黒猫のつぶやき

法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。

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裁判員候補者に選ばれたら

2008-12-21 01:53:36 | 司法一般
 最近、またブログの更新が滞っていますが、実は黒猫の体調がかなり悪化していて、近日中にしばらく(1ヶ月くらい)入院することがほぼ決まっています。そのため、来訪者の皆様には申し訳ありませんが、来年の1月にはこのブログの更新はないと思ってください。

 裁判員制度に関しては、裁判員候補者に対し一斉に質問票が送られ、それに関する対応などで物議を醸しているようですが、裁判員制度に批判的な弁護士の立場として、裁判員候補者に選ばれてしまった人のためのQ&Aを黒猫流にまとめてみました。選ばれた人は参考にしてください。

Q1 裁判員候補者に選ばれたことを、他人に話すことは禁止されていると聴きましたが、本当ですか? もし禁止されている場合、どの範囲の人にまでなら話してもよいのですか?

A 裁判員法101条1項では、何人も裁判員候補者等の氏名、住所その他の個人を特定するに足りる情報を公にしてはならないものと規定されており、最高裁はこの規定を根拠に、裁判員候補者に選ばれた人がその旨をブログに書き込む行為は禁止行為であるとして注意を呼びかけたりしています。
 しかし、上記の規定には、違反した場合の罰則等は特にありません。また、規定の趣旨も、裁判員等の生活の平穏を確保し、裁判員等を保護するためのものですので、裁判員候補者に選ばれた人が、自らの意思でその旨を公表するのであれば、単に裁判員法によって保護された権利を自ら放棄する行為にとどまるものであり、裁判員法101条違反を理由に第三者から損害賠償請求を受けることはまず考えられません。
 つまり、自らが裁判員候補者に選ばれたことを公表してはいけないといっても、それは名目上だけのことであって、違反しても法律上何のペナルティもない以上、実質的には禁止されていないのと同じです。自らが裁判員候補者に選ばれたことをどの範囲の人に知らせるかは、自らの判断で自由に決めていいでしょう。

Q2 裁判所から調査票が送られてきました。自分は裁判員にはなりたくないのですが、どのように回答すればよいですか?

A 質問にお答えする前に、裁判員の欠格事由、就職禁止事由、及び辞退事由について確認しておきましょう。

<裁判員の欠格事由>(あまりにマイナーなものは除いてあります。以下同じ)
・成年被後見人又は被保佐人
・禁錮以上の刑に処せられた者
・懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
・日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
・義務教育を終了しない者(ただし、義務教育を終了した者と同等以上の学識を有する者は除く)
・心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい支障がある者

<裁判員の就職禁止事由>
・国会議員
・国務大臣
・国家公務員のうち、一定以上の俸給を受けている者
・裁判官、検察官、弁護士またはこれらの職にあった者、これらになる資格を有する者
・弁理士
・司法書士
・公証人
・司法警察職員としての任務を行う者
・裁判所、法務省または警察の職員(非常勤の者を除く)
・国家公安委員会及び都道府県公安委員会の委員
・法律学の大学教授または准教授
・司法修習生
・都道府県知事または市町村・特別区の長
・自衛官

<辞退事由>
・年齢70年以上の者
・地方公共団体の議員(会期中の者に限る)
・学生
・過去5年以内に裁判員または補充裁判員の職にあった者
・過去3年以内に選任予定裁判員であった者
・過去1年以内に裁判員候補者として裁判員等選任手続の期日に出頭したことがある者
・過去5年以内に検察審査員または補充員の職にあった者
・重い疾病または傷害により裁判所に出頭することが困難な者
・介護または養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の介護または養育をする必要がある者
・その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること
・父母の葬式への出席その他の社会生活上の重要な用務であって他の期日に行うことができないものがあること
・妊娠中であること又は出産の日から八週間を経過していないこと。
・介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある親族(同居の親族を除く。)又は親族以外の同居人であって自らが継続的に介護又は養育を行っているものの介護又は養育を行う必要があること。
・配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、直系の親族若しくは兄弟姉妹又はこれらの者以外の同居人が重い疾病又は傷害の治療を受ける場合において、その治療に伴い必要と認められる通院、入院又は退院に自らが付き添う必要があること。
・妻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は子が出産する場合において、その出産に伴い必要と認められる入院若しくは退院に自らが付き添い、又は出産に自らが立ち会う必要があること。
・住所又は居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあり、裁判所に出頭することが困難であること。
・前各号に掲げるもののほか、裁判員の職務を行い、又は裁判員候補者として法第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭することにより、自己又は第三者に身体上、精神上又は経済上の重大な不利益が生ずると認めるに足りる相当の理由があること。

