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2017-06-16 13:37:00 | 日記
て機能が表示できるようになれば、売り上げを大きく伸ばせると期待しています。

水産食品メーカー研究所 辻智子所長
「論文によって評価を得たような素材に関しては、かなり踏み込んだ表示ができることが、企業にとっても消費者にとっても、ともにメリットだと思うんですね。
そういう制度になるといいと思う。」

健康食品が変わる 業界の健全化を


規制改革を進めるもう1つの目的。
それは科学的根拠の乏しい健康食品を、市場から締め出すことです。
現在販売されている健康食品の中には、ヒトへの有効性の科学的根拠が乏しいものが少なくありません。
しかしそうした商品でも、巧みな宣伝文句によって買われている現実があるのです。
長年、健康食品の広告作りに携わってきた男性です。
根拠が不十分でも、広告しだいで売り上げは伸ばせると言います。


例えばダイエット効果を伝えたいとき。
「スリム」という言葉は直接的なため、法に触れかねません。
しかしこれを賢いという意味もある「スマート」に書き換えれば、違法と見なされる可能性を減らしながら、宣伝効果は維持できるといいます。


「花粉症」という言葉も使えませんが…。

健康食品業界関係者
「花粉症イコール『春』ということなんで、その『春』という言葉を入れて『デリケート』。
花粉症のもやもや感を表現して、最終的に『ヘルスケア』。
花粉症を伝える表現になります。」

男性は今の健康食品業界は科学的根拠よりも、広告の巧みさを競い合っているのが実態だと言います。


健康食品業界関係者
「いくら研究して、いいエビデンスがあっても、それは言っちゃいけないというルールになっているわけですから、そっちに力を入れようというパワーにならないですよね。
(広告で)イメージさえ訴求して伝わりさえすれば、もうそれで『勝ち組』みたいな形はある。」

この春から本格化した新しい制度を巡る国の議論。
業界団体の代表は表示のしかたが変われば、消費者が科学的根拠の乏しい商品を見分けやすくなり、業界の発展につながると主張しています。


消費者庁検討会委員 日本通信販売協会 宮島和美理事
「まだ一般的に健康食品に不信感を持っているお客様もいらっしゃる。
そういうのをきちんと排除するいい機会だと思います。
きちんとした研究から、商品開発から、販売までをしていかないといけないので、そうじゃないところは乗り越えられないと思っています。」

健康食品が変わる どうなる規制改革

ゲスト松永和紀さん(科学ジャーナリスト)
●相当踏み込んだ規制改革と言ってよいか?


そうだと思います。
初めて聞いたときは、とにかく驚きました。
国の審査がいらないと。
企業が自己責任で表示をできるようになると。
これまでありました特定保健用食品の制度は、国が長い期間をかけてきちっと審査をする、安全性、有効性について審査をして、その上で表示を認めるという制度でした。
それに比べれば、ずいぶんと企業の自由度が上がる大胆な制度だなぁというのが感想です。
(しかも健康食品だけにとどまらない?)
そうですね。
農産物や水産物も恐らく許可されるだろうと、許可ではないですね、表示できるようになるだろうと言われています。
みかんとか、それからお茶などが候補に挙がっています。
(成分が入ってればその機能を表示できるようになると?)
はい。

●規制緩和を受け止める用意、業界側にできているか?

まだできてるというふうには、ちょっと思えません。
というのも、企業の科学的な理解というのには相当に開きがあります。
(科学的な理解?)
きちっと真面目に科学的根拠を追求している企業もありますけれども、あまりそういうことは考えずに、なんとなく昔からの言い伝えで、いい食品があるからとかというようなことで、科学的根拠って何?っていうような反応の企業の方たちもいらっしゃいますので、かなり反応、違いがあるというふうに見ています。

●表示を受け止める消費者はどうか?

