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2017-06-16 13:24:44 | 日記
治大学教養論集 通巻428号
(2008・1) pp.1-31
米国農業の現状と問題点
カリフォルニア州を中心に
王 楽 平
 世界最強の競争力と最大の輸出量を誇る米国農業,それを支える人口わず
か2%の農家。このような巨大な米国農業は,つねに途方もないほどの大規
模な農地,徹底した機械化及び先進技術の導入などの要因とともに論じられ
てきた。本論文は,それを避けては米国農業を語れないほど重要な役割を担っ
ていながら,これまでほぼ無視されてきた外国人労働者の存在とその役割,
及び都市化の進展に伴い,農地が減少した地域で展開されている観光農業,
グリーンビジネスに重点をおいて,現在の米国農業の一端を論じてみたい。
 筆者は在外研究として,2005~2006年度,カリフォルニア大学バークレー
校に滞在し,その間にカリフォルニア州の農業地域を巡り,同州の最北端の
レーディン(Redding)から中部のステンナスローズ郡(Stanislaus
County),そしてベイ・エリア(Bay)周辺にある農業地域ブレントウッド
(Brentwood),リヴァモア・ヴァレー(Livermore valley),ナパ(Napa)
など,ホームステイの形で穀物農家,果樹園農家,牧場,花卉・苗木農家及
び鮭の加工・艀化・放流を行っている漁業センター,木材工場などを訪ね,
調査した。本論文はこうした現地調査で得た見聞と資料に基づいて米国農業
の現状と問題点を検討してみたい。
2  明治大学教養論集 通巻428号(2008・1)
1.米国農業におけるカリフォルニア州農業の位置付け
1.米国農業
 世界の農産物貿易(輸出)の4割を占める米国は,トウモロコシ75%,
大豆74%,小麦28%,米15%,牛肉13%といった具合で,世界穀物貿易の
半分近い量を輸出している(1997年)。この一連の数字から米国農業の強さ
が窺える。
 米国は北米大陸に位置し,北部大西洋と北部太平洋,カナダとメキシコに
囲まれている。気候は大部分の地域が温帯に属し,ハワイ州及びフロリダ州
は熱帯,アラスカ州は亜寒帯,ミシシッピー川の西側の大平原は半乾燥地帯,
南西部諸州は乾燥地帯に属する。年間平均降雨量は760mm,耕地面積は
18,817万ヘクタールあり,海抜500メートル以下の平原は国土面積の55%
を占め,農業の大規模経営と機械化に適した自然条件を備えている。また,
米国の農業地域はおおよそ,中西部を中心としたトウモロコシ等の穀物生産
地帯と,西部のカリフォルニアを中心とした野菜,果樹,酪農,穀類等の生
産地帯に分かれる。さらに細かく見ると,自然環境と作付け習慣により,ト
ウモロコシ地帯,小麦地帯,綿花地帯などのような特化した生産地帯が形成
され(図1参照),こうした地域分業と生産特化は生産性の向上,品質管理,
生産・流通コストの削減などに大きな役割を果たしている。
2.カリフォルニア州農業の特徴と全米における位置付け
 カリフォルニア州は過去50年以上にわたり,全米第1位の農業州である
ことを誇っている。米国の西海岸に位置し,温暖な気候,肥沃で広大な平野,
長年かけて整備された水利施設等により一大農業地帯を形成してきた。2004
年の農産物販売額は318億ドルで,第2位のテキサス州(165億ドル)と第
3位のアイオワ州(147億ドル)を大きく引き離している。2002年のセンサ
  離
   灘論、
⑩太平洋岸地方
米国農業の現状と問題点
LZ3456790
1]吟
②五大湖地方
⑥コーンベルト
①東北地方
⑤デルタ地方
3
③アパラチア地方
 1
④南東地方
東北地方 酪農,ブロイラー,果実・野菜生産
五大湖地方 主要酪農地帯
アパラチア地方 たばこの主要産地。
南東地方 牛肉,ブロイラー,落花生,野菜,果実生産
デルタ地方 ブロイラー,大豆,綿花,米,さとうきび生産
コーンベルト地方 とうもろこし,大豆の主要生産地帯。
北部平原および8.南部平原 冬小麦及び春小麦生産地帯(全国の2分の1に相当)
山岳地帯 牛及び羊,小麦,干草,てんさい,ジャガイモ,野菜,果実生産
太平洋岸地方 ワシントン州,オレゴン州:小麦果実,ジャガイモ生産
      カリフォルニア州:酪農,野菜,果実,綿花生産
         図1 米国の農業地域分布図
スによると,全米における農業生産額の高い郡トップ10のうち,9つをカ
リフォルニア州内の郡が占めている。
 カリフォルニア州の気候地域が実に多様で,こうした多様な気候地域がバ
ラエティーに富んだ農産物の特産地を形成したのである。太平洋に通じてい
るコースト山脈(Coast Ranges)の盆地は,よく霧が出て気温が温暖であ
る。このような気候条件では,アーティチョーク,レタス,ブロッコリー,
芽キャベツなどの野菜がよく育つ。そのほか,サンフランシスコ周辺の内陸
