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施行70年 改憲勢力、架空の多数 日本共産党前議長・不破哲三氏(87)

2017-05-07 07:40:36 | ネットワークニュース

 

この70年間、米国が計画した戦争に正面から参加せずにすんだのが現行憲法の一番大きな役割だ。

 しかし、日本が連合国軍総司令部(GHQ)の占領下にあった1949年2月、米統合参謀本部は日本を限定的に再軍備する方針を決定していた。サンフランシスコ講和条約を結んだ後、本格的に憲法を改定するプログラムで、これが9条改定の源流だ。

 一方、戦前に回帰しようという動きが国内で90年代中ごろから活発になる。93年の慰安婦問題に関する河野洋平官房長官談話に危機感を持った自民党では、97年に「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」が結成された。事務局長は今の安倍晋三首相。こちらの潮流は憲法の民主的条項全体が気に入らない。この二つが自民党の改憲論の背景にある。

 護憲勢力が衰退したという認識は間違っている。国会で護憲派が少数なのは、衆院選を小選挙区比例代表並立制にしたためだ。2014年衆院選で自民党の議席は民主(当時)、共産、生活(同)、社民4党の3倍だが、比例代表の得票率は野党4党の方が高い。

 毎日新聞の世論調査でも、憲法を「改正すべきだと思う」という答えはかなりの数になる半面、9条に関しては「改正すべきだと思わない」が上回っている。肝心な問題では憲法を擁護する世論が多数だ。国会の多数は架空の多数。今のうちに憲法を改定しようなんて、とんでもない。衆院憲法調査会も衆院憲法審査会も「どこか改定するところはありませんか」という手法。国民的な機が熟していないのに、まったくの逆立ちだ。

 憲法を完全に実施する努力が政治に足りない。例えば第25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」。最低限度を維持できていない人は今もいっぱいいる。そこに目を向けないと憲法の条項が本当に生きたとはいえない。

 今度の天皇退位問題の議論で非常におもしろいのは、「天皇は国政に関する権能を有しない」という第4条を政治家たちが気にし始めたことだ。こうなるまでには相当の時間がかかった。天皇制度と国民主権の原則は両立しているとわれわれはみている。【聞き手・中田卓二】


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