 裁判員になりたくない場合は、上記いずれかの事由に該当する旨を調査票に記載して返送すればよいわけです。一見して明らかにこれらの事由に該当する人はその旨を記載すればよいわけですが、明確な辞退事由がない場合(例えば、病気になっているが辞退事由にあたるかどうか解らない)ときには、困ってしまうことが多いようです。
 そういう場合にお勧めの記載方法ですが、病気や仕事の都合などを書くと、裁判所としては少しでも多くの人に裁判員になってもらいたいと考えているようなので、辞退事由にあたるかどうか厳格に判断されるおそれがありますので、思想・心情的な理由を書いた方が効果的だと思われます。

例1:「自分は、麻生内閣の政策に不満なので、麻生内閣を暴力によって打倒することを目的とする政治結社「○○会」を本日設立しました。したがって、私は裁判員の欠格事由に該当するので、裁判員になることは出来ません。」
 これなら、裁判員法の規定する欠格事由に明らかに該当するので、裁判員として呼ばれることはないでしょう。なお、この場合の政治結社は単に設立を宣言すればよく、実際に行動を起こす必要はありません。ただ、この欠格事由は国家公務員等の欠格事由にも該当するので、公務員志望の人は避けた方がいいかもしれません。

例2:「自分は、裁判員制度には断固反対なので、仮に裁判員に選任されても法律に従った公平な裁判をするつもりはありません。したがって、不公平な裁判をするおそれがあるので、不適格事由に該当します。」

例3:「自分は、人を殺した者はすべて死刑にすべきだと考えているので、罪状の如何にかかわらず死刑を宣告するつもりです。」

例4:「自分は、仕事が忙しいので、裁判員になるつもりはありません。仮に裁判員に選任されても、裁判所に出頭する意思はありません。自分は、裁判員制度は憲法違反だと考えていますので、仮に不出頭を理由に何らかの制裁を受けても、最高裁まで断固争うつもりです。」

 こういう風に、裁判員制度に対して明らかに非協力的な態度を示せば、裁判所も忙しいので、おそらくこういう人を呼び出そうとはしないでしょう。

Q3 裁判員候補者として呼び出しを受けたら、必ず裁判員の仕事をすることになるのですか?
 そうとは限りません。裁判員候補者として呼び出しを受けても、裁判員等選任手続での質問の結果、不適格事由に該当すると判断された人は裁判員に選任されません。また、検察官及び弁護人は、それぞれ原則として4人まで、裁判員候補者に対し理由を示さずに不選任の請求をすることができるので、不選任の請求を受けた裁判員候補者も裁判員にはなりません。そうした手続きを経て残った人の中から、原則として6人の裁判員が選ばれることになるので、実際には裁判員等選任手続に出頭しても、実際に裁判員に選任されない可能性はかなり高いです。
 なお、裁判員候補者の予定者に対して送付される調査票に虚偽の記載をしても罰則の適用はありませんが、裁判所への呼び出し状とともに送られてくる質問票に虚偽の記載をしたり、裁判員等選任手続で虚偽の陳述をすると50万円以下の罰金に処せられますので、裁判員になりたくない場合は、調査票の段階で明確な拒否の意思表示をしておいた方がベターでしょう。