部でみられる暖かくて晴れた気候が最高のアメリカ・ワインの原料となる最
高品種のブドウ栽培に最適である。また,夏の気温がサンフランシスコより
も高くなるサンホアキンヴァレー(San Joaquin Valley)と南カリフォル
ニア産ブドウは,生食用,レーズン,そして,ワイン好きが一流とは見なさ
4  明治大学教養論集 通巻428号(2008・1)
表12000年力リフォルニア農産物生産額(上位20品目)                          単位:億ドル
順位 品  目 生産額 全 米
Vェア
順位 品  目 生産額 全 米
Vェア
1 牛肉及び乳製品 37.0 19% 11 アーモンド 6.8 99%
2 ブドウ 28.4 92% 12 ブロッコリー 5.4 88%
3 苗 類 22.5 20% 13 鶏 4.7 一
4 レタス 14.8 75% 14 アボカド 3.62 89%
5

12.7 4% 15 にんじん 3.5 66%
6 トマト 9.5 85% 16 オレンジ 3.5 22%
7 綿 花 8.9 15% 17 セロリ 3.1 94%
8 生花及び観葉植物 8.4 一
18 クルミ 29 99%
9 イチゴ 7.7 82% 19 タマネギ 2.6 40%
10 ほし草 7.3 6% 20 胡 椒 2.6
出典:Agriculture Statistical Review, CDFA 2001
ないレベルのワイン用に使われる。米国で種子用に栽培される花のほとんど
は,サンタバーバラ(Santa Barbara)の西にあるロンボクヴァレー(Lompoc
Valley)で生産されている。ネーブルオレンジとレモンのほとんどは,沿
岸部と,ロサンゼルス盆地を囲む内陸部だけで生産されている。ここは酪農,
野菜,果実,綿花の産地としても知られている。こうした恵まれた気候と環
境のもとに,350種類もの農産物が生産され,世界でも有数の農業地域となっ
ている。カリフォルニアの農産物の上位20品目をみてみると,比較的付加
価値の高い農産物を生産している特徴が顕著である。全米の生産量の8割以
上を占める農産物が24品目もある(表1参照)。
 まず,同州第1位の農産物は牛肉及び乳製品である。2004年カリフォル
ごア州の乳製品販売額は53.7億ドルに達し,前年比30%の伸びを見せてい
る。全米で消費される牛乳の5杯のうち1杯はカリフォルニア産と言われて
いる。1農場当たりの平均飼養頭数は全米では100頭以下であるのに対し,
カリフォルニア州は700頭以上と大規模経営が主流となっている。
米国農業の現状と問題点  5
 次に,カリフォルニア州は全米で採れるブドウのほとんどを生産しており,
2003年においては,ブドウ類(干しブドウ,生食用及びワイン)の88%を
占めている。日中と夜の寒暖の激しさがブドウの栽培に好適であり,州内に
おいて世界的な高級ワインが生産されている。2004年ブドウの販売額は
27.6億ドルであり,乳製品に次ぐ第2番目の主要農産物となっている。2004
年のワイン(6.8億ドル)と生食用ブドウ(4.5億ドル)の輸出額は11.3億
ドルで,アーモンドに次ぐ2位の輸出農産物である。
 さらに,同州の第3位を占める農産物は全米生産量の過半を占める果物,
ナッツ類及び野菜である。2004年に果物,ナッツ類と園芸作物の販売額は
26.5億ドルである。全米のアーモンド,オリーブ,クルミのほぼ100%が加
州産である。また,世界のサラダボウルと称されているカリフォルニア州は
野菜類の販売額が22.0億ドルであり,当州第4位の主要農産物となってい
る。このように同州では広大な農地の上に多様な農業が展開されている。
 対外貿易の面を見ると,同州は農業生産高の14%を輸出しており,輸出
先の1位,2位をカナダと日本が競り合っている。輸出額第1位はアーモン
ドであり,2004年の輸出額は13.7億ドルに達している。次にワイン,綿花,
生食用ブドウ,牛乳・乳製品,オレンジ類と米などである。また,日本向け
輸出額は9億500万ドルで,総輸出の11%を占め,額の多い順でみると,
米,アーモンド,牧草,ワインとオレンジ類となっている。生鮮ものではプ
ロッコリー,アスパラガス,タマネギ,冷凍ではスウィートコーン,ポテト
などの野菜,そしてクルミなどのナッツ類や米が輸出されている。UR合意
以後,1995年より日本はミニマムアクセス米を輸入しているが,アメリカ
産のシェアは50%前後で推移しており,その殆どがカリフォルニア米となっ
ている’)。日本の農産物輸入額に占める米国の割合をみると,トウモロコシ
94.7%,たばこ85.9%,大豆75.8%,牛肉58.7%(1997年)と,米国への依
存がいかに高いかがわかる。
6  明治大学教養論集 通巻428号(2008・1)
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