やれやれ、今日も仕事してます! ちょっと煮詰まり気味ながら、自分は仕事中毒じゃないか? いや、そんなわけ、ないだろ~、と自問自答……。
ということで、本日は――
■Do Nothing 'Til You Hear From Me / Johnny Griffin (Riverside)
名盤・人気盤が多いジョニー・グリフィンの名作群にあっては、ちょいと地味な作品ですが、聴くほどに深い味わいがあって、私は大好きな1枚です。
録音は1963年6月、メンバーはジョニー・グリフィン(ts)、バディ・モンゴメリー(p,vib)、モンク・モンゴメリー(b)、アート・テイラー(ds) という、リバーサイド丸出しのワンホーンセッションです――
A-1 Do Nothing 'Til You Hear From Me
アルバムタイトル曲はデューク・エリントンが書いたジェントルでダークなジャズオリジナルですから、ジョニー・グリフィンも悠然たるタフテナーの真髄を聞かせてくれます。
堂々のサブトーンと押出しの強いフレージングの妙が、手堅いリズム隊と一体となった最高のグルーヴを生み出していくあたりは、当にハードバップの魅力だと思います。ミディアムテンポでの見事なノリが実に良い雰囲気で、情熱的ですが、決して下卑ていないんですねぇ~♪
リズム隊ではモンクとバディの2人のモンゴメリーが、ご存知のようにウェス・モンゴメリー(g) の兄弟でありながら、当然、ウェスのようには目立ちません。しかしバディ・モンゴメリーのピアノは弾みが薄いウイントン・ケリーのようで、私は気に入っているのでした。
A-2 The Midnight Sun Will Never Set
クインシー・ジョーンズが書いた雰囲気満点のジャズオリジナル♪ 邦題「真夜中の太陽は沈まず」が言いえて妙の名曲ですから、まずはバディ・モンゴメリーがヴァイブラフォンでジンワリとテーマを奏でるあたりで、涙ウルウル状態です。
ジョニー・グリフィンもスローテンポでジックリと、そして繊細にテナーサックスを鳴らしていますから、そのアドリブも思わせぶりがいっぱい♪ これまた素晴らしい雰囲気の演奏です。
A-3 That's All
A面ラストもスローなバラード演奏! いゃ~ぁ、ジョニー・グリフィンと言えば高速ハードドライヴィンな吹きまくりというイメージが、完全に覆る構成にKOされます。
もちろん目論みが見事に当っての素晴らしい演奏で、サブトーンがたっぷりの吹奏ながら、決してキャバレーモードになっていないところはジョニー・グリフィンの深遠なジャズ魂の発露としか思えません。
バディ・モンゴメリーもシミジミ調の歌心が染み入る名演ですし、最後のアドリブパートからラストテーマに持っていくジョニー・グリフィンの繊細な表現力は最高です!
B-1 Slow Burn
B面初っ端はグルーヴィなブルース大会! ラテンリズムも使った熱いテーマからバディ・モンゴメリーのヴァイブラフォンがクールなアドリブを展開していくあたりは、ちょっとマイルス・デイビスの「Bags Groove」と共通する魅力があります。
淡々とした中に強い自己主張を入れていくドラムスとベースが最高♪
ですからジョニー・グリフィンも派手にブローするよりは、じっくり構えて情熱のフレーズを積み重ねるという新機軸で勝負に出ていますが、アート・テイラーのドラミングが容赦無い雰囲気ですから、結局は熱くなってしまうところが憎めません♪
あぁ、こういうヒステリックなフレーズと音色の熱さこそ、ジョニー・グリフィンの魅力のひとつだと思います。何度聴いても飽きない演奏とは、こういうのを言うのかもしれません。
B-2 Wonder Why
そしてこれまたテナーサックスのサブトーンがたんまりと聞けるバラード演奏♪ ジョニー・グリフィンの「男の世界」&「男の涙」という美しくもアブナイ魅力が堪能出来ます。
リズム隊の繊細は伴奏もジャズ的な旨味がありますねぇ。モンゴリー兄弟恐るべし、です。
B-3 Heads Up
オーラスはジョニー・グリフィンの熱血オリジナル曲で、アップテンポながら抑制の効いたブローが展開されていきます。う~ん、この曲調は「枯葉」の味わいがあって、ニクイですよぉ~♪
それとアート・テイラーがハードバップのお手本のようなドラミングで、スカッとします。これはリバーサイド特有の録音でしょうか、ブルーノートやブレイティッジ、つまりヴァン・ゲルダーの録音では味わえない良さだと思います。ちなみに、ここでのエンジニアは、Wally Heider となっています。
またバディ・モンゴメリーが良い味だしまくりなのでした。
ということで、全曲が味わい深い演奏ばかり!
もちろんジョニー・グリフィンは素晴らしい熱演ですが、アート・テイラーはリバーサイドでこそ真価が分かるという持論も証明されたと思います。この人は夥しい録音を残しながら、フィリー・ジョーやアート・ブレイキーに比べて、イマイチ評価されていませんが、ここでのドラミングを味わえば、何故、あれほど多くのセッションに呼ばれていたかが理解出来そうです。
それとモンゴメリー兄弟の底力も侮れないところでした。