もちろん消費者も今のところは、広告宣伝に引かれて買っている、イメージで買っておられる方が多いわけですね。
ですので血液さらさらとか、それからタレントさんの効きますよという体験談で買ってしまっている。
消費者も変わらなければいけません。
(本当に見極める力を持たないといけないということ?)
はい。

健康食品 改革のモデル アメリカの光と影


20年前、健康食品に機能の表示を認めたアメリカ。
病気を予防するために健康食品の活用を進め、業界を発展させるのが目的でした。
健康食品専門の販売店です。
現在アメリカで売られている健康食品は、およそ6万点に上ります。


パッケージには、その商品が体のどの部分に、どう機能するか明確に表示されています。
EPAを使ったこの商品の宣伝文句は「心臓の健康を支える」。
日本で認められていない表現です。

男性
「毎日全部で25粒ほど飲んでいます。
食生活が偏っているので、健康食品で中和しようと思っています。」


創業40年の健康食品メーカーです。
海外向けも含め、現在320点の健康食品を製造しています。
企業がみずからの判断で機能を表示できる制度が、会社の成長を支えてきたといいます。




アメリカで健康食品の表示が決まる仕組みです。
国は機能を表示するためには、ヒトを対象にした試験で有効性が確認されていることなどが必要だとしています。
メーカーはそれに応じた論文を研究機関などから集めて表示を決め、国に届け出ます。
しかし根拠となった論文を調べるなど、国が有効性を審査することは原則としてありません。


健康食品メーカー ブライアン・リッチモンド社長
「国の規制が強いと商品を発売するまでの手続きが煩雑になります。
科学にもとづいて商品を開発し、いち早く販売することが大切なのです。」



商品の表示についての会議です。
ある成分について「関節の動きがよくなる」という論文が発表されたことを知り、早速表示することにしました。

男性社員
「有効成分に関して最近発表された人間での臨床試験の結果です。」


裏付けとなるのは社外から取り寄せた論文のみ。
メーカーが独自に実験を行う必要はありません。

女性社員
「『関節の可動性と柔軟性をサポートする』という表示にしようと思います。」

女性社員
「みなさんいかがでしょうか?」

女性社員
「これで行きましょう。」


新たな制度の導入で、20年ほど前8,000億円だった健康食品の市場は4倍に拡大。
その一方で浮かび上がってきたのが制度の欠陥でした。





一昨年(2012年)保健福祉省は、健康食品の表示に関する抜き打ちの調査を行いました。
効果に疑問を感じる消費者の声が高まったからです。
調査したのは、127の健康食品。
どのような根拠で機能をうたっているか論文を調べたところ、ほとんどが科学的裏付けが不十分でした。
ヒトではなく、動物などでの実験結果しかなかった商品。
中には論文ではなく、30年前に大学生が手書きで作ったレポートを根拠としていた商品もありました。


保健福祉省 食品医薬品局 ダニエル・ファブリカント部長
「調査で明らかになったのは、ほとんどの商品に科学的な裏付けがないという事実でした。
健康食品の制度が抱える課題を、浮き彫りにする結果でした。」



効果がなかったとして、消費者がメーカーを訴える事態も起きています。
3年前、損害賠償請求の対象となったメーカーの健康食品です。
裁判に提出された商品の箱には、「軟骨が再生」「1週間で関節の動きが改善」と表示されていました。


原告の代理人を務めたウェルトマン弁護士です。
成分について調べると、商品がうたっているような効果は確認できないという論文が数多くあることが分かりました。
ウェルトマン弁護士の主張を受け、メーカーは商品を買った1,200万人に対して和解金を支払うことに同意しました。



スチュワート・ウェルトマン弁護士
「科学的根拠のない健康食品が1,000万人から20ドルずつお金を奪ったとしたら、それは1人から2億ドル取り上げることと同じくらい悪いことです。
私たちは『大規模に行われる小さな詐欺』と呼んでいます。
効果のないもので、経済を成長させるべきではありません。」

健康食品の規制改革 日本はどうなる


アメリカを参考に新たな制度作りが進められている、日本。
企業の判断で表示を認めることの弊害をどう防ぐのか。
国の検討会の座長に問いました。





「アメリカのどういう点を批判的に日本では変えていくのか?」

検討会 松澤佑次座長
「科学的根拠が本当に十分になされているか分からないものも入っているとすれば、そういうものは我々としては避けなければならないと思っている。
ちゃんとしたルールで、しっかりと規制していく。
そういう基本方針で今会議を進めている。」

健康食品の規制改革 課題は?