Q4 裁判員候補者に選ばれたという通知と調査票が送られてきましたが、裁判員には絶対になりたくないので、受け取りを拒否しました。強制的に裁判員の仕事をさせられてしまうことはないでしょうか。
A 強制的に裁判員の仕事をさせられることはありませんが、裁判員の仕事をすることは、一応国民の義務とされているので、正当な理由なく裁判員等選任手続に出頭しなかった場合は、10万円以下の過料に処せられることになっています。
 ただし、裁判員になりたくない人を強制的に連行するような権限は裁判所には与えられていませんし、出頭しない人に対し過料の裁判を行うにも、裁判所からの質問に一切応じない場合には、裁判所としても正当な事由の有無について判断することは困難ですので、特に裁判員の仕事を忌避する人が多い場合には、実際に過料の裁判が執行される可能性は低いのではないかと考えられます。

Q5 裁判員は、被告人が有罪か無罪かの判断だけを行うのでしょうか。それとも量刑についても判断するのでしょうか。また、裁判員の判断は刑事裁判上どの程度尊重されるのでしょうか。
A 裁判員は、有罪・無罪の判断だけではなく量刑についても判断します。評議を主宰する裁判官が、裁判員の意見をどの程度尊重するかは今後の運用状況を見ないと解りませんが、裁判員の加わった地裁の一審判決に対しては控訴や上告が認められているので、これまでの量刑相場等に照らし、明らかに不適切な判断がなされた場合は、高裁や最高裁で判決内容が破棄される可能性もあります。

Q6 裁判員に選任された場合、裁判のために何日くらい拘束されることになるのでしょうか。
A それは、今後の運用状況次第です。裁判所としては、何とか3日間くらいで審理を終わらせるつもりのようですが、複雑な事件ではそうもいかないでしょうし、場合によっては1週間以上拘束される可能性もゼロではありません。
 なお、裁判員に対する日当は1日1万円以内、出頭した裁判員候補者に対する日当は1日8千円以内と定められています。

Q7 裁判員に選任された場合、どのような義務を負うことになるのでしょうか。
A 裁判員は、判断をする対象となる事件の審理に立ち会います。裁判官に告げた上で、被告人や証人、被害者に対し質問をすることも可能です。
 判決内容を決定するための評議では、出席し意見を述べる義務があります。また、裁判長が法令解釈や訴訟手続きに関する判断を示したときは、それに従わなければなりません。
 なお、裁判員や補充裁判員が、裁判に関する評議の内容その他職務上知り得た秘密を明らかにすることは禁止されています。これは裁判員等の職務が終わった後も一生続く義務であり、違反すると6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

Q8 そもそも、裁判員制度は何のためにあるのでしょうか。
A 裁判員法1条によると、「国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ」裁判員制度に関し必要な事項を定めるものとしています。
 法律及び刑事裁判の素人である裁判員が刑事裁判手続に関与したところで、アメリカのように結果がランダムになるだけで、決して公正な裁判が実現するわけではありません(このことは、既に何度となく行われた模擬裁判の結果でも明らかになっています)が、「国民の中から選任された人が裁判に加わっている」という建前を作ることで、刑事裁判の判決内容に対する野次馬的な批判を封じ込める狙いがあるものと思われます。
 つまり、裁判員制度というのは、権力者側にとって都合のよい制度であり、裁判員も一般国民の中から選挙で選ばれた人や有識者を選ぶものではなく、単なるくじ引きで決めるだけですから、民主主義とは本質的に関係ありません。
 なお、実質的に裁判員制度の導入を決めた司法制度改革審議会は、司法制度改革の議論にあたり、欧米では陪審員、参審員など一般国民が司法判断に参加する仕組みがあるので、わが国でも導入しようという極めて安直な議論をしたにとどまり、裁判員制度自体の必要性・有用性についてはさほど議論されず、むしろ陪審制にするか参審制にするかで議論が紛糾したようです。
 一言で言えば、裁判員制度とは、何らかの具体的必要性に応じて設けられたものではなく、単なる学者の思い付きで導入された制度に過ぎません。

