OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

追悼:遠藤賢司

2017-10-25 20:20:20 | Singer Song Writer
ほんとだよ c/w 猫が眠ってる / 遠藤賢司 (東芝)

シンガーソングライターの遠藤賢司が天国へ召されました。

幅広い音楽性とストレートな感性から創作され、自演されてきた名曲名唱は、決して歌謡曲を侵食するような大ヒットにはなりませんでしたが、業界や音楽仲間、そしてフォークやロックの好きなリスナーからは確かに一目置かれる存在であったことは否定出来るものではありません。

不肖サイケおやじにしても、何でもありの破天荒な音楽活動には、ついていけない時もありましたが、あの独特の声質と節回し、またミョウチキリンなリズム感の不思議な整合性には畏敬の念さえ覚えるのが正直な気持ちであります。

さて、そこで衷心から追悼として本日掲載したのは、昭和44(1969)年に発売された公式デビューシングル盤とされる1枚なんですが、この両面2曲を翌年になってラジオの深夜放送で聴いたサイケおやじは、そのあまりにもぶっ飛んだサイケデリック感覚に混乱させられ、当時のメモにも、それがウダウダと綴られているほどの衝撃があったんですねぇ~~~!?

もちろん当時は中学生だったサイケおやじですから、ほとんど意味不明な歌詞の世界には共感なんてものは欠片も無く、また演じられている音楽そのものにも親しみは全然感じなかったのですが、とにかく噴出している膨大なエネルギー量に圧倒され、あぁ~、もう一度聴きたいなぁ~~!

と、漠然ながらも思いつめさせられるほどでしたので、ど~にかお金を工面してゲットした掲載のシングル盤を繰り返し聴いたあの頃が、何か自分の人生にとっては、それなりの意味らしきものがあったような気がするばかり……。

それが遠藤賢司の訃報に接した瞬間に蘇った記憶の印象でした。

で、その楽曲については、まずA面「ほんとだよ」は遠藤賢司の作詞作曲による、摩訶不思議なフォークロックで、馴染めないメロディに施された木田高介のアレンジには、クラシック~現代音楽みたいな高尚さがあるもんですから、これが今となっては日本版ニューロックという括りで語られるのもムベなるかな、個人的にはドノバンやニール・ヤングからの影響を強く感じる、サイケデリックなフォークロックかなぁ~???

仄かに雅楽からの香りが漂うのも良い感じ♪♪~♪

ですから、その意味で遠藤賢司が作詞作曲に編曲までもやってしまったB面「猫が眠ってる」は、アッと驚くインド丸出しのサイケデリックフォーク、今で言うところのアシッド・フォーク!?

なにしろシタール、タブラ、各種ベルやトライアングルの如きパーカッションが全篇に鳴り響き、ギターにしても変則チューニング、あるいは変態コードが用いられたような、ほとんど簡単にはコピー出来ないサウンド構成の中に、シュールな歌詞が呻くように唸られるんですから、一方的に圧倒されてしまいますよ。

そして我知らず、もう一度、レコードに針を落としたくなる中毒症状に導かれるのです。

ちなみに演奏の参加メンバーは加藤和彦、西岡たかし、早川義雄……等々が、タブラやシタールを操っているそうですが、その入れ込み様は、なかなか熱っぽくて、好きですねぇ~~。

また、ここに収録されているのは所謂シングルバージョンで、後に出されたLP「niyago (URC)」に入れられたバージョンとは異なりますので要注意! 正直に述べさせていただければ、そのアルバムバージョンの方がさらに熱い仕上がりなんですけどねぇ~、それはそれとして、やっぱり「猫が眠ってる」は名演だと思っています。

ということで、遠藤賢司は軟弱フォークからハードロック、さらにはソウルやジャズ、ワールドミュージックやテクノ&ニューウェイヴまでも横断する音楽性を披露してきたが故に、決して大衆的な人気が得られなかったのは失礼ながら、不幸中の幸いじゃ~ないでしょうか。

サイケおやじは数度、ライブステージに接することが出来ましたが、一番好きなのはギターやハーモニカだけで演じる弾き語りでして、それでも幅広い音楽性やシュールでありながら、有無を言わせぬが如き歌詞の強さが、尚更に鮮烈でありました。

そして恐らくは、これまでにも出ていた所謂アーカイヴ企画がさらに進められるものと期待しております。

合掌。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« これも金井夕子の歌謡曲 | トップ | お詫び »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Singer Song Writer」カテゴリの最新記事