BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

圧力隔壁という隠蔽

2021年09月16日 | 新 刊
ついに青山透子さんはここまで断言した。日航123便の墜落原因は圧力隔壁などではないと。いままで出版した
「日航123便墜落 疑惑の始まりー天空の星たちへ」や「日航123便 墜落の新事実ー目撃証言から深層に迫る」
などはどちらかというと目撃や傍証証言だったが、それでさえも十分だったか今回は決定打だ。
垂直尾翼のほぼ真ん中に、突然「異常外力着力点」に、つまり爆薬の積んでいない模擬ミサイルが命中したのだ。
どうして521人もの人間の命が奪われた事件が、こうも隠蔽されその線に沿った事故調査委員会の結果しか明かされ
て来ないのかは、それは明らかな事件であり当時の首相〔中曽根康弘〕の自己保身である。
青山さんは堪能な英語力を駆使、アメリカに保存され公開された外交文章などを当時のロン・ヤスの公文書の中から
何気ない文章の中に、はっきりとこれは「事件」だとみちびいた。
圧力隔壁の破壊などは明らかに科学的矛盾にみちた結論であり、だれも寄せ付けなかった事故現場で我先にとその証拠を
到着した自衛隊は寸断し隠した。その作業時間を確保するための墜落地点のメディアへのウソ情報であり、いち早く現場
を特定した地元の消防団や関係者を立ち入り禁止としたのである。
現場での模擬ミサイル弾の塗料などを火炎放射器で焼き、人間にもその証拠が付いていた人は黒焦げになるまで焼き尽くした。
ヘリの燃料もジェット機の燃料も、灯油に多少燃焼効率の良くなるものを混ぜたものを燃料としている。生の草や木や人間は
あそこまでは燃えないのは明らか。かくして現場は目を覆う悲惨な墜落現場となった。そしてその隠蔽作業に当たった人達は
平然と朝に無言で下山したのである。
不肖・宮嶋茂樹、この時何処にいた?
垂直尾翼の壊れて落ちた相模湾の水深は200メートル以内。いまの技術でのサルベージはワケも無い。決定的な証拠が
残っているであろう〔ブツ〕を、政府はもう済んだことにして探し引き上げようともしない。
まるで「桜を見る会」でありモリカケと同じ構図。いま衆議院選挙が近くにある。それでも日本の後進国愚民は自民党に
投票して、安穏とした自分の生活を守ろうとする。
 「日航123便墜落 圧力隔壁説をくつがえす」 著者 青山 透子 河出書房新社 定価1650円+税
  ( 20207月30日 初版発行 )

上手いタイトル

2021年07月27日 | 新 刊
〔泣ける〕とダチに強く勧められていたのに、4月の札幌では映画を見逃してしまっていた。ならば原作を取り敢えず読んでみる。
アタシは「グリコ・森永事件」は以前より関心があり、今まで出た本はほとんど読んでいた。映画はDVDで観るしかない。
まあこれはフィクション小説だが、人物や会社名は仮名だがすぐにそれと分かる。時系列の主な出来事や脅迫状はそのまま
使われている。して文庫とは言え535ページあり、ゆうに2冊分の分量(文量)がある。
実在の事件の多くの資料があったとはいえ、いかにも在りそうな展開に久し振りに堪能。前半はややたるいがしかし省略はできない。
後半などよくぞここまで膨らませたなと感心だ。
2016年8月に単行で発刊されたが見逃していたのは、タイトルにグリコとか森永事件とかが入っていなかったからか。でもその分
いいタイトルに久し振りに出会った。面白い本はタイトルがいいと証明した。彼のほかの著作も読みたくなった。
ところで、ダチは何処の場面で感涙を刺激したのだろうか、きっと上手い映画だったのだろう。
 「罪の声」 著者 塩田武士  講談社文庫 定価930円+税 
  ( 2020年1月20日 第6刷発行 )