Q9 アメリカの陪審員制度と、日本の裁判員制度とはどこが違うのですか。
 まず、アメリカの陪審員制度は、陪審員だけで結論を出すのに対し、日本の裁判員制度は、裁判官と裁判員の合議によって結論を出すという点が異なります。また、日本の裁判員制度による裁判に対しては控訴や上告が認められていますが、陪審員による裁判に対しては、原則として控訴や上告は認められていません。
 次に、アメリカの陪審員制度は、合衆国憲法で認められている「陪審員による裁判を受ける権利」に基づいて維持されているものです。陪審員による裁判を受けるのはあくまで被告人の「権利」ですから、陪審員による裁判を求めず、職業裁判官のみによる裁判を求めることも出来ます。実際、アメリカの刑事裁判でも、陪審員による裁判が行われているのは全体の5%程度のようです。
 これに対し、日本の裁判員制度は、被告人による辞退は認められておらず、対象事件であれば強制的に裁判員制度による裁判を受けることになります。これは、戦前のわが国に存在した陪審制が廃れていったことについて、被告人による辞退が増えたことがその原因であると結論付けられたためで、その発想は、まず裁判員制度の定着が自己目的化しており、被告人の権利といったものは全く考慮されていません。
 弁護士の多くは裁判員制度に無関心か、あるいは反対であり、裁判員制度を賞賛する人はかなりの少数派ですが、裁判員制度に反対する弁護士の多くは、刑事裁判における被告人の権利が軽視されていることをその主たる理由に挙げています。
 実際、最近の刑事裁判では裁判員制度による裁判の予行演習のようなことが行われていますが、そのような裁判では短期間で審理を終わらせるため、極めて不十分な審理で強引に結審しているような例も目立ち、対象事件の被告人に対し、そのような裁判員制度による裁判を受けることを強制することは、日本国憲法31条・同37条1項に違反するという議論も可能でしょう。
 なお、陪審制度の視察のため渡米した某弁護士が、日本でも裁判員制度という陪審に類似した制度を設けると説明したところ、それを聴いたアメリカの法曹関係者は、全員口を揃えて「そんな馬鹿なことはやめた方がいい。陪審員制度の限界はもはや誰の目にも明らかになっている」などと答えたそうです。
 アメリカでは、陪審員による裁判を受ける権利が憲法上認められてしまっているので、陪審員制度の廃止は困難ですが、イギリスでは、陪審の対象事件を詐欺事件などに限定しているなど、海外では全体として陪審制や参審制の制度はむしろ縮小の方向に向かっているようです。

Q10 裁判員制度は、今からでも廃止できないのですか?
A 裁判員法は平成16年に成立し、平成21年5月から施行される予定になっていますが、もちろん国会の議決があれば、施行前であっても裁判員法を廃止したり、その施行を延期したりすることは可能です。
 裁判員制度については、国民に対する制度趣旨の周知徹底を図る趣旨から、法律の成立から施行まで約5年間の準備期間が設けられましたが、その施行については多くの国民の理解が得られているとは言い難く、また制度自体の妥当性についてもかなり問題があることから、政府関係者が正常な判断力を持っているのであれば、むしろ当分の間施行を延期し、制度のあり方について再検討を行うべきでしょう。
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18 コメント

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これが流行るでしょうね (○○○)
2008-12-21 11:54:29
例4:「自分は、仕事が忙しいので、裁判員になるつもりはありません。仮に裁判員に選任されても、裁判所に出頭する意思はありません。自分は、裁判員制度は憲法違反だと考えていますので、仮に不出頭を理由に何らかの制裁を受けても、最高裁まで断固争うつもりです。」

赤旗を添付して共産党員を自称すれば、それだけで
辞退が(事実上)通るような気もするが
イギリスの実情 (ケムマキ)
2008-12-22 10:15:10
>イギリスでは、陪審の対象事件を詐欺事件などに限定している

