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人殺しを減らし、平和を目指してきた人類史(1)   文科系

2017年04月18日 | 国際政治・時事問題(国連・紛争など)
 「戦争が起こる現実は悲しい」などと言って見せながら、こう語る人も多い。
『現状において軍事力が完全に無い世界の実現というのは、あまりにも実現不可能という意味で夢や幻想、あるいは宗教に属する話題であり、政治や外交に属する話題ではありません』
 現実がこんな風だと語る人には「戦争は悲しい」も夢や幻想にしかならない。つまり、人殺しを減らし、平和を目指す人を夢想家と切って捨てるのである。さらに「戦争は悲しい」も単なるポーズ。
 上の言葉が更に悪いことには「政治や外交に属する話題ではありません」だそうだ。戦争命令が出たら闘うしかない軍人ならいざ知らず、政治や外交にも戦争を無くす視点不要だとは、いやはや・・・。

 そこで、「人類史の現実問題」としての平和論を何回かに分けて書いていきたい。最初がこれ、去年のエントリーだ。これは、「人間闘争本能論」とでも訳すことが出来る「社会ダーウィニズム批判」を含んでいる。明治から大正にかけて日本の戦争連続を肯定する理論にもなったものでもある。なおこういう理論は、これを知らない人でも案外無意識に感覚、感じとして持っているもの。「動物、人間、その国家は、ほぼ永久に闘うもの」という感じだろう。これは誤りと証明されているのだが。
 

【 「人間史において、殺人は劇的に減った」と人類史学者ら   文科系  2016年11月02日

「人間史に戦争は無くならない」というのが誤った俗論であると、ここで何回も批判してきた。明治期の東大総長・加藤弘之の社会ダーウィニズムも既に誤りだとされたのに、入れ替わりここを訪れる右の方々が同様の俗論を未だにどんどん主張してくるからだ。
「動物は争う。人間も動物だから争う。国家社会もこれと同じで、戦争は無くならない」という俗論である。
 
 最近の週刊朝日に、東京大学薬学部教授にして脳研究家とある池谷裕二氏が、期せずして社会ダーウィニズム批判になる文章を書いている。その見事な文章を要約という形で、今回の反論としてみたい。
 今回彼が紹介しているのは、世界的科学雑誌「ネイチャー」に発表されたスペインのある博士らの論文である。

『博士らは哺乳類137科に属する全1024種の生物について、400万件以上の個体の死因を調べました。これは哺乳類の80%の科をカバーしています』
『調査の結果、哺乳類が(同種の)仲間に殺される割合は0.3%でした。300匹のうち平均1匹が同種によって殺されていることになります。肉食獣は草食動物よりも凶暴性が高いのですが、その差はヒトに比べればごくわずかでした。ヒトの凶暴性はなんと2%と推測されたのです。ヒトは平均的な哺乳類よりも6倍も凶暴だったのです。これほど同種を殺し合うのは哺乳類としては異常なことです。
 ところが慎重に調べを勧めてみると、意外な真実が見えてきました。チンパンジーやオランウータン、もしくはその祖先でも同種殺害率は1.8%と高かったのです。つまり、異常な凶暴性は、高等な霊長類に広く共通した現象なのです』

 とここまでは、右の方々が大いに喜びそうな下り。が、ここからの250万年人類史の最近の下りこそ、この論文の真骨頂なのである。

『石器時代以降の全250万年の考古学的証拠を丹念に調べたところ、狩猟採集の時代の殺人はおおむね個人的な動機に基づく小規模な諍いが大半だったのです。ヒトが大規模な抗争を始めたのは、定住を始めた1万年前以降です』

 そして何よりも『現代社会では同種殺害率は0.01%と著しく低い』と展開され、その理由がこう述べられていきます。
『もちろん私たち人類は、自身に潜む異常な凶暴性を自覚しています。だからこそ、刑法や懲役という公的制度を設け、警察や裁判官という社会的監視者を置くことで、内なる衝動を自ら封じる努力をしてきました。国際的には国連やPKOがあります』
『ヒト本来の数値である2%に比べて200分の1、哺乳類の平均0.3%に比べても30分の1のレベルに収まっています。
 公的制度によって自他を抑圧する「社会力」は、ヒトをヒトたらしめる素です』