●日本もアメリカのようになってほしくないが?


そうですね。
アメリカでは今、揺り戻し、制度が出来て20年たって揺り戻しが起きていまして、より厳しく表示の要件を求めていったりとか、それから国の機関が調査をしたり、情報提供をしたり、その情報提供も、この成分は効かないですよというようなことを、明確に事業者や消費者に情報提供したりというようなことをしています。
それから市民団体も今非常に活動活発でして、製品を購入して、市場で購入して、含有量、成分の含有量を測ったりとか、それから市民団体自身が調べて、この成分はどうも効かないようだよというような情報提供を、一般消費者の方に分かりやすくするというような活動が活発になっています。

●有効性の裏付け、日本ではどういう方向で議論進められているか?

消費者庁が今機能性表示についての検討会を設定しまして、これまで5回会合が行われています。
その審議を見ていますと、非常にレベルが高い製品にだけ表示を認めようという方向性にあります。
(根拠をしっかりと出さないといけないということか?)
ということです。
安全性、それから有効性、両方ともにきちっと学術的に確認されたものを、それを企業がきちっと調べて、情報を公開すると。
それを前提にして表示してもいいですよというような制度にしようとしています。


(こちらは国立健康・栄養研究所が調べたものだが、ヒトへの有効性についての根拠が多い成分と少ない成分、有効性がヒトに対してあるかないか現時点では分からないものも、成分としてはある。
規制緩和されると、こうした成分についても、企業の自己責任によって機能表示ができるようになる?)


たぶんそうはならないだろうと思います。
今の消費者庁の検討会の議論では、この上のほうの、科学的根拠がかなりしっかりしたものでないと表示をしてはいけませんと。





この辺りではだめですよというような制度にしようとしていますので、そう簡単には表示できないという制度にしようとしていますね、今は。




●チェック体制が必要ではないか?

ええ、そうですね。
業者さんによっては、もちろん真面目にされる方もいらっしゃいますけれども、中には信頼性の低い、ちょっとレベルの低い論文をかき集めて、これだけ論文がそろってるんだから表示していいでしょうということで、表示してしまうような企業も出てこないともかぎりませんので、きちっとしたチェック体制を設けないといけないと思います。
市場に出てからのチェック体制ですね。
国はやっぱりその情報を集めようということで、ホットラインのようなものを設置して、情報を集める。
いろんなところと連携して、何かあったらすぐ対応するというような制度にしようとしています。
(安全性についても、ホットラインを設ける?)
そうですね。
有害事象がそこの電話に連絡が来て、それで保健所とか、いろんな機関で連携を取り合ってというような制度にしたいというような意向を示しています。

●日本の健康食品が信頼性され、競争力のあるものにするためのポイントは?

まず事業者の方々に、当然のことながらきちっと科学的根拠を持った良い製品を作っていただかなければいけません。
それを作るとともに、きちっと情報を公開すると、透明性を高めていただくということ。
で、それをもとに、消費者は判断できなければいけないわけですね。
ですので消費者にもきちんと情報が提供されて、消費者が理解をして、いろんな医療関係者とかのサポートも受けて、きちっと判断できると、合理的な選択をできるようにすると。
その全体の仕組みを国はきちっと監視をして、何か問題があったらすぐに動けると、ホットラインの情報もすぐに有効活用できるというような仕組みが必要だと思います。
(そういった中で生き残っていった商品こそが、本当に競争力のあるものとして選ばれていくといいが?)
そうですね。
そうあってほしいと思います。