 イングランド及びウェールズでは2003年に複雑困難な詐欺事件について裁判官の決定により個別に陪審の対象から除外することを認める立法がなされたのですが、結局施行には至っておらず、依然としてかなり広範囲の事件が陪審による審理の対象となっています(器物損壊や万引きでさえ、被告人が希望すれば陪審による審理が行われます。)。したがって、イギリスでは陪審の対象事件の範囲の縮小に向けた動きはあるものの、実現には至っておりません。

Unknown (ご自愛ください)
2008-12-23 18:32:37
黒猫さんしばらく法律もなにもかも忘れて
ゆっくり休んでください。
先は長いですよ。
焦らずにいきましょう。
ご自愛ください (山田)
2008-12-23 20:12:36
初めまして、黒猫先生の切れ味鋭い解釈をいつも楽しみにさせてもらっている理系大学生です。今回の裁判員候補の記事もとても勉強になりました。年末年始、ゆっくり休んで英気を養ってください。辛口ブログの更新楽しみにしています。
Unknown (花道)
2008-12-24 11:46:01
いつも楽しく拝見させて頂いています。大変参考になりました。入院されるほど容態は深刻なのですね。私も経験があるのでよく判ります。ほんとに厄介な病気です。ゆっくりご静養されたほうが賢明かと思います。
Unknown (Unknown)
2008-12-27 17:23:07
 司法制度改革ももう一度検討する時期にきていると思います。
 
 例えば、もし法科大学院もこれを制度として確立させたいのであれば、法曹三者だけでなく、弁理士、司法書士、税理士、行政書士といった、士業を一体とした改革が必要でしょう。
 そうしたことをせずに、法曹だけを法科大学院により養成し、その人口を増加させようとしても、米国においては法曹(とりわけ弁護士)が扱う業務を我が国においては他の士業が扱うことが往々にしてあるため、法曹界(とりわけ弁護士業界)にどうしてもひずみが生じてしまう。
 又、法学部との折り合いをつける必要もあります。もし法科大学院において法学部以外の学生を教育できるのであれば、そもそも法学部は必要ではないのではないか、といった議論をすることも必要でしょう。
 
 そして、裁判員制度についても導入するのであれば、裁判員候補の辞退理由として、思想良心の自由を列挙することは必要不可欠です。
 たとえ犯罪者であっても死刑の宣告に関与するということは、おそらく相当な精神的な負担を伴うでしょう。そしてこうした裁判員の負担を、裁判官とは異なり単に国家によって無作為に選ばれた裁判員に帰するのはあまりにも酷です。それならば死刑を選択しなければよいじゃないか、と言う人もいそうですが、日本においては凶悪犯罪者に死刑を望む人が圧倒的多数であり、こういう人の感情(いわゆる国民感情)をないがしろにすることは絶対にできない。こうした国民感情をまともな裁判員であれば無視することはできないはずです。結果、死刑の選択に関与してしまった自分をずっと、それでよかっただろうか、とかあのときそうするべきではなかったのでは、とかよけいな苦悩を国家により選ばれてしまったがために抱き続けなければならなくなってしまう。(死刑の代わりに完全終身刑が導入されれば、また話は別ですが。(あくまでも死刑の代わりです。併置することは絶対にならない))裁判員制度を導入するのであれば、そこに裁判員となるか否かは候補者の自由に委ねられるべきです。よって、繰り返しますが、裁判員制度の導入にあたって、辞退理由に個人の思想良心を加えることは必要不可欠です。
 
 これまでの司法制度改革を推し進めてきた学者や法律家、役人にお願いしたいのは、日本には日本に応じた制度を導入しろ、ということです。上に書いてあることぐらい、容易に想定できるはずです。にも拘らず、これらのことを考慮せず(あるいは意図的に無視して)、司法制度改革を推し進めることはこの国にとってまさしく悲劇にしか他ならないこととなると思います。

