村」
ここで、サッカー観戦に慣れない読者には、僕が以前こう語ったことを思い出していただきたい。
「サッカーの守備とは、ボールを出来るだけ前で奪うこと。身方DFまで敵が来る前に奪ってしまえば、結局点を入れられず、攻めっぱなしにできるのだから」
MFがタックルを掛けるなら、DF1人の帰陣も遅れなくて済むというわけである。
さて、DATA4が、奪ったボールをどうするかを検証している。
何をおいてもまず、左サイドバック阿部に渡すのだ。その証拠として、「パス交換数」が上げられているから、この雑誌の編集部は凄い。「チームで、誰から誰へのパスが多いか」のベスト5が書かれていた。ちなみに、こうだ。
①阿部からマギヌン114 ②吉田から阿部113 ③阿部から小川98 ④中村から竹内83 ⑤吉村から阿部82
僕はこの数字を観て初めて次の疑問が解けた思いだった。
「地味な阿部が、右サイドバックでクロス数リーグ4位の竹内よりも重用されているように見えるのは何故か」
こういう光景が目に浮かぶようだ。センターバックの吉田や、左MFの吉村がボールを奪った瞬間、マギヌンや小川はパスをもらおうと、ヨンセンはクサビを受けようと、玉田は前線のスペースへと、一斉に走り出す。その際みんながもう阿部からボールを受けるものと予期して、彼を注視している。すると案の定、吉田や吉村から、左サイドの阿部にボールがわたり、その阿部が余裕を持って前線にパスを出す。シンプルでも、定式、約束事がしっかりしたチームは強いというわけである。
ストイコビッチがいつもこんなことを語っていたが、その意味は以上全てを表現したことだったのかと、改めて思うのである。
「DF、MD、FWの3本のラインの距離感、バランスが重要」
「DF、MD、FWの間でバランスが悪く、相手にスペースを与えすぎた」
(続く)
その狭い地域に身方が密集していることになって、相対的に敵より多く、多い身方が少数の敵を囲みやすいということです。だからボール奪取力が上がる。
これには良い点が他にもたくさんあります。
①「敵にボールを奪われたら、ボールに注意しつつみんなすぐにこの狭い地域に集まれ」との約束事があるので守りやすい。
②FWもこの辺に下がり、DFmもこの辺に上がってくるのを信頼していて良いから、おれはここに走ればよい。こう思えること。
③俺は今変則的にこんな場所にいるから、俺の防御定位置にいけないけど、こういう場合はあいつがそこに行ってくれるはずだから、おれは近い『あいつの場所』に行けばよい。こう思えること。
④そして、何よりも以上①~③の場所が狭いから楽だし、迷いが少なくて済むということがあります。それでも他チームより低く守るFWや2人のボランは凄く大変なんですが。
なお、こういう狭い範囲での防御は、1人でも規則に従わないとすぐに破綻し、皆の走りがムダになります。ですから、そんなことをやりがちな選手は使ってもらえないことになります。つまり、こういうこと。
「信頼を裏切らないように、走らねばならない」
中村、吉村だけでなく、ヨンセンも玉田も目一杯下がって来るんです。