未定
次の放送6月19日(月) 午後10時00分
未定

No.34942014年5月12日(月)放送
介護からの“卒業式”
介護からの“卒業式”
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「要支援」から自立へ 介護からの“卒業式”


東京のベッドタウン。
およそ8万人が住む埼玉県和光市です。
この日、市内のデイサービスで毎月恒例のあるイベントが行われました。

「この4月をもちまして、このデイサービスを無事ご卒業される方がいらっしゃいますので紹介します。」

81歳の髙木絢子さんです。
去年(2013年)3月、自宅で転倒し左足を骨折。
歩行が困難になったため要支援2の認定を受けて、デイサービスやヘルパーを利用してきました。


「卒業証書、髙木絢子殿。
第69人目の卒業生です。
おめでとうございます。」

市の支援プログラムで、念願だった買い物に再び1人で行けるまでに回復した髙木さん。
その結果、先月(4月)要支援の認定がなくなりました。

髙木絢子さん(81)
「おかげさまで、このとおりどうにかやれるようになりました。
本当にうれしいです、ありがとうございました。」

取り組みを始めた、市の保健福祉部長・東内京一さんです。


髙木絢子さん(81)
「血圧上がりっぱなしです。」

和光市 保健福祉部 部長 東内京一さん
「血圧上がっちゃうんだよね、緊張しちゃうと。」




和光市では今後10年で介護を必要とする人が倍増すると見られ、何も手を打たなければ制度を維持できなくなるおそれがありました。
そのため市では、状態の改善が見込まれる人たちを積極的に支援。
毎年およそ4割の人が要支援の状態から卒業し、自立への復帰を果たしています。



和光市 保健福祉部 部長 東内京一さん
「介護になることを予防するということをしていかなければ、2025年に和光市はどういう状態になっているんだろうという疑問もあり、『要支援』だとか軽度の状態をもう一回元気になれる、そういう要素はあるだろう。」

“自分らしく暮らしたい” 地域の取り組み


和光市では、卒業に向けてどのような支援を行っているのでしょうか。
今年(2014年)3月、新たに要支援2に認定された松田洋子さん、80歳です。
3年前、頭の病気で入院。
その後、足がふらつくようになり、家事のほとんどを夫の嘉次さんに任せています。
市が行う取り組みの第一歩が、聞き取り調査です。
この日、市の委託を受けた相談員が松田さんを訪問しました。

「よろしくお願いします。」

相談員で保健師の、冨岡さんです。
松田さんから今の暮らしぶりを聞き取りながら、自立の可能性を探ります。


和光市 地域包括支援センター 保健師 冨岡礼子さん
「お買い物は好きですか?」

松田洋子さん(80)
「そうですね、買い物は好きですね。」

和光市 地域包括支援センター 保健師 冨岡礼子さん
「今も行きたいとか思いませんか?」

松田洋子さん(80)
「今はないです、もう足がダメだから。
もうどこにも行きたくないです、家からは。」

冨岡さんは、歩く力を強化できれば、介護保険のサービスに頼らなくても自立した生活が送れると考えました。


和光市 地域包括支援センター 保健師 冨岡礼子さん
「介護保険で人を入れて助けていくというのではなくて、ご本人たちが自分たちの生活を以前のように取り戻せるように、力を引き伸ばしていくことを目標に。」




相談員が調査して作った支援計画は、市役所で徹底的に議論されます。
毎月2回開かれるコミュニティケア会議。
ここで新たに認定された要支援者全員の計画を検討し磨き上げます。
メンバーは市内すべての包括支援センターのスタッフと、看護師や理学療法士、そしてヘルパーなどです。


通常、支援計画は地域包括支援センターの相談員が作成して実行に移されます。
しかし和光市では、ほかのセンターや専門家を交えて徹底的に検証。
よりよい介護方法をアドバイスしたり、事業者側の思惑でサービスを過剰に設定してかえって自立を妨げていないか、チェックし合うのです。
この日は、冨岡さんが松田さんの歩く力の強化を中心とした支援計画を報告しました。