 以上、黒猫先生と同様、今後導入される予定の裁判員制度に反対する立場の弁護士からの意見でした。
Unknown (Unknown)
2008-12-28 15:23:07
同感です。裁判員制度は、被告人の防御権というよりはむしろ、一般国民を、司法権という国家作用に対してほとんど有無をいわさずに強制的に関与させる点に最も大きな問題があると思います。
 これについては是非とも次の選挙で争点にしていただきたいですね。・・というより、政治家が日本についてまともに考えているのであれば、争点にしなくてはなりません。
Unknown (Unknown)
2008-12-28 15:23:07
同感です。裁判員制度は、被告人の防御権というよりはむしろ、一般国民を、司法権という国家作用に対してほとんど有無をいわさずに強制的に関与させる点に最も大きな問題があると思います。
 これについては是非とも次の選挙で争点にしていただきたいですね。・・というより、政治家が日本についてまともに考えているのであれば、争点にしなくてはなりません。
Unknown (Unknown)
2008-12-28 23:20:54
国民の裁判批判をかわすためだけの導入ではないと思いますよ。現に検察による取調べの可視化が進むことになっていますし,これは裁判員制度が導入されなければ実現しなかったでしょう。
あと,弁護士のほとんどが導入に反対といっていますが,裁判員制度の議論は,専門家の間では知られていたのになぜ今になって反対するのかな?もっと早く反対の声を上げていれば法案の成立を阻止できたかもしれないのに。弁護士会としては国民参加制度に一番積極的だったのだから,今になっての反対は怠慢もはなはだしい気がします。
ただ,被告人の人権をも考慮すると,裁判員裁判については選択制をとった方がよかったかもしれなかったですね。まあ,裁判官3人は入っているのですから憲法には反しないと思いますけど。
黒ネコさんの意見は反対派として筋が通っていますけど,ちょっと自分に不利な情報を隠して徒に不安を煽っているように読めてしまいました。
Unknown (Unknown)
2009-01-07 13:02:01
少なくとも修正が必要という理由で弁護士会は反対しているんだろ。議論の段階で問題点が明らかになれば、それを議論の後に修正しようと活動なりなんなりするのは別におかしいことではないと思うが。
Unknown (Unknown)
2009-01-18 10:43:12
いや,弁護士の一部は,今になってそもそも制度自体を廃止すべきだと主張している。反対のブログを見ると国民の無知につけこんでるとしか思えない。

制度を続ける場合,見直しは当然必要。
Unknown (Unknown)
2009-01-19 13:22:52
別に今になって反対したとしても、反対すべきと後に判断してのであれば反対してもいいんじゃない?
また、法曹人口の増加を加速するより前に、上であるように、司法書士、弁理士、税理士、行政書士などの業務可能範囲を拡張してほしい、と税理士の俺は思う。
Unknown (Unknown)
2009-01-19 13:25:14
ミスった。判断してのであれば→判断したのであれば
Unknown (Unknown)
2009-01-19 14:21:45
その他にも公認会計士や社会保険労務士などもありますよ
Unknown (Unknown)
2009-01-19 23:20:40
おい。そんなことをしたら法曹人口の増加を加速させる必要がなくなるじゃねーか。
ワロタ (Unknown)
2009-01-20 11:43:21
法曹人口増加は、国民が良質な法的サービスを享受できるようにするための一手段にすぎないので、他により適切な手段があれば法曹人口を増やす必要などないわけですが。
Unknown (Unknown)
2009-01-21 14:38:33
裁判員制度に反対!
今からでもいい、まずは延期、それから陪審員制度に移行させるべき。
裁判員制度に反対 (kaz)
2009-02-09 10:31:19
黒猫さん具合はいかがですか?
早い復調を願っております。
私も「裁判員制度に反対です」というブログに、裁判員制度についての私なりの意見を書かせてもらっています。
黒猫さんのブログに勇気付けられている一人です。また、記事が更新されるのを楽しみにしています。

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