 さて、著者がこの社会力で今最も期待しているのが、『国際的には国連やPKOがあります』なのだろう。ここが僕と同じであってとても嬉しかった。また、長い人類史で20世紀になって初めて出来たこの国際平和組織、国連という「社会力」のことをほとんど語らないのが、右の方々の戦争論の最大特徴だとは、ここでも度々確認してきたことである。


 なお、以下は私見だが、以上の人類同族殺害史は、我々の一般的歴史認識にも一致している。
『大規模な抗争を始めたのは、定住を始めた1万年前以降です』とは、奴隷制度が始まった時代を最も古く観た場合に合致している。当時以降の富の源泉である奴隷狩り(戦争)が大々的に行われ始めたということなのだ。『現代社会では同種殺害率は0.01%と著しく低い』のが「社会力」の増進によるというのは、基本的人権思想や、20世紀になって生まれた国連など世界平和組織やの発展によるものである。】

(続く)
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「サピエンス全史」 (文科系)
2017-04-18 12:45:01
 表題の本は、今世界的に有名なベストセラー。副題が「文明の構造と人類の幸福」。作者はユヴァル・ノア・ハラリというイスラエルの方で、オックスフォード大学で博士号を取った人類史学者。現在はエルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えているとのこと。今年で41歳の俊秀である。文章は、博識にして構造的、明解、かつ気が利いていて面白い。

 ほぼ新書版しか買ってこない僕にしては珍しくこのハードカバーの高価な上下本を購入して、下巻の中程まで読んできた。2冊で実に4000円近い出費であったが、それだけの価値はあったと思っている。

 何よりも、歴史的大国発生以降の支配イデオロギー(宗教と言っても良い)というものに一つの焦点が当たっている。「これと同じような役割として帝国などを繋いだ貨幣」という視点も、中村桂子が本の帯で褒めているように、興味深かった。

 農業牧畜ができてからの「人類の不幸」という下りはちょっと目が開けた想いもある。農業牧畜が人類の進歩には違いないのだが、そして、これが奴隷制を生んだという「負の側面」?のような事も知ってはいたが、次のような「負の側面」?があるとは気付かなかった。人口が急増して狩猟採取時代よりも食うのに苦労するようになり、農民らの重労働は以前よりはるかに厳しくなり、増えていったと語られてあった。

 下巻を読み終わったら、書評を書こうと考えているが、この本の「目的」、本当の価値があるかどうかとか、その大きさとかは、まだ分からない。
  
奴隷制は人類の進歩 (文科系)
2017-04-18 13:42:16
 標記のことで一言。 
 古代4大文明発祥は狩猟採取時代から農業牧畜時代になった時に、そういう地域で生まれた。その次第については、トルコはコンヤ近くを旅行した時、こんな論争もあったということで、以下を紹介します。
 16年2月20日「僕の世界観に関わって④ 世界文明の始まり」 
Unknown (sica)
2017-04-18 18:16:30
文科系さん。あなたはつい最近のご人身の言葉さえ忘れたのでしょうか?あなたは

「軍事力の無くしかたを聴いてみたい」
と書いていますよね?
「戦争の無くし方を聴いてみたい」とは書いてませんよね?
「軍事力」と「戦争」は文科系さんの脳内では同じ意味の言葉なのかもしれませんが、一般常識としては同じ意味の言葉とはされていません

私は「軍事力の無くしかたを聴いてみたい」と聴かれたので「現在の世界情勢で軍事力・軍隊を無くすのは政治家では無理で夢想家・宗教家の仕事」と書きました
他人の文章を捏造し、そのご自身が作った捏造に反論して貶めることを「藁人形論法」と言い、とても失礼な事なので気を付けてください

日本は(自衛以外の)戦争を放棄しましたが、自衛隊という事実上の軍隊を放棄していません
軍隊保有を禁じた日本でさえ軍事力を保持しています
ましてや日本以外の国では軍事力の保持は当たり前・常識の部類の話です
世界から軍事力を無くすというのは、やはり夢想家・宗教家の仕事といえましょう