まったくモーだ。

2021年06月11日 | 新 刊
なにか新事実が出たのかも知れないと期待した。それで新刊につい手をだしてしまったが、それは期待外れに終わった。
12年をかけた圧倒的な取材とあるが、犯人を推定特定したわけではない。一時キツネ目の男が〔宮崎 学〕ではないかと
随分騒がれたが、同じ作家に遠慮したのかその話は出てこない。むしろ誤認逮捕され、デート中にさらわれ現金を取りに
いかされた青年の話が多い。この辺の事になると佐野 眞一氏の書く手口に似ている。
1984年3月に〔江崎グリコ・江崎勝久社長』を誘拐して具体的に始まった事件も2000年には全ての時効が成立した。
その間あまたの事件報道や本も出たが、結局は未だに闇の中だ。著者の岩瀬 達哉さん、この本ガッカリです。
 「キツネ目」 著者 岩瀬 達哉  講談社  定価1800円+税
  ( 2021年3月9日 第1刷発行 )

久し振りの室蘭にある新刊書店、期待したがそう大きくはなく、ノンフィクションコーナーや単行小説の棚は申し訳程度。
30分以上も車で走って来たのだからと、もう一冊買ってしまったのがこの本。
確かに外国の主に東南アジアに在する裏社会事情を書いた本だ。例の「世田谷一家殺人事件」にも触れ、犯人の名前さえ
特定しているのだが、しかしなんの証拠もない。犯人は多くの手がかりや指紋まで堂々と残しているのだが直接の決定的な
指紋捜査に行きついた事でもない。餃子の王将の社長射殺事件は「抱きつきのリン」という異名の女殺し屋だという。もっ
ともらしく書くのはこれもいつもの一橋 文哉らしい手口。古本で200円くらいで買えたなら納得するが、1500円では
割に合わない。まったくモーだ。
 「外国人ヒットマン」 著者 一橋文哉  角川書店 定価1500円+税
  ( 2019年9月19日 初版発行 )

彷徨の方向性

2021年01月09日 | 新 刊
文房具を買うついでに文庫棚を流していたら、読みたかった本が有ったのでつい買ってしまった。古本列伝にも悖る行為だが
正月だしと、許してしまった。
柳美里さんのだが、最後まで読んだ。どうも柳さんとは相性が悪く、最後まで読み終えたことがない。で今回はアタシにも身に
つまされることもありなげ出さずにすんだ。ただどうしてこうも時間軸などをいじって解かりづらくするのだろう。普通に書き
進めばいいものをだ。アタシがホームレスに成らなかったのは核たる故郷が有ったからかもしれない。集団就職で川崎に行った
ダチも居た。東京に行った時、そのダチのアパートを訪ねたが、その大笑いなネタは何年か前に書いたのでここでは書かない。
今作外国での評価が高いらしいが、福島訛りや擬音などどんな風に翻訳されたのだろうか。して意味も伝わったのだろうか不思議だ。 
 「JR上野公園口」 著者 柳 美里  河出文庫 定価600円+税
  ( 2021年1月7日 15刷発行 )

〔まさかとしま〕さんと覚えてしまった〔まさきとしか〕さんがこんな本を書いてしまってありゃまあだ。ミステリーなどは好きで
はないが、まあこんなものか。ただ札幌在住という理由だけでアタシは嬉しい。少しは楽しめたし。
帯のコピーには「まさかの結末にあなたは戦慄するか涙するか」とあったが、アタシは戦慄も涙もしない。展開も結末もユニーク
なのだが、まさきさんが描きたいのはこういう方向なのか。だとすると「なぜ北海道にはミステリー作家が多いのか」という本の
続編が出れば、その名が加えられるだろう。
 「あの日、君はなにをした」 著者 まさき としか  小学館文庫 定価720円+税
  ( 2020年11月2日 第7刷発行 )

残念でした

2020年06月18日 | 新 刊
話題にはなっていたが、そんなに面白くない。いつも行く三丁目食堂にあったのでパラパラめくっていると、
持って行きなさいと言う。一晩で読めたが、それだけ中身が薄い。この類のベストセラー本が良かった試しがない。
これは「ざんねんないきもの書物」とタイトルを変えた方がいい。続も続々も続々と出ている様だが、もう沢山だ。
 「ざんねんないきもの時典」 監修 今泉 忠明  高橋書店 定価900円+税
  ( 発行年月日など、どこを探しても何も書いていない。ざんねん!)

こんな国イヤだ。

2020年03月24日 | 新 刊
売り切れかと思ったが普通のスーパーの週刊誌コーナーにあった。完売というから今はもう無いかも知れないが。
「噂の眞相」なきあと、もう雑誌を買う習慣を失くしていたが、たまに文春砲がさく裂してくれるのが面白い。
シーナさんの「新宿赤マントシリーズ」はもう連載が終わったようで、最後の回は読んでみたい。
さて今回は言うまでもなく〔赤木 俊夫〕さんの手記及び遺書を読みたかったからだ。これを読むといかにも高級
官僚のヒラメ根性が忖度だらけで厚顔ぶりが分かる。このような理不尽な改竄を要求していた佐川元理財局長は、
10年くらい牢屋にぶち込んでほしい。つまり時の権力に迎合した不都合を平気で改竄し、その書類まで破棄する、
どうしてこんなことが許されるのか、して時の為政者の責任も重い。これは国民の税金を私的に使ったとおなじで、
安倍首相・昭恵夫人、カエルの面にしょんべんの麻生財務大臣などは刑務所に無期懲役くらいでもいい。そしてだ、
アベ君とアソウ君は国会の委員会でセセラ笑っていたぞ。アベ首相には長年のソーリィの功績があるので、アキエ
夫人と一緒の特別個室を与えよう。そしたらやがてアベ君のシンゾウが止まるだろう。

安倍政権などが何故50パーセント近い支持率があるのか、アタシには分からんとです。まあ国民の民度以上の
政治は望めないとすれば、国民の半分はバカというしかない。♪オラこんな国イヤだァ、オラこんな国イヤだァ,
遠くさ行くだァー、遠くさ行って「映像機材博物館」やるだァー(笑)
ところで国会中継を見ていたら、福島 瑞穂議員がさかんに赤木さんのユイゴン・ユイゴンと言っていたが、これは
手記又は遺書というのが正しいのでは。
アタシは公開された手記のほかにも、まだ違うものが在るような気がしてならない。
 「週刊文春」 3月26日号 定価440円  相澤 冬樹さんの労が大きい。

もったいない一晩

2020年01月23日 | 新 刊
友川さんの本が古本屋さんに出回る事はまず無い。(1度だけ見かけたが)それで新刊大型書店に行くしかない。
それは売れていないということよりは、買った人は手放さない為だろう。
この「一人盆踊り」、まあタイトルは今一だが、ファンのアタシは許す。いままで書いた交遊録のような体裁だが
高校時代の恩師・加藤 廣志さんやたこ 八郎さん、中上 健次、深沢 七郎さんなどもう鬼籍に入った人が多い。
なにより弟の覚(さとる)氏の鉄道自殺死は切ない。それは〔無惨の美〕という歌にしている。「もうどこにも行くな!
こちらにもくるな」と。
次の友川さんのドキュメンタリー映画がその内公開されるだろう。タイトルが素敵だ。『どこに出しても恥ずかしい人』
これほど友川さんにお似合いのタイトルはそう無い。偉大な称号でだれも真似できない。以前の「花々の過失」はそん
なに気に入った映画ではなかったようだが、今作はどうなのだろう。
歌手・画家・詩人・競輪愛好家・俳優、その才能はどこに出しても恥ずかしくない。
 「一人盆踊り」 著者 友川 カズキ  ちくま文庫 定価820円+税
  ( 2019年6月10日 第1刷発行 ) ※350ページもあるが一晩で読んだのはもったいなかった。

タイトル

2019年10月22日 | 新 刊
早く読みたくてこの本を買った。タイトルの読みは「ひのかわ」だと思い込んでいた。どこにもフリガナがない。
だが534ページもの厚さと長さの小説のラストページ、<赤く、朱く、紅く、より緋くー>とありその緋には
〔あかく〕とルビがふってある。だとするとこの本のタイトルは「あかのかわ」と読むのだろうか。緋は〔ひ〕
で出てくるが、〔あか〕では出てこない。桜木さんも人が悪い、どう読ませるかフリガナを何処かに入れるべき
だし、あるいは「ひのかわ」でも「あかのかわ」でもどっちでもいいということなのか。タイトルの読みはなん
なのかはとても重要なことで、最後の最後にフリガナなんて、それは読者をナメてる。
表紙カバーにはタイトル横に著者名が「桜木紫乃」と入っていて、それには「SAKURAGI SHINO]
とデザインされてるが、そんなのもう読み方はだれでも知っている。なんだかおちょくられた気分で、アタシは
この小説の評価は半分に下げた。いいかげんにしろよ緋の作家、桜木紫乃。アタシは2000円+税で新刊を買
っていたのにさ(笑)

〔あとがき〕にはこうある。モデルはだれもが知る〔カルーセル麻紀〕さんだ。
<長く芸能界に暮らしている人に、小説を書くからといって思い出話をさせるのは何かが違う。思い出話ならば
麻紀さんが語ったほうが百倍面白いのです。>とある。ならばその百倍面白い方をアタシは読みたい。これはも
うハナから負けを認めているに等しい。実在の人物を書くならどうディフオルメしょうが虚実を織り込めようが
本人以上の小説にならない。続編など出たってアタシは買わんぞ。古本で210円くらいに安くなったら考慮す
るだろうが。
 「緋の河」 著者 桜木 紫乃  新潮社 定価2000円+税
  ( 2019年6月25日 発行 )

北海道の土

2019年10月15日 | 新 刊
河崎 秋子さんも羊と牛買いを止めて筆一本になったようだ。そしてこの短編連作、急速に腕を上げた。
以前読んだ「颶風の王」はまだ多少の難があったが、この新作はアタシのみた、あるいは体験した
昭和の北海道の風景・7編がそのままにある。文章もこなれて、桜木 紫乃さんにも近い。あるいは
内容は小檜山 博さんにも近い。同じ道内の作家さんには共通する臭いがある。
あまり不幸の深追いはなく、特有のあきらめにもにた感情が支配し、その具合が丁度いい。
このまま河崎さんには北の土地にしがみついて書き続けてほしい。
 「土に贖う」 著者 河崎 秋子  集英社 定価1650円+税
  ( 2019年9月10日 第1刷発行 )

朝倉さん、今作は「山本周五郎賞受賞」と直木賞の候補になった。まあいいけどさ、朝倉さんの今まで
書いて来た若人の世界がそのまま歳をとるとこんな風になるのかという、アタシの感想。
文体も口調も内容も、50才に置き換えるとこうなるのですね。
朝倉さんの近作を読むのを止めていたが、都会に住まいを変えたらどんな風になるのかと訝っていた。
なんだかな・・・アタシは「田村はまだか」や「ともしびマーケット」「タイム屋文庫」の方がずっーと
好きだす。受賞は都会に出て多くの文学関係者と交流が出来たからでしょうか。これは皮肉です。
なんだかTVドラマ化されるような気がしてならない。売れているタレントを起用してさ。
 「平場の月」 著者 朝倉 かすみ  光文社 定価1600円+税
  ( 2019年6月30日 10刷発行 )

トミさん

2019年10月12日 | 新 刊
ベストセラー本を買う事はないのだが、「新聞記者」は許して。新刊書店に行ったついでに買ったのは
ほかに「平場の月」と「緋の河」。待っていても当分BOOK OFFにはこないだろうからね。
いつも菅官房長官に食い下がっていた、記者らしい記者の書いたものを早く読みたいのは人情、許されよ。
しかしなんだ、あの記者クラブとはなんじゃらほい。あの談合記事体質はいつも問題を指摘されているが、
一向に改まる様子はない。ただあの木で鼻をくくったような一方的な答弁を聞いても面白くはないが。
望月さんのように鋭くしつこく追及する女性がいることに、少しは希望が持てるが、他の大新聞の記者
さんは何を考えてん。自民党の政党機関紙化した読売ならともかく、アカイアサヒはどないなの。おっと
これは亡き〔赤瀬川源平〕氏のコピーだった。いそこさん、応援します。
 「新聞記者」 著者 望月 衣塑子(もちずきいそこ) 角川新書 定価800円+税
  ( 2019年7月30日 11版発行 ) ※映画化されたようだが、それは見る気がしない。
                        どう落とし込んだのか、配役をみれば想像できる。

珍しく〔花崎 皋平〕さんの本がBOOK OFFにあった。ながいタイトルだが中編の詩作集だ。
タイトルにもあるが、〔村山 トミ〕さんを知るものとして、あの時代を思い出す。もちろん創作や誇張は
あるだろうが、著者との壮絶な愛の葛藤や相克があったようだ。劇的に生きる哲学者、まだ88才だ。
 「チュサンマとビウスツキとトミの物語 他」 著者 花崎 皋平  未知谷 定価2000円+税
  ( 2018年5月25日 初版発行 )