和光市 地域包括支援センター 保健師 冨岡礼子さん
「通所での運動と自宅で夫とのセルフトレーニングと現在行っている散歩の継続を行い、9か月後、介護保険を卒業し2次予防へつなげていきたいと考えております。」

別のセンターの相談員から、生活に張り合いを持ってもらうため具体的な目標を示しては? と意見が出されました。

他の地域担当の相談員
「例えばゴミ出し。
燃えるゴミの日は自分でゴミ出しをするとか、ご本人が実践できそうな一日の目標もいいのかなと。」

管理栄養士からは松田さんが大好きだった買い物を通じて歩行を促すことができるとアドバイスが続きます。

管理栄養士
「ただ『お料理やっていますか?』ではなく、一緒に買い物に行って、その場のスーパーの中で提案してという栄養指導もできるので。」

冨岡さんは、会議のアイデアを盛り込んで作り上げた計画を松田さんに提案しました。


和光市 地域包括支援センター 保健師 冨岡礼子さん
「1年後の大きい目標として、墨田区のお友達に電話だけで今、会いにいけないとおっしゃってたじゃないですか。
そこをね、会いに行けるようになったらいいなと思って。
一番大きい目標。
デイサービスに通って足を元気にして、1年後、お友達とご飯を食べられるといいですね。」

具体的な目標ができると、松田さんは前向きに変わり始めました。
この日は初めてのデイサービスです。

「こんにちは。」

ここでは、ほかの人たちとただ時間を過ごすだけでなく、足腰の筋力アップに取り組みます。


「これをね、ぐっと押してみてください。」

松田洋子さん(80)
「こう?」

「そう!
伸ばすときに、ここの筋肉を使っているのを感じます?」

松田洋子さん(80)
「うん。」

「歩いたり立ったり座ったりするのを助けてくれる筋肉なので…。」

理学療法士がスポーツジムさながらの機械を使って、歩くために必要なトレーニングを行います。

「すばらしい!
しっかり効いてます。」

松田洋子さん(80)
「楽しかった、みなさんがいいから楽しくできた。
だからまたね、来て。」

さらに和光市では卒業後の受け皿も整えています。

「せーの、よいしょ! いいですね!」


4月に介護保険から卒業した髙木絢子さんです。
先週から、市が開いている無料の介護予防プログラムに参加しています。

「さっきよりいいです。
できてる、できてる。」



再び悪化して要支援に戻らないよう、支援策が整えられているのです。
介護からの自立を支援する和光市の取り組み。
市の介護保険料と認定率は、国の平均を下回っています。


和光市 保健福祉部 部長 東内京一さん
「持続可能性のある介護保険制度と言ったときには、いま何をやるべきか、そして将来自分の町をどうしたいか。
それなくして10年後、2025年のわが町というのは考えられないと私は考えています。」

介護からの“卒業式” 地域で自立を支える

ゲスト小山剛さん(高齢者総合ケアセンターこぶし園総合施設長)
●自立支援取り組みで40%が卒業、どう見る?


すごいすばらしいことだと思いますね。
要支援とかレベルの軽い人たちっていうのは、実はモチベーションというのかな、使う場所がだんだん減るんですよ、老後になって。
仕事がなくなって家族の中の役割もなくなってきて、引きこもりに近いんですけれども、うちの中でほとんど過ごすようになる。
そうすると持ってる能力が使えない。
そういった中でこの取り組みは、本来持っている能力を、筋力もそうですけども、もっと使おうよという動機づけをしてくれたところがすごく意味があるんですよね。
皆さんはそのことによって、社会に出れるようになって自信を取り戻していったと思うんですよ。
私にはまだこんなことができる、そういった意味で卒業ができるっていうのはすばらしいことだというふうに思います。

●卒業後、公的な支援でサポートが続くのも安心?