私には少なくとも近い将来において米国・ロシア・中国などの軍事大国が軍事力を放棄する未来が全く想像できません

数千年・数万年後に軍隊のない世界を目指すという話だとしたら、それはやはり「夢」に属する話であり、政治・外交に属する話ではないでしょう
夢想家・宗教家、あるいはアーティストや一般市民が軍事力放棄を歌っても、私は(賛同できなくても)何らおかしいとは思いませんが
安倍首相が「日本も軍事力を放棄するから、米ロ中そして北朝鮮も全ての軍事力を放棄してくれ」などと言ったら、私だけでなく世界中の人から「安倍首相は頭がどうかしたのか」と心配されるのがオチです
Unknown (Unknown)
2017-04-18 18:17:52
国が無い大昔は、そりゃ、戦争はないですよね。
Unknown (sica)
2017-04-18 18:39:51
>この国際平和組織、国連という「社会力」のことをほとんど語らないのが、右の方々の戦争論の最大特徴だとは、ここでも度々確認してきたことである。

簡単な話ですよ
その国連という組織が、戦後だけでもその「社会力」をもって紛争・戦争を防いだ事例を提示していただければ、大いに語ることができるのですが、あいにくそのような事例がほとんど思い浮かばないので語れないだけです

朝鮮戦争で韓国を救ったのも、湾岸戦争でクウェートを救ったのも国連ではなく米国の軍事力でした
朝鮮戦争では、米軍を中心とした国連軍という「社会力」に、ロシア・中国は敢然と敵対し軍事力をもって対抗しているように、国連のトップである常任理事国の間でさえ敵対関係であり、その状況は現在も基本的に変わっていません

国連軍といっても事実上米軍を中心とした有志連合なのですから、話題は自ずと米軍が中心となってしまいます
ぶっちゃけ、国連より米国・米軍の方が強いので・・・
米国やロシアや中国という大国に物を言えない国連、物を言ったとしても現実には何もできない国連に、期待できなくなるのは自然なことかと思います
戦争を無くすスパンと、過去から学ぶということ (文科系)
2017-04-18 23:10:27
 戦争を無くすという論議は、流石に20年~30年単位のことではない。つまり、目前のことしか見えない素人の手には負えない専門的研究が必要になる。しかして、社会科学や人文科学の学者が戦争を無くすという研究をする場合、そのスパンは当然長いものになるだろう。

 すると長い人類史で戦争がどう起こって、どんな種類があったかなどを観ていくことにもなっていく。つまり、当面明日の論議とか、過去50年の論議とは違うのである。

 だからといって、非現実的論議というものでもない、真の学問ということになる。そういうものとしての具体例の一つが、このエントリーでもあるだろう。
 これに対して過去百年の戦争も観ることが出来ない人人が、戦争を無くすのは『数千年・数万年後に軍隊のない世界を目指すという話』などと宣うのは,流石に笑える。過去百年も見えぬ人が、未来数百年を語ってさえ笑えるのだから。

 過去百年の戦争も見ていない人が、戦争を無くすのは数千年先などと、どうして言えるのだろう。こういうお方は、暗黙の内にこう感じてしまっているとしか思えない。
『動物は争う。人間も争う。国家も争う。戦争はなくならない』

 まず最初に書いたこのエントリーを、こうしたことすべてを考えながら読んで欲しいと、申し上げておきたい。
Unknown (sica)
2017-04-19 04:12:41
ご自身が藁人形論法を使って私を批判したことへの言及は一言も無しですか

ご自身にとって都合の悪いことは一切無視する
そのような姿勢が、争いを生み、戦争の原因にもなりうるという事を自覚できなくて、何が平和なのでしょうか

「過去百年の戦争も見ていない人が」というのも全く意味不明です
過去百年でも、その前の時代でも、戦争が無くなったことはありません
というか、日本で言えばむしろ江戸時代の方が遥かに平和でした

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