OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ビートルズのコンパクト盤は魔界!?

2009-08-29 10:57:12 | Beatles

ザ・ビートルズEP第1集 (Parlophone / 東芝)

昭和41(1966)年秋に発売されたアルバム「リボルバー」という、私にとっては問題作によって、完全にビートルズについていけなくなったサイケおやじは、しかしやはりビートルズが好きでしたから、それまで持っていなかったレコードを集める道へと歩みを進めました。

しかし、ホイホイとLPを入手出来る経済力があるわけも無し……。

そこで4曲入りの通称「コンパクト盤」に狙いを定め、まず最初にゲットしたのが、本日ご紹介のEPです。ちなみに、これはビートルズ物では我が国最初の1枚です。

 A-1 Twist And Shout
 A-2 Please Please Me
 B-1 I Want To Hold Your Hand / 抱きしめたい (simulated)
 B-2 She Loves You (simulated)

まず、収録曲がビートルズ初期を代表するメガヒットばかり! それが大きな魅力でした。

加えてジャケットに大きく表示された「STEREO」という輝かしい文字!

実はこのEPの発売は昭和39(1964)年の8月でしたが、収録曲は既に世界中で大ヒットしていながら、我国ではその時点でステレオバージョンがアルバムも含めて、全く出ておりませんでした。つまり、ここで既に知られていた楽曲を再び売るためには、「STEREO」というセールスポイントが必要だったのでしょう。

ちなみに私の家では度々述べてきたように、テレビよりも先にステレオがあったにもかかわらず、肝心の鳴らされるレコードのほとんどがモノラル仕様という矛盾がありました。というよりも、国内で制作発売されていたレコードそのものが、この頃はモノラル盤が当たり前だったのです。

で、早速、針を落としてみると、おぉ~~♪

今でこそ「Twist And Shout」や「Please Please Me」のオリジナルステレオバージョンは歌と演奏が右と左に泣き別れとして賛否両論ですが、まだまだ当時はそれが常識というか、昭和41(1966)年の時点でも十分に感動的だったのです。

特に「Twist And Shout」ではジョンのボーカルが尚更に迫真のシャウトに感じられ、個人的には右チャンネルに集中して聴いていたほどです。

また「Please Please Me」は聴いた瞬間、強烈な違和感!

なんかボーカルが??? なんですねぇ……。

これは今では有名な事実なんですが、それまでのシングル盤や日本盤LPに入っていたモノラルバージョンとは、演奏パートがほとんど同じくせに、ボーカルやコーラスそのものが別テイクという真相があったのです。

なにしろ3番では歌詞があやふやになったジョンが次の瞬間、照れ笑いみたいな節回しを演じているほどです。

う~ん、やっぱりビートルズは深いですよ♪♪~♪

ちなみにこのバージョンはステレオミックスのLPでは、ほとんどに収録されています。

そしてさらに問題なのがB面です。

なにしろ「STEREO」をウリにしていながら、収録の2曲ともが疑似ステレオ疑惑なんですよっ! いや、これはもう疑惑なんてもんじゃなくて、明らかに疑似ステレオ! つまり詐欺じゃねぇのかっ!?

なんて憤るのは、今になっての感慨です。当時はビートルズのヒット曲を自分で所有して、存分に楽しめるという、それだけで大満足でした。

ちなみに「抱きしめたい」に関しては、後にリアルステレオのバージョンが、例えばベストアルバムの「オールディーズ」や通称「赤盤」に収録されましたが、この時点ではアメリカも含めて、それが出来ていなかったのでしょう。ただしここで特筆すべきは、このEPに収録の疑似ステレオバージョンが、アメリカあたりで流通している同バージョンとは微妙に異なる雰囲気だということです。

ここからは、あくまでも私の妄想になりますが、おそらく東芝レコードが自社にあったモノラルのマスターコピーから独自に作り出したものじゃないでしょうか? というのも、疑似ステレオは電気的な処理によって低音~高音の鳴りを強引に左右に振り分けたり、エコーを強くして、その残響効果でステレオ感を出すという裏ワザなんですが、アメリカ盤に収録のバージョンと比べると、このEPに収録の「抱きしめたい」はエコーの雰囲気が薄くなっているように感じます。

そのあたりは「She Loves You」になると、更なる問題提起に繋がります。

良く知られているように、この曲は今日に至るまで、リアルステレオのバージョンが発表されていません。それはオリジナルの2トラックによるレコーディングマスターが廃棄処分になっているからで、つまりはモノラルのトラックダウンマスターしか残されていないのです。

したがって疑似ステレオでしか「STEREO」で売る方策が無いわけですが、これもまた、このEPに収録のバージョンは我国独自のものじゃないか? と思われるような……。

それはエコーの雰囲気のみならず、非常に微妙なんですが、それまで耳に馴染んでいたものからすると、演奏スピードが遅いような気がするのです。

まあ、このあたりは個人的な感覚の差異があって当然ですから、断定は致しません。ちなみにEPは33回転、シングル盤は45回転という再生スピードの問題もあろうかと思います。

ただ、そんな「奥の細道」への誘いが、ここにもあったことは確かです。

ということで、我国でビートルズの初期楽曲が完全ステレオバージョンで発売されたのは、オリジナルアルバムで言えば昭和39(1964)年9月の「ビートルズがやって来る / A Hard Day's Night」からですし、それ以前の「ブリーズ・プリーズ・ミー」や「ウイズ・ザ・ビートルズ」は、曲順を組み替えての来日記念盤した「ステレオ!これがビートルズ」の1&2集が出た昭和41(1966)年5月末のことでしたから、それ以前に世に出たこういうEPの存在は、いろんな意味で嬉しいものだったと思います。

今日では過去の遺物というか、その使命を終えた感もありますが、仔細に検討すれば、まだまだ「奥の細道」へと繋がる何かが隠されている可能性が否定出来ません。

いよいよ発売が近づく新リマスターによる作品群では、それがどのようになっているか? また「She Loves You」のリアルステレオバージョンが登場するか、否か!?

全く楽しみが尽きない、今日この頃です。

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