そうですね。
こういうのはやっぱり継続は必要で、一つの段階を越えたらまた次のステップを踏もうとか、その次のまた目標を作ろうとかっていう、すごい前向きな話ですよね。
だからそれを途中まで行政が支援していただいて、そのあとはまたみんなのチームでというか、仲間内でともにグループを作ったりしながら、また続けていくっていうふうにつながっていっているところなんですね。

●今までの要支援の在り方について

これはたぶんに誰かに、いわゆる高齢者の皆さんに、何かをしてあげることがいいことというふうな評価を受けてたと思うんですね。
だから優しくしてあげるとか、何か手伝ってあげるとか。
でももしかしたらそれは本人が歩ける能力を、手を引いてあげるからとか、ごはんが作れるのに作ってあげるからとかっていうことになると、持ってる能力は使えなくなることですから、逆にいうとそれがみんな隠れていった。
そういうことが今までの欠点だったかもしれないです。
それを今回の取り組みで、できることを、できることをというふうに引き上げていって、元に戻っていったということじゃないでしょうかね。

●今まで事業者やサービスを提供する側にとって、十分な動機づけはあった?

介護保険の仕組み自体は、それこそ、いいことをしてあげるといいという、皆さんの共通認識で動くわけだし、善意でやったはずなんですけど、そのことによってもしかしたら低下していく、低下すると介護保険は上がるという仕組みになるんですよ。
だから事業者の側からすると、一生懸命、例えば訓練しなさいとかっていうとなんかつらそうに思えるし、そのことで元気になると実は収入は逆に減っていくっていう、そういう逆転の話になってたところに、今回、行政が責任を持ってやるということになると、行政がこの取り組みに手を出すということは、行政にとってインセンティブが働くんですよ。
元気になると保険料がいらなくなってくる、それは保険者にとってはいいことですから。
利用者も元気になっていいことになるわけで、そういった意味では非常にいい取り組みだというふうに思ってるわけですね。

●様々な職種の人々が集まってきちんと評価をする?

そうですね。
今まで評価の方法、どちらかというと、ケアプランを作るケアマネに任せているようなところが実際はあったわけですけど、今回の仕組み変更を予定しているのは、より多くの、例えば和光の実績で見られるように、大勢の専門職、いろんな職種の人が科学的に評価をして、大勢のチームで客観化する。
そういったことによって本当のサービスが、何が必要かっていうことが見えてくると思うんですね。

●自治体には何が問われている?

これはもう完全に、マネージメント力とリーダーシップですよね。
先ほど言いましたように、本当に必要なのか否かということを、きちんと評価できるグループがいないと、個人の主観で動くわけじゃありませんから、この人にとって本当にハッピーは何かということをしっかり科学的に、客観的に評価をして、取り組むということだと思います。
(そういう能力は自治体には備わっている?)
いや、あるところとないところがあって、今現在はそういう格差が出てるとは思うんです。
だけどこれから本当に自治体も性根を据えて、そういった人たちを自分の中に育てるということをやっていかなければいけないと思います。

介護予防を担う 高齢者ボランティア


高齢者を地域で支える仕組み作りに取り組む、長崎県佐々町です。
町は介護予防の担い手として、ボランティアの育成に力を入れています。
参加者は全員65歳以上の元気な高齢者です。




佐々町は20%を超える高い要介護認定率が続きました。
そのため介護保険料は県内で最も高い、およそ6,000円です。
そこで町は介護保険情勢の厳しさを伝え、元気な高齢者にボランティアを呼びかけたのです。




佐々町 住民福祉課 係長 江田佳子さん
「本当に同じ立場の住民にはすごく響くところがあって、行政ができないところを住民の皆様が担っていただいて、役割をだしていただいていると思います。」




