テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。

ロシュフォールの恋人たち

2017-09-20 | ミュージカル
(1966/ジャック・ドゥミ監督・脚本/フランソワーズ・ドルレアック、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジーン・ケリー、ジョージ・チャキリス、ダニエル・ダリュー、ジャック・ペラン、ミシェル・ピッコリ、グローヴァー・デイル/123分)


 すべての台詞にメロディがつけられたレシタティヴ形式のミュージカル「シェルブールの雨傘 (1963)」でカンヌ国際映画祭のパルム・ドールを受賞したジャック・ドゥミ監督が、日本未公開作を一つ挟んで次に作った華麗なミュージカルであります。今度はレシタティヴではなくメロディ無しの台詞部分を取り入れた一般的なモノ。音楽を担当したのは前作に続いてのミシェル・ルグランですが、ジャズ風は変わらずとも、祭典が背景のラブロマンスなので元気で明るい曲が多いです。

*

 シェルブールをぐっと南下したフランス南西部の街ロシュフォールが舞台。週末のお祭りの為に大勢のイベント屋のトラックが川を越えてやって来るところがオープニングで、ジョージ・チャキリス扮するエチエンヌとグローヴァー・デイル扮するビルのチームはオートバイの曲乗りが得意演目だ。
 お祭りがある広場にはイボンヌ(懐かしやダニエル・ダリュー)のカフェがあって、エチエンヌとビルは早速馴染み客となる。
 街には軍の駐屯地もあって、兵役についている画家のマクサンス(ペラン)もカフェの常連。顔だけでなく歩き方までもイメージ出来る理想の恋人を探しているがまだ見つかっていないらしい。
 お祭り広場を挟んでカフェの反対側にあるアパートにはイボンヌの双子の娘たちが住んでいてバレエ教室をやっている。姉の名はソランジュ(ドルレアック)、12分後に産まれた妹はデルフィーヌ(ドヌーヴ)。バレエの先生がデルフィーヌで、姉は作曲家を目指している。二人の夢はパリに出て活躍する事。そしてやっぱり理想の恋人にめぐり会う事だ。

 さて、この顔ぶれでどんなカップルが出来るんだろうと思ってしまいますが、もう少し観ていると出演者も増えてきて組み合わせが分かってきますよ。

 デルフィーヌはギョームという画廊を開いている男と付き合っているが、独占欲が強くて彼女の肉体にばかり執着しているので彼女は別れを告げに店を訪れる。その時、画廊に掛かっていた女性の絵がデルフィーヌによく似ていて、ギョーム曰くパリにいる若い画家が理想の女性を描いたものらしい。実は、この絵を描いたのはマクサンス。つまりデルフィーヌのような女性がマクサンスの理想なんですね。二人の出逢いが待たれるわけですが、これがなかなかどうして、最後の最後まですれ違いが続くので乞うご期待です。

 ソランジュの憧れの男性はアメリカ人の作曲家アンディ・ミラー。最近ロシュフォールに開店した楽器店の店主ダム氏の音楽学校時代の友人という事で、ソランジュはダム氏にアンディに逢うための仲介を頼んでいる。ダム氏の楽器店へ注文していた楽譜を取りに行ったソランジュは、帰りに幼い弟ブブを小学校に迎えに行き、そこで一人の外国人に出逢い一目で恋に落ちる。通りすがりなので声も掛けられなかったが、この男こそジーン・ケリー扮するアンディ・ミラーなんですね。
 憧れの作曲家の顔も知らないなんて少し変ですが、とにかくそういう設定になっているのです。アンディは近々パリで開催するコンサートの為に来仏してるんだが、ダムに内緒でロシュフォールまでやって来たわけです、彼を驚かそうとネ。

 デルフィーヌとマクサンス。ソランジュとアンディ。
 この二つのカップルが如何にしてめぐり逢い結ばれるかが物語の軸。そしてそこにもう一つ出会うべきカップルがあるのですが、それはネタバレの中で話すことにしましょう。

 1966年製作という事で女性のスカートは今着ていても全然おかしくないミニスカート。皆さんスタイルは良いし、カラフルだし、男性陣には目の保養にもなりますね。
 個人主義が徹底しているフランス人の生き方には見てて冷たい感じも受けるのですが、あまりに身近な人の情報にも無関心なのは映画の設定としても我々日本人には不思議な感じがしないでもないですな。

 1968年の米国アカデミー賞で、ミュージカル映画音楽賞(ミシェル・ルグラン)にノミネートされたとのこと。

 男子フィギアスケートの今は引退した町田選手がこの映画の音楽を使ったプログラムを演じていましたが、今回観ていて、序盤で双子の姉妹を紹介するシーンで流れた曲は聞き覚えがありましたね。それとやっぱりお祭りの舞台で姉妹が唄い踊るシーンもうっとりします。唄は多分吹き替えでしょうけど。


▼(ネタバレ注意)
 店を訪れたソランジュにダム氏は10年前に別れた恋人の話をします。

 このロシュフォールで出逢い婚約寸前までいったのに、彼女はどうしても滑稽なダムという名前になることが出来ずに別れたのだという。ダムは“奥方”という意味があるので、ダム夫人となれば“奥方”夫人。恋人は突然に予告もなく彼の前から消え去ったらしい。彼女のお腹には二人の愛の結晶も出来ていたのに。
 一旦はパリに戻ったダム氏は、やはり彼女の事が忘れられずに二人が出逢ったこのロシュフォールに戻ったのだ。
 人づてに聞いたところでは、彼女は別れて数年後に外国人から求婚されて、今はメキシコに住んでいるとの事。

 実はこの恋人、ソランジュの母、イボンヌなんですね。
 この後、今度はカフェのシーンで彼女がマクサンス等の前で昔の恋バナとして語るんですが、彼女曰く求婚されてメキシコへ向かったという話しは真っ赤な嘘。別れた後にやはりダム氏のことが忘れられずにイボンヌもロシュフォールに戻ってきたのです。
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