テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。

櫻の園 (1990年版)

2017-06-18 | 青春もの
(1990/中原俊 監督/中島ひろ子、つみきみほ、白島靖代、宮澤美保、梶原阿貴、岡本舞、三上祐一、上田耕一、南原宏治/96分)


 「海街diary」の原作者吉田秋生(よしだ あきみ)女史のオムニバス漫画「櫻の園」を映画化した作品。
 「海街diary」の記事にTBされたオカピーさんの記事に於いてコチラも面白いと紹介されていた映画で、去年から近所のゲオで見つけておりました。ようやくレンタルしてきたのですが、10分も観ていると全然面白くなりそうになかったので「なんじゃこりゃ?」と当該記事を再読したら、なんと2008年のリメイク版を借りてきた事に気づきました。トホホ。一応最後まで見ましたが、改めて今度は近所のツタヤに行って90年版の「櫻の園」を借りてきたのでした。
 同じ監督だし、同じタイトルだし、紛らわしいね。

 2008年版はリメイクと言っても女子高生がチェーホフの『桜の園』の劇をやるというモチーフだけが同じなだけで、登場人物もストーリーも全然違っております。一番の違いはリメイク版が数週間のお話なのに対して、オリジナルは或る一日の午前八時少し前から十時までのわずか2時間程の話というところ。上映時間がお話の時間に近い本作は、長回しも使ったカメラワークを駆使した緊張感あふれる展開と大勢の女子高生が自然体に近い素振りで生き生きと演技しているのが印象的で、二つの「櫻の園」を観て感じたのは良い脚本からは良い映画も悪い映画も出来るけれど、悪い脚本からは良い映画は出来ないということ。同じ題材で同じ監督なのにこれほど出来が違うのはやっぱり脚本のせいでしょうネ。
 学校が舞台という事と群像劇に近いので「桐島、部活やめるってよ (2012)」を思い出しましたが、技巧が技巧の為じゃなく描写の為に使われているのが違いますな。

*

 私立の名門女子高、櫻華学園高校では毎年4月14日の創立記念日にチェーホフの『桜の園』を演劇部が上演することが恒例になっている。
 ところが、演劇部3年生の杉山紀子が前日に喫茶店でタバコを吸っている所を警察に補導されるという事件が発生。その事は前夜のうちに緊急連絡網で部員全員に知らされていた。
 朝、八時前に部員は登校してくるが、彼女たちの間には上演が中止になるのではないかという声も上がってくる。部長の志水は学校に似つかわしくないパーマをかけてくるし、主役のラネフスカヤに扮する倉田知世子は遅刻をしてくる。
 演劇部顧問の里美先生は杉山の問題は上演には影響ないと言うが、やがて職員会議が開かれ、反対派の先生の声が上がっていることに部員たちも不安を隠せなくなってくるのだが・・・。

 中島ひろ子が演じるのは演劇部の部長、志水由布子。成績優秀だがこのままエスカレーター式に櫻華学園の短大に進むことはしないと決めている。同じ部員の倉田知世子に好意を寄せている。
 喫煙事件の杉山紀子にはつみきみほ。彼女も櫻華学園には馴染めない思いを持っている。中盤で分かるが、杉山は志水を好いている。
 『櫻の園』の主人公ラネフスカヤ役の倉田知世子には白島靖代。背が高く、宝塚の男役のように演劇部以外の女学生にも人気があるが、本人は初の女性役に戸惑っている。
 梶原阿貴が扮する久保田麻紀は『櫻の園』のロバーヒンの役。ショートカットのヘアスタイルに体育会系の雰囲気がある。
 宮澤美保扮する城丸香織は2年生の舞台監督。とは言っても2年生なのでTV局のADのような感じもする。アイドル系の雰囲気のある女優だが、いきなりのキスシーンからの登場なのでびっくり。狂言回し的な役回りでもある。
 岡本舞は演劇部の顧問、里美先生。
 女生徒等に嫌われている坂口先生には上田耕一。里美はかつての教え子らしく、彼女に横柄な態度なのも嫌われている理由だ。

 お薦め度は★三つ半。おまけしたいところですが、ここに描かれた女子高生の心情はオジサンの心に感動や感慨をもたらす程には至らず、“一見の価値あり”に留まりました。女性陣には★四つ以上になる可能性大とは思うとります。

 日本アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞(じんのひろあき)にノミネート。編集賞(冨田功)と新人俳優賞(中島)を受賞したそうです。
 また、キネマ旬報の年間1位に選ばれたそうです。
 下に予告編がありますが、本編にないシーンが結構ありますことを一言添えておきます。





・お薦め度【★★★=一見の価値あり】 テアトル十瑠
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☆☆☆☆☆(10点/10点満点中) 1990年日本映画 監督・中原俊 ネタバレあり
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