ボランティアが担う介護予防のプログラムはさまざまです。
こちらは週1度開かれる男性のための料理教室。

女性ボランティア
「これくらいにした方が食べやすい。
ちょっと大きいよね。」

栄養のバランスをとるだけでなく、人との交流を保ち、手足を動かして料理することが認知症の予防につながることを期待しています。

男性
「やっと歩けるようになった。
自立している感じですね。」


「1、2、3、4。」

体操教室の参加者の平均年齢は77歳。
最高齢は92歳。
元気いっぱいです。
先生は元看護師のボランティア、宮島初枝さん、73歳です。
高齢のボランティアの存在は、参加者の間に予想外の効果をもたらしています。
先生役の住民が元気に活躍する姿に、自分も元気でいたいという意欲が刺激されるのです。


参加した女性(77)
「それはもう影響受けますよ。
あの方も元気にやっているから、自分も元気でいたいと思いますよ。」

こうした取り組みの結果、佐々町では認定率が4年で5%以上減少しました。


宮島初枝さん(73)
「佐々町がいっぱい払っている介護保険料が、少しでもみなさん元気になって先に延びて、少しでも私たちが保険料を納めるのも少なくなれば、みんないいかなって。」

地域の連携を生かし 身近な生活支援


介護予防のため住民が率先して地域の課題や解決策を探っているのが、三重県伊賀市です。
活動の中心になっているのが、小学校の校区ごとに設置されている住民自治協議会です。
自治会や老人会、民生委員だけでなく、住民であれば誰でも参加できます。


協議会では、介護サービスに入る一歩手前の見守りや外出支援など、生活支援のニーズを掘り起こします。
そして企業やNPOなど、解決能力を持つ団体に結び付け課題を解決していきます。




公共交通機関がないため高齢者が引きこもりがちになり、認知機能の低下が心配されていた地区です。
ここでは介護施設の車が昼間、送迎の仕事がほとんどないことに目を付けました。
施設とは関係ない住民が、スーパーや病院へ行くために無料で利用させてもらうことにしました。



こちらは認知症の人を見守るボランティア。
担当するのは、認知症の親を介護した経験を持つ住民などです。






伊賀市 社会福祉協議会 事務局長 平井俊圭さん
「さまざまな人たちが持っている問題解決能力を、お互いにつなぎ合わせていく。
そのことでいろんな課題が解決されていく。
地域ができることって、まだまだいっぱいいろいろあって、知恵のこれからは出し合いだと思います。」

介護予防・生活支援 地域でどう対応

●元気な高齢者をボランティアとして活用することについて


大切なことですよね。
今、要介護認定というのが、大体高齢者の2割ぐらいなんですよ。
そうすると、8割は元気なわけですよ。
その8割の元気な人たちが、職場を退職されたあとの生活の中のモチベーションを高める方法として、そういった活動に入っていったら、残された8割の人たちの力って大変大きいですから、そういう人たちもすごく役に立つことだというふうに思います。
それを社会福祉協議会という地域の役割がありますので、ちゃんとまとめて支えてくれたらいいなというふうに思っています。

●これからの大介護時代、どう見る?

冒頭にありましたように、予防することによって介護から卒業する、その卒業することによって、介護費用がより重い人たちに、配分することもできる。
動いている人たち自身のモチベーションも高まって、自信もつく。
ただ、これから人材のことを考えると、高齢者の人になんでもかんでもやってくださいじゃ無理なんですね。
やっぱり、若い人がやる分担と、それから高齢者の人が受け持てる分担、そういったものをうまく使い分けて、全体でどうやって支え続けるんだというやり方に取り組むときに、やっぱり地域の中でっていうのは、すごい重要なことですし、それぞれのモチベーションを高めるということもすごく重要な話だと思いますね。
(具体的には、高齢者が介護施設の中で何か役割を担うということ?)
そうです。
高齢者の方だからできる、同世代だから分かる、あるいは軽介護のことはできる。
できることはいっぱいあると思います。
(人材も財源も不足しているが、役割分担で克服できる?)
みんなの協力で、維持できることだと僕